正直な亜嵐
──亜嵐さんはEXILEだとダンサブルなアッパーチューン、GENERATIONSだと主にミディアムチューンを作曲してきました。インスト曲もあれば、「ポケモン」の公式ゲーム音源をサンプリングした楽曲「on my way to Glory」を作ったりと作曲の幅が多彩だと思うのですが、ダンサーになる以前から作曲したり、楽器に触れたりしていたんですか?
白濱 楽器は中学生の文化祭でギターを弾いたくらいですよ。あとはまったくなくて、作曲を始めたのも6年くらい前にDJとして活動するタイミングで始めました。もともとダンスミュージックを作るのが好きだったんですけど、それだけじゃ食っていけないから、ここ数年はポップスも作ってます。
──DJの機材はEXILE HIROさんにそろえてもらったそうですね。
白濱 そうなんです。「いつか自分で曲を作って、出せるようになりたいです」「DJやりたいです」って言ったら、機材一式をいただいて(笑)。
渡辺 すげえな(笑)。もし僕がメンバーの立ち場だったら、機材を送られたら嫌なんじゃないかなって思う(笑)。「お前、やるからにはちゃんとやれよ?」ってことじゃないですか。太っ腹なところはすごくいいと思いますけど、与えられたからにはプロ級にならないといけないし。アユニにPEDRO始動のタイミングでベースを買ってあげようと思ってたんですけど、自分で買ったほうががんばると思ったので、買わなかったんですよ。って、HIROさん批判みたいになっててよくないな。
白濱 全然そんなことないです! ちなみにHIROさんは「自分に合わないと思ったら辞めていいからね」って言ってくれました。
渡辺 優しいなあ。
──渡辺さんは多岐にわたって活躍する亜嵐さんにどんな印象を持っていますか?
渡辺 言い方がよくないですけど、「曲作りができそうには見えない」と思うんですよね。それに加えてグループとしての活動もあるわけでしょ? 亜嵐くんはすべてに対してちゃんと一流を目指してやっていて、その姿には衝撃を受けましたね。変な話、ナメていたというか。第一印象で人のことを決め付けてはいけないなって反省しました(笑)。作曲にしてもパフォーマンスにしても一朝一夕でできるものじゃないですから、ものすごい努力をしてると思うんですけど、そんなふうに見せないところもカッコいいし、尊敬しています。
白濱 うれしいです。作曲するようになったきっかけは、デビュー前に全国を回った「夢者修行」のときです。ワンコーラスのパフォーマンスをしないといけないけどフル尺の音源しかなくて、僕がMacBookを持っていたのでGarageBandでワンコーラス用に編集したんです。そのときは簡単にエディットしただけでしたけど、そこで楽しさに気付いたというか、DTMが性格に合っていたんでしょうね。家でカチカチとPCで作業をするのも性に合ってたし、楽しみながらできたのが大きいと思います。それと、グループで活動しているとアルバムのリリースにまつわる取材がありますよね。初期の頃、インタビューで「この曲にどんな思い入れがありますか?」と聞かれて、「いやー、自分で作ってないから難しいな」と思っちゃったことがあるんですよ(笑)。
渡辺 正直だ(笑)。
白濱 もちろん表題曲とかはわかるんですよ。みんなで振付を考えましたから。アルバム曲になると自分はパフォーマーでボーカリストじゃなければ、レコーディングブースにも入っていない。ぶっちゃけ思い入れなんて……と思ったときに、1人のアーティストとして「これじゃよくない」と思ったんです。自分で作って、思いを込めないとアーティストとは言えないという思いが募って、作曲を始めました。振付担当のメンバーは思い入れがあると思うんですけど、僕はそれもやってなかったこともあって。
LDHファミリーとWACKファミリーの今後
──ちなみにHIROさんと渡辺さんは音楽シーンの一線で活躍するプロデューサーですけど、違いや共通点は感じますか?
白濱 似てる部分で言うと、面白いことをやりたいバイブスがどちらもすごい。枠にはまらないところも似てる。それこそ既成概念にとらわれず、新しいことにチャレンジしていく感じが共通していますね。HIROさんはLDHを創って、EXILEをヒットさせるためにいろいろな挑戦をしてくださったりとかしてきたと思うので、渡辺さんのWACK所属アーティストの盛り上げ方の突拍子のなさも似ているように感じます。
渡辺 僕はHIROさんと面識ないですけど、一方的に見てきたんです。DJセットを買ってあげた話もそうだけど、僕にはない豪快さがありますよね。あとHIROさんはトップに立つ人間でありながらもともと演者でもある。僕は演者ではないので、どちらもできるのがすごいなと思います。だって僕は1時間半もステージに立てないですもん。「このあとのお弁当何かな」とか絶対ほかのこと考えちゃうし、歌詞もダンスも覚えられない(笑)。経営者と演者って別物だと思うので、それができるということが本当にすごいなと思います。
──「脱・既成概念」によってLDHファミリーとWACKファミリーに接点が生まれましたが、今後何かで一緒になる機会があるかもしれませんね。
渡辺 LDHのイメージはスクールカースト上位にいる人たちで、僕たちはスクールカーストの最下層で這い上がっていく感じ。もし一緒にやるイベントがあったら、WACK側のメンバーは楽屋から誰も出ないと思います(笑)。BiSHが「紅白歌合戦」に出たときも楽屋から極力出なかったので(笑)。もし接点が今後あるとしたらWACKが買収されるときじゃないですか?
白濱 いやいや、絶対にないです(笑)。でもLDHとWACKに限らずですけど、事務所やレーベルの垣根を超えて何かをするのは面白い話だと思います。K-POPとか海外のポップスが流行っている中、J-POPのカッコよさを僕は押し出していきたいと考えているので、今こそ日本の全音楽レーベルのアーティストが一体になるべきだと思っているので。
渡辺 そうですね。まず僕らは中目黒(LDHグループの拠点)に引っ越すことから始めないと(笑)。
プロフィール
白濱亜嵐(シラハマアラン)
2012年11月にGENERATIONS from EXILE TRIBEのパフォーマーとしてデビュー。2014年よりEXILEのパフォーマー、PKCZ®のDJとしても活動している。俳優業も活発でドラマ「小説王」「M 愛すべき人がいて」「泣くな研修医」や、映画「ひるなかの流星」「コンフィデンスマンJP プリンセス編」「10万分の1」に出演した。近年では精力的に楽曲制作も行っており、初の外部アーティストへの提供曲としてBiSHに「脱・既成概念」を提供した。
白濱亜嵐 Official SNS _ EXILE TRIBE mobile
GENERATIONS from EXILE TRIBEの記事まとめ
渡辺淳之介(ワタナベジュンノスケ)
BiSH、BiS、豆柴の大群、ASP、GANG PARADE、ExWHYZらが所属する音楽事務所WACKの代表取締役、音楽プロデューサー。過去にBILLIE IDLEの共同プロデュースをしたNIGOから“和製マルコム・マクラーレン”と称される。前例のない破天荒なプロモーション施策を次々と実施し、WACK設立前の2014年にはBiSの解散ライブとして神奈川・横浜アリーナ公演を成功させた。2021年にはBiSHが「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たした。アパレルブランド「NEGLECT ADULT PATiENTS」を展開し、東京・渋谷区道玄坂にて同アパレルの製品やアーティストグッズを扱う店舗「MULTiPLE MANiACS」を経営している。
渡辺”ジュンジュン”淳之介 (@JxSxK) | Twitter
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BiSH(ビッシュ)
アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dからなる“楽器を持たないパンクバンド”。2015年3月に結成し、5月にインディーズデビュー。2016年5月にavex traxよりメジャーデビューを果たした。人気番組「アメトーーク!」での“BiSHドハマり芸人”の放送、各地の大型フェスへの出演ラッシュ、横浜アリーナや幕張メッセ、大阪城ホールでのライブに続き、代々木第一体育館でのワンマン公演、2021年5月より、初のアリーナツアーを開催。2020年コロナ禍の中、7月にリリースしたライブハウス、CDショップ支援を目的とした初のベストアルバム「FOR LiVE -BiSH BEST-」を発売。同月にメジャー3.5thアルバム「LETTERS」をリリースし、2作連続でオリコン週間アルバムチャート1位を獲得した。2021年12月24日に、2023年をもって解散することを発表。「BiSHからのPROMiSE」をファンと約束した。「BiSHからのPROMiSE」では「1. 2022年1月から12カ月連続リリース、2. 『COLONiZED TOUR』を開催、3. 『BiSH FES.』を開催、4. ベストアルバム『FOR LiVE -BiSH BEST-』の収益を寄付した全国33都道府県67店舗を回るライブハウスツアーを開催」の4つの“PROMiSE”を掲げている。