ナタリー PowerPush - BEATRAM MUSIC FESTIVAL 2013

路面電車がステージになるフェス、その魅力

こんなにフェスが多いのって、日本くらいじゃない?

──「フォークジャンボリー」は、日本の最初期の音楽フェスと言えそうですよね。

左から佐野史郎、南壽あさ子。

佐野 うん。今はフェスって全国各地でやっていて、ものすごく多いですよね。こんなにフェスが多いの日本くらいじゃない?

梶原 乱立してますね。だから開催側としては、出演者のラインナップも悩むところです。「どこどこのフェスをそのまま富山に持ってきた」みたいになるといやですからね。「BEATRAM」は幅広い年齢層が楽しめるようにと考えて人選しているつもりです。

佐野 僕の地元の島根県松江市でもフェスみたいなものがあればいいのにって思うんですけど。例えばね、仕事で東北とかの映画館を回ったりしているんだけど、県庁所在地じゃなくても、昔からの映画館を守ったりしてものすごく映画を大事に思っている人がいたりするんですよね。でも松江には名画座や単館系の映画館もなくて……シネコンはあるけど。まあ合理的と言えば合理的なんだけど、誰か強い人が1人くらいいて、音楽フェスとか映画祭とかやってくれないかなあって。

梶原 佐野さんが呼びかければできると思いますよ(笑)。ところで、松江にはライブハウスはありますか?

佐野 昔に比べればけっこうあるらしいです。でも「ライブのMCで『また来るぜ』って言って、本当にまた来るバンドはいない」みたいなネタが現実になってしまうというか(笑)。

左から梶原徳行、佐野史郎、南壽あさ子。

梶原 それ、富山も一緒です。隣の石川県には金沢市にアーティストがよくライブで来る。でも金沢にはフェスは2つくらいしかなくて。それってアーティストがライブをしに来るから、フェス自体そんなになくてもいいっていうのがあると思うんですよ。一方富山にはけっこうな数のフェスがあるんですよね。アーティストが来ないなら自分たちでやっちゃえって。それぞれ特色を打ち出して。

佐野 特色ってことで言うと、先日宮城県塩竃市の「GAMA ROCK FES」に行ってきたんですけど、音の響きがよかったなあ。ライブハウスみたいに音がワーワー回ってなくて、そのままの音って感じで。あとは「SUMMER SONIC 2013」にMetallicaを観に行ってきました。Metallicaはすごくよかったけど、サマソニはおじさんには疲れちゃいますね(笑)。堀出しモノはBABYMETALでした。あと「OZZFEST JAPAN 2013」にも行ったんですけど、ももクロがよかったですよ。

当日はビートが炸裂するでしょうね

──ライブ自体もそうですが、フェスって現地に行くこと自体が楽しみになりますよね。お2人は富山にどんなイメージがありますか?

佐野 富山県は、1人芝居や舞台で何度かは行ったことはあります。街を歩いたら松江と似たにおいを感じたのを覚えていますね。前に行ったのも芝居の仕事で、5年くらい前かな。あと俳優仲間にけっこう富山出身者が多い。野際陽子さんや室井滋さん、柴田理恵さん、あとは西村雅彦さんも富山出身だったりして。

南壽 私は去年だけで5~6回は行っていて、今年は……何度行ったんだろう。PVの撮影やライブで行かせていただいていて。初めて行ったときから不思議と落ち着く土地なんですよね。もともとつながりがあったわけではないんですけど、不思議と新しい場所っていう気がしなくて。あと、なんか鉄塔が多いイメージがあります。そしてちょっと空の色が淡い。ぱりっとしているっていうわけではなくて、どちらかと言えば水彩画のような淡い色合いで、さらに冬になるとそれが締まる。その空気感が好きですね。何度も行っているうちに、愛着というか特別な思いを抱くようになっています。

──「BEATRAM」に出演するにあたり、何か意気込みがあれば教えてください。

南壽 去年飛び入りで出させていただいたので、その感謝の気持ちを持って歌いたいなって。自分がこれまで富山で観てきた風景を思い出しながら歌いたいです。

左から佐野史郎、南壽あさ子。

佐野 まあ、気負わないようにしようと思いつつ。今は「あの曲やったほうがいいのかなあ」とかセットリスト考えてます。古い曲を引っ張り出してきたりして、最後はどっちの曲にしようかなって悩んだり。今年からバンド名をsanchからゼラチンシルバーミュージッククラブバンドにしたんですが、2006年からメンバーは変わらずやっているのでクオリティもそこそこ高いし、リズム隊も手練れの人ばっかりだし……だから当日はビートが炸裂するでしょうね(笑)。自分の聴きたいような音を自分で出して、盛り上がるといいなって思ってます。あとは、天気が晴れていたらいいなあって。

──それと、出演者としてはいろいろなアーティストとの出会いもフェスの魅力ですよね。

佐野 そうですよ。僕は普段フェス出ないですからね(笑)。2005年に「FUJI ROCK FESTIVAL」に出て以来かな。個人的にライブを楽しみにしているのは黒猫チェルシー。 観れるかな? 黒猫はね、臼田あさ美ちゃんや成海璃子ちゃんに教えてもらったんですよ。いいですよね。

南壽 私はZAZEN BOYSさんが楽しみです。あとは自分もピアノを弾くので、→Pia-no-jaC←さんは注目しています。堪能したいですね。

BEATRAM MUSIC FESTIVAL 2013

2013年10月12日(土)

富山県 富山城址公園芝生広場 / 富山市内電車環状線車内

<出演者>

メインステージ

COMEBACK MY DAUGHTERS / FRONTIER BACKYARD / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS / OGRE YOU ASSHOLE / Soggy Cheerios(鈴木惣一朗&直枝政広)/ 黒猫チェルシー / ジョン・B&ザ・ドーナッツ! / フラワーカンパニーズ

プラタナスステージ

SALU / Wienners / ザッハトルテ / セプテンバーミー / ゼラチンシルバーミュージッククラブバンド(佐野史郎BAND)/ チャラン・ポ・ランタン / Special Guest

トラムステージ

KONCOS / 荒井岳史(the band apart) / カジヒデキ / ザッハトルテ / 堂島孝平 / 南壽あさ子

フロントステージ(無料ステージ)

関取花(ヤイリステージ) / ノンブラリ / [lifter] / YOCO ORGAN / W.C.カラス

2013年10月13日(日)

富山県 富山城址公園芝生広場 / 富山市内電車環状線車内

<出演者>

メインステージ

→Pia-no-jaC← / BIGMAMA / THE STARBEMS / ZAZEN BOYS / 奇妙礼太郎トラベルスイング楽団 / 堂島孝平 / 怒髪天 / 南壽あさ子

プラタナスステージ

OLDE WORLDE / OTOTOI GROUP / smoug / アシガルユース / オワリカラ / 黒木渚 / ピロカルピン

トラムステージ

LOW IQ 01 / YeYe / 奇妙礼太郎 / ジョン・B&ザ・ドーナッツ! / スネオヘアー / 日高央(THE STARBEMS)

フロントステージ(無料ステージ)

菅原龍平(ヤイリステージ)/ HAPPY / トレモノ / 挫・人間 / THE TON-UP MOTORS / スカーフ

中夜祭 よふかしBEATRAM

2013年10月12日(土)富山県 富山MAIRO

<出演者>
カジヒデキ / FRONTIER BACKYARD / KONCOS / LOVEBUZZ DJ(COICHI、BOB、CHIGON)

佐野史郎(さのしろう)
佐野史郎

1955年生まれの俳優、映画監督。1975年に劇団シェイクスピアシアターに設立メンバーとして参加する。1980年に唐十郎主宰の劇団・状況劇場に入団すると、ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。1992年にTBS系で放送されたドラマ「ずっとあなたが好きだった」に出演しブレイクした。またタイムスリップやsanchといったバンドを結成し音楽活動も行う。現在はゼラチンシルバーミュージッククラブバンドでギター&ボーカルを担当している。さらに小泉八雲に精通していることでも知られ、作品の朗読や解説、小泉八雲に関するトークショーなども行っている。

南壽あさ子(なすあさこ)
南壽あさ子

1989年千葉県佐倉市出身のシンガーソングライター。幼少の頃からピアノを始め、大学時代に軽音部に所属。2010年より都内を中心にライブ活動を行い、2012年4月にライブ会場と一部店舗でデモ音源「回遊魚の原風景」を300枚限定でリリース。約2ヶ月で完売。そして同年6月に湯浅篤をプロデューサーに迎えたシングル「フランネル」でインディーズデビューを果たすと、11月には1stミニアルバム「Landscape」を発表。2013年10月23日にシングル「わたしのノスタルジア」でTOY'S FACTORYよりメジャーデビューすることが決定している。