ベリーグッドマンRover&MOCA|TEPPANなレーベル設立!絶やさず届ける冷めない音楽

ベリーグッドマンがメジャーレーベル「TEPPAN MUSIC」を設立。その第1弾としてニューアルバム「TEPPAN」をリリースした。

オフィシャルサイトによると、そのタイトルは鉄板焼きの“鉄板”や、間違いのない物を意味する“鉄板”に由来している。“人と人を繋ぎ、同じ目線で語り掛けていく音楽の発信”を合言葉に活動を続けていく3人の第一声である。

折からのコロナ禍で思うようにライブもできない中、べリグは何を考え、アルバムでどんなことを伝えようとしているのか。RoverとMOCAの2人に聞いた。

取材・文 / 高岡洋詞 撮影 / 後藤壮太郎

リリースは僕らとファンをつなぐ生命線

──まずTEPPAN MUSICを立ち上げた理由からお聞きできますか?

左からRover、MOCA。

Rover レコード会社を移籍するタイミングで、日本クラウンさんから「ベリーグッドマンだけのレーベルを作りませんか?」とご提案いただいたんです。どこに所属していても結果は本人次第だと思っていますので、がんばらないといけないのは同じなんですけど、自分たちのレーベルだとあらゆる面で自分たちに責任がある。そこは気合いの入れ方が変わってくるなということで、みんなで話し合ったうえで「しっかりがんばっていこう」とレーベル設立を決めました。自分たちの城が建つような思いというか。今は僕たちだけですが、今後いろんなアーティストが所属できるようになってくれたらうれしいし、それまでしっかりと礎を作らないとなと思ってます。

──移籍のタイミングにはリリース間隔が空くケースも多々ありますが、ベリーグッドマンはずっと絶やさずにリリースを続けてきましたよね。

Rover そこはファンの方と僕らをつなぐ生命線だと思っているので。新しいレーベルからアルバムを出すという計画はコロナ前から進んでましたし……なんやろ、スマホの機種変更みたいな感じというか。

MOCA いいんか悪いんかわからんわ(笑)。

Rover お客さんとのつながりの1つなんで、「3カ月間だけスマホないです」みたいなんはダメじゃないですか。なのでけっこうすごいペースで出してるとは思います。新曲はツアーを回るときの楽しみの1つかなと思うので、そこはこれまでも意識してきましたね。今はツアーはできないですけど。

──ライブを大事にしてきたグループとして、思うようにライブができない現状にはどんな思いがありますか?

Rover 1度発表したツアーを中止、延期せざるを得なかったことについては、ただただ残念です、正直。僕たち自身ももちろんやりたいんですけど、ベリーグッドマンのライブを楽しみに仕事や家事、育児をがんばっている方々もSNSとかで目にしてるので。“行ってま編”と銘打って、まだ行けてない県で19公演組んでいたのが全部なしになったときは、めちゃくちゃつらかったです。すごい昔から応援してくれてる人が「やっとベリーグッドマンがうちの地元に来る」って喜んで楽しみにしてくれていたのに……。新たにライブが組めないことよりも、やると決めてたものができなくなったのがつらいですね。なんてお詫びをすればいいのか。

──お詫びのしようがないですよね。

Rover そうなんです。そのへんがめちゃめちゃ難しいんですけど、僕は本当に申し訳ないなと思ってますし、なんとかして取り返したいし、取り返せると信じてます。来年はもっとやれるようになるって僕は信じてるんですけど、そのときにはつらい時期を乗り越えた喜びが待ってると思うと、しっかりとやらなあかんなと思いますね。

甲子園の土は持って帰ってこなかった

──でも今年のベリグの動きを見ると、卒業式ができないとなればSNSで卒業ソングを作ったり(「#みんなで作った卒業ソング」)、高校野球の全国大会が中止されたら甲子園球場から無観客ライブ(「ベリーグッドマン 阪神甲子園球場 ~すべての球児たちへ~」)を配信したりと、状況の変化に迅速かつ柔軟に対応してきたと思います(参照:ベリーグッドマンが甲子園球場ライトスタンドから球児に送る生配信ライブ)。

Rover 僕たちとしては遅いほうだと思ってたんですけどね。甲子園でのライブは本当にご縁というか、いろんな方が協力してくださって実現したし、僕たちが大阪在住だからできたことでもあると思います。ABC朝日放送の特番(「2020高校野球 僕らの夏」)に「Dreamer」を書き下ろしたんもそうですね。スポーツ、特に野球にはずっと救われてきましたんで、無観客配信ライブも、とにかく僕らにできることをやろうと「すべての球児たちに感謝を」という思いでやらせてもらいました。プロ野球のスター選手たちに応援コメントを寄せていただきましたけど、本当に快くやってくださったんですよ。僕たちはマイクを通して、そういう皆さんの思いを代弁させてもらった感じです。

──グラウンドではなくてライトスタンドから歌ったのもべリグらしいと思いました。

Rover MOCAは高校球児だったんで、僕やHiDEXよりそこに対する思いは強いですね。

MOCA マウンドで歌う案も出たんですけど、さすがに……そのときは夏の交流試合も何も決まってなかったんで、球児たちが甲子園の土を踏めないのに、自分らがマウンドには立つわけにはいかへんから、ライトスタンドでやらせてもらおうと。あと、僕らの中では「会場にお客さんがいないのはライブではない」っていう認識があったから、ベリーグッドマンは無観客配信ライブってそれまでやってなかったんですけど、甲子園でできたのはすごい光栄でしたね。多少なりとも、球児やご父兄や大会スタッフの皆さんの希望になったとしたらほんまにうれしいです。

──ご覧になった方たちからの反響はいかがでしたか?

MOCA すごかったっすね。10万人ぐらい見てくれて。アスリートの方たち、特に野球に支えられて大きくなってきたユニットなんで、「俺らがこのタイミングで甲子園からやらな誰がやんねん」みたいな思いはありました。コロナが収束したら、いつかここにパンパンにお客さんを入れてリベンジしたいっていう思いも強くなりましたね。また絶対に戻ってくると決めて、甲子園の土は持って帰ってこなかったです。

──さっきRoverさんのお話にも出ましたが、「Dreamer」が「2020高校野球 僕らの夏」に起用された経緯についても少し教えてください。

MOCA 例年でいえば「熱闘甲子園」の枠なんですけど、関西ローカルになるということで、全国放送ではないけど力を貸してくれないか、と僕たちにお声がかかったんです。ただ納期が2週間後やけど、と(笑)。「ぜひやらせてください」と二つ返事で番組の楽曲担当者と一緒に作っていったんですけど、ベリーグッドマンの応援ソングはこういうものやろ、みたいなところをぶっ壊してくださったんで、やってよかったなと思いました。自分たちの新しい可能性が見えたかなっていう。

──新しい部分というのは具体的には?

MOCA 壮大な曲調で、しっとりとRoverから歌い始めて、そこからトラックが軽快になっていって、サビでゴスペルみたいにみんなで歌い上げるのって、ありそうでなかったんですよね。自分たちだけではチャレンジできなかった作品やと思います。