BiSが「スモーキン・ビリー」「赤いタンバリン」など邦ロックの名曲を歌う!“いろんなBiS”詰まったカバーアルバム (2/3)

チバユウスケさんになりたい……

──選曲を見ると、けっこう尖ったカバーアルバムですよね。30代、40代でこれらのロック系の音楽を聴いていた人にはドンピシャな内容だと思います。ちなみに「BiS DiVE into ROCKS」というタイトルの由来は聴きましたか?

トギー 「BiSがロックにダイブする」? なんかのオマージュですか?

──2002年に出た「DIVE INTO DISNEY」というコンピレーションアルバムがあって、これがBEAT CRUSADERSやthe band apart、ASPARAGASといったバンドがディスニー楽曲をカバーした作品なんです。だから、それを知ってる人はタイトルだけでもニヤッとしたと思います。

チャント その世代のロック好きなら気付くくらいの作品がタイトルの元ネタになってるということですね。私はこの中で言ったらDragon Ashさんの「Fantasista」しか知りませんでした。私がBiSに入る前から名前を知っていたのはNUMBER GIRLさんとDragon Ashさん、BLANKEY JET CITYさん、BRAHMANさんです。あとは初めて聴いたんですけど、全部すごく好きな音楽でした。

ネオ 私はチバユウスケさん(The Birthday、ex. THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)がめっちゃ好き。「スモーキン・ビリー」の歌詞に「愛という憎悪」ってあるけど、「愛と言うぞ!」だと思ってたんですよ。そういう歌詞の見せ方も好きだし、あのカッコいい歌い方ができるのは世界にチバさんしかいないです!

ネオ・トゥリーズ

ネオ・トゥリーズ

チャント ネオのチバさん愛、本当にすごいよね。

ネオ 本当に大好きで(笑)。「LOOKiE」(2020年2月発表の2ndアルバム)が出たときかな、「FUCKiNG OUT」という曲がシャウトの多い曲なんですけど、その曲を聴いたファンの方が「チバさんの声を勉強するといいよ」とツイートしてるのを見たんですよね。それで、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTを調べて聴いてみたらハマったんです。

イトー 「ARABAKI」に出演する予定だったアーティストが参加した配信ライブ「THINK of MICHINOKU」にThe Birthdayが出てたんです。生のチバさんの声を聴いて、ネオは「この声になりたい」って言いながらずっと発狂してました(笑)。まさか、あのときはカバーできるとは思ってもいなかったですけど。

ネオ チバさんのあの声はもちろん、ミッシェルはバンドサウンドも唯一無二じゃないですか。だけど、やっぱり「チバさんになれたらいいな」って思いながら練習してました。巻き舌、喉を潰すような発声とかは勉強にもなりました。レコーディング中、みんなの歌を聴くのも楽しかったです。

チャント 松隈(ケンタ / BiSのサウンドプロデューサー)さんが作る曲よりはキーが低めだったよね。

イトー BiSのオリジナル曲とは違うキーとか歌い回しが多かったからスタッフさんにも「そんな歌い方できるんだ」と言われたんですけど、やればできるものですね(笑)。新しい道が開けた感じがしました。

BiS

BiS

──アレンジやバンドサウンドも気合いが入ってますよね。「ずいぶんと気持ちよさそうに弾いてるな」と(笑)。

トギー トラックはSCRAMBLESの方が演奏してくださっているんですけど、みんな「世代だよ」と言ってました。「演奏めっちゃ楽しかったんだよ!」ってうれしそうでした(笑)。わざわざカバー元のバンドと同じ機材を使ったりしたみたいで、話を聞いてるこっちもうれしくなりました。

チャント アレンジの面で言うと、「スモーキン・ビリー」で好きなところがあるんです。「愛と / いう / 憎悪」の言葉の隙間を埋めるドラムがいいんですよ。「いう」のあとにチャンって入って、「憎悪」でドコドコドコって思いっきり叩いていて。原曲にはないフレーズなんですけど、勢いを付けてそこから私たちが「イェーイ」って歌う流れがめちゃくちゃ好きです。あと、細かいけど「目の裏側で ミルクこぼれて」の部分のギターカッティングが歌とシンクロするようなフレーズになっているんです。さっきのドラムもそうなんですけど、原曲にはない、BiSの曲だから楽しめるところです(笑)。もちろんアベフトシさんのギターも大好きです。ラストライブの映像でお客さんを見つめながら弾く姿もめっちゃカッコよかったです。

ブランキーを生で観てみたかった

──ほかのお気に入り曲についても聞かせてください。

イトー 私は「赤いタンバリン」がすごく好きです。この曲は自分の目の前にある愛おしい物事について思ったり、愛がどういうものかを考えたりしながら歌いました。あと「赤いタンバリン」という魅力的な女性がいると捉えてたんですけど、過去の浅井健一さんのインタビュー記事を読んで、赤いタンバリンは生まれたばかりの娘さんのことを示してると知って、ものすごく興奮しました。本当に素敵な歌詞。浅井さんってお酒をたくさん飲む、激しい感じの人だと思っていたので……すみません(笑)。もしも私がこの曲が出た当時、ライブに行ける年齢だったらブランキーを生で見たかったです。この当時に青春時代を過ごした人たちはこんなに素敵な音楽があって、きっと幸せだったんだろうな。

イトー・ムセンシティ部

イトー・ムセンシティ部

ネオ 歌詞の表現も美しいよね、「愛という言葉に火をつけて 燃えあがらす」だなんて。愛という熱いものをさらに熱くする表現が本当に素敵。

イトー 実は私たち、この曲のレコーディングを2回してるんですよ。1回目が打ち込み状態のオケに合わせてだったんですけど、「いまいちノレない」と。

チャント ドラムが打ち込みの状態の音源に合わせて録ったら、みんなノレなくて。生のドラムに差し替えたあと、もう1回録らせていただきました。2回目はみんな楽しんでました(笑)。

イトー 歌っていて音程がわからなくなるような難しさはあるんですけど、松隈さんが「そんなに音程は気にしなくていい」と言ってくださったので心強かったです。

BiS

BiS

BiS

BiS

田渕ひさ子に届け!BiSの「NUM-AMI-DABUTZ」

──チャントモンキーさんのお気に入りは?

チャント 迷っちゃうなあ。印象に残った曲で言ったら「NUM-AMI-DABUTZ」が強烈でした。NUMBER GIRLさんは「透明少女」しか聴いたことがなかったんですが、こんな奇抜な曲があるんだって(笑)。

トギー 最初、インスト音源を流したのかと思ったよね、イントロがすごく長い(笑)。

──NUMBER GIRLといえば、BiSHのアユニ・DさんがソロプロジェクトのPEDROで田渕ひさ子さんと一緒にバンドをやっていますね。

トギー ですよね! 田渕ひさ子さんに聴いてほしいです! ひさ子さんに届け!(笑)

チャント 実は私、ひさ子さんとは福岡のチャリティソングで共演したことがあるんですよ(参照:福岡チャリティソングに松隈ケンタ、鮎川誠、田渕ひさ子、BiSチャントモンキーら約90名参加)。同じ福岡出身者として、ひさ子さんまで届いたらうれしいです。あと、聴いて好きになったのがBEAT CRUSADERSさんの「IMAGINE?」です!

チャントモンキー

チャントモンキー

ネオ わかる! 大好き!

──ビークルはメロコアとギターポップをミックスしたような音楽性のバンドでした。BiSの楽曲ジャンルと通じるものがあるかもしれないですね。

チャント 思わず走り出したくなるような疾走感がすごく好きです。

イトー ビークルのライブは“おまんコール”みたいな下ネタがあったんですよね(笑)。どんな意味があるんだろう(笑)。

──どうなんでしょう。ちなみにWACKの社是は「ちんこと言える世の中を」ですが……。

イトー あー! やはりビークルさんと私たちは通ずるものがありますね(笑)。

チャント ビークルの曲に松隈さんっぽさを感じて。ビークルファンからしたら逆だよって思うはずですけど(笑)。松隈さんも影響を受けてるのかな。一番、原曲からあまり変わってないアレンジになってると思います。

──トギーさんは?

トギー KEMURIさんの「PMA(Positive Mental Attitude)」ですね。私、BiSになって最初はメロコアにハマったんですけど、掘っていくうちにスカパンクがめっちゃ好きになりました。ロックの曲調にトランペットの音が入ってるのが衝撃で、私のイメージしてたバンドはギターとベースとドラムだったから、なんか違う音が入ってると思って。いい音だな、なんだこれ? トランペット? トロンボーン? サックス? めっちゃいい!って(笑)。なんだかスカパンクを聴いていると世界がキラキラして見えます。

トギー

トギー

チャント KEMURIの津田さんは、東北ツアーで一緒に回ったんですけど、とにかく優しいです。

ネオ PMAの“肯定的精神姿勢”をそのまま表してる方でしたね。

トギー ムチャぶりしたらステージで一緒に踊ってくれましたし(参照:BiSのバンド編成ライブ!白熱の東北ツアーで1期BiS曲も披露)。