小出祐介&成田ハネダ、material clubを語る|“いろんな偶然”引き連れビルボードライブのステージへ (3/3)

ごはんを食べるに耐えうる演奏をしなきゃいけないのかあ

──ライブのMCで「material clubは“システムの外”にいるので、自然にスケジュールが決まるわけではない」「イベントやフェスにも出たいし、そのためにお客さんにも協力してほしい」と話されていました。これまでにワンマン3回と「VIVA LA ROCK」の計4回ステージに立ったわけですが、このライブの本数はどう感じていますか?

2025年6月にLIQUIDROOMで行われたワンマンライブ「物質的II」より。(Photo by AZUSA TAKADA)

2025年6月にLIQUIDROOMで行われたワンマンライブ「物質的II」より。(Photo by AZUSA TAKADA)

小出 本当はもっとやりたいけど、メンバーのスケジュールを考えると、がんばれてるほうかなと思います。本当はTHE KEBABSぐらいできたらいいですけど(笑)。

──リキッドでは「この先のライブは決まってません」と話していましたが、ビルボードライブの話はいつ頃決まったのでしょうか?

小出 急にお話をいただきました。

成田 僕がとある飲み会に呼ばれまして。

小出 え、飲み会ベースなの?(笑)

成田 僕がODD Foot Worksのビルボードライブにサポートで出演して、後日ビルボードライブのスタッフさんと打ち上げをしたときに、tricotのメンバーもいたんです。そこでmaterial clubの話をしたら、「面白いですね!」と言ってもらって、そこから1、2週間のうちに決まりました。

小出 やっぱり飲みに行くのって大切なんですね。僕はお酒が飲めない人間だから、あんまり行かないですけど……。「水のロック」って曲を書いてる場合じゃない(笑)。

──Base Ball Bearはビルボードライブの出演経験はないですよね。

小出 やったことないですし、けっこう昔に土岐麻子さんのライブを観に行ったくらい。そのときはすごく格式の高い会場だと思ったし、ごはんを食べながらライブを観るわけだから、それに耐えうる演奏をしなきゃいけないのかあと思ってたら、お話をいただいちゃったので……どうしたらいいんだろう?って感じです。

──成田さんはパスピエでも2022年にビルボードライブに出演していますが、会場にどんな印象をお持ちですか?

成田 ライブハウス公演とはいい意味で雰囲気が全然違いますね。音の反響が違うし、お客さんとの距離も近い。個人的には、やっぱりグランドピアノが使えるので、グランドピアノとマテクラのライブの融合がどうなるか楽しみです。

小出 いやもう、ピアノに全部任せます。

成田 こいちゃんはアコギとか?

小出 アコースティックギターはライブで使えるようなものを持ってなかったんだけど、ビルボードライブが決まったから、買おうと思って。

成田 おお!

小出 ヤマハさんに相談したら提供してくださいました。宣伝のためにもたくさん弾かないと(笑)。「material club II」の曲はアコギが合う曲も多いですからね。

成田 ビルボードライブはエアギターでパワー勝負をする会場ではないと思う(笑)。

小出 初めてのエアグランドピアノは?(笑)

左から小出祐介(Base Ball Bear)、成田ハネダ(パスピエ)。

左から小出祐介(Base Ball Bear)、成田ハネダ(パスピエ)。

いろんな偶然を皆さんにも楽しんでほしい

──どんなライブになるんでしょうね。途中で話に出たYUNAさんの新曲も今後どうなるのか気になりますし。

成田 まずキダちゃんの曲、「Sleepover」はどうなっていくんですか? 出すんですか?

小出 どうなっていくんでしょうね? あの……我々は本当にシステム外の存在なんですよ(笑)。まあ、「Sleepover」も出したいし、お話をいただいたときに動けるように、適宜新曲も、誰に言われなくても作っていきたいですけどね。

成田 いざお客さんがライブに来たら、誰も知らない曲をずっとやってるとか(笑)。

──マテクラだったらそれもありかも。

小出 本当はそのくらいのことまでしたいけどね。

成田 懐かしいですよね。だって、バンド始めたての頃はそうじゃないですか。月に絶対2曲とか新曲作ってきて……。

小出 それを現場でおろして。

成田 そこで反応がいい曲を集めてアルバムにする。でもそれがどんどん逆転していく。

小出 せっかく偶然を尊重するバンドなんだし、作ってる途中の曲をライブでやってみて、そこから考えたりもしたいね。

──年内のライブはビルボードライブが最後かもしれないけど、material clubの今後にはまだまだいろんな可能性がありそうですね。

小出 今日のまとめとしては、やっぱり偶然がすごく大切。だから、ビルボードライブのことを予想で話しても、きっとリハーサルで起きる偶然で、いろんなことが変わると思う。material clubの曲をアコースティックにしたり、ビルボードライブ対応のアレンジにしたらこんな感じかなって、皆さんが想像したとて、きっと我々は当日いろんな偶然を引き連れてライブをやると思いますので、そんな空間を皆さんにも楽しんでほしいです。偶然の中で食べるごはんの味がどんな感じかわからないけど、ナイフとフォークが進めばいいなと思います(笑)。

左から成田ハネダ(パスピエ)、小出祐介(Base Ball Bear)。

左から成田ハネダ(パスピエ)、小出祐介(Base Ball Bear)。

公演情報

material club「物質的III」at Billboard Live TOKYO

2025年11月26日(水)東京都 ビルボードライブ東京
[1st]OPEN 17:00 / START 18:00
[2nd]OPEN 20:00 / START 21:00
<メンバー>
小出祐介(Vo, G) / accobin(B) / 成田ハネダ(Key) / キダモティフォ(G) / YUNA(Dr)

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プロフィール

material club(マテリアルクラブ)

2018年に小出祐介(Base Ball Bear)の音楽プロジェクト・マテリアルクラブとして始動。「やってみたいことをやりたいだけやりたいようにやっていく」をポリシーとして掲げる。2024年、固定メンバーとしてaccobinこと福岡晃子(ex. チャットモンチー)、成田ハネダ(パスピエ)、キダモティフォ(tricot)、YUNA(ex. CHAI)が参加した2ndアルバム「material club II」をリリースするとともに現名義に改名した。2025年11月、ビルボードライブのステージに初登場する。