Base Ball Bear|足踏みしない3人の新たなスタート

ライブになると全部がバレる

──「ポラリス」は冒頭からスネアの鳴りとか、「Base Ball Bearの音だなあ」って思える曲でした。

小出 もとのネタがストックとして持ってた曲でしたからね。懐かしいトーンも多少あるかも。3人でリードを歌ってソロ回しもやるにあたって素材としてよかったので、組み立て直してみた感じです。

堀之内 「ポラリス」もそうですし、ドラムに関しては全体的にシンプルになりましたよね。ま、曲によりけりで次回作はテクニカルになる可能性もあるけれど。

小出 何をもってテクニカルかっていうね。叩くのが速けりゃいいわけでもないし。

堀之内 手数が多ければいいとかでもないしな。

小出 音の積み方がうまいことが、僕ら的に思うテクニカルかな。ちょっとしたコードの選択とか。「ポラリス」はすごく単純な曲でもあるんですよ。ギターとベースとドラムの縦位置がずっと揃ってるという意味で。

関根 確かに。見せ場はあるけど、構成的にはね。

小出 逆に「Flame」は3人がバラけていきながらまとまっていくアンサンブルを意識してるので、むしろテクニカルなんじゃないかな。

──今のBase Ball Bearの音って、うまくてゴツい音になってきた感じがします。洗練された演奏でありつつ、ロックバンドとしてのフィジカルな強さが前に出てて。バンドとして、地肩の強さは自覚してるところもあるのでは?

小出 うーん……どうですかねえ。わからないけど(笑)。

堀之内 まだまだ先は長い感じがする。やりがいありますよ。

小出 この前ペトロールズ、RHYMESTER、the pillowsと競演したときも「こうなのかー」ってその存在感に思わず感嘆して。

関根 そうだよねえ(笑)。私たちも30年経ってもバンドを続けられるくらいでありたいなと思いました。

堀之内 RHYMESTERってギター、ベース、ドラムじゃ全然ないけど、あの人たちは僕らの中でバンドなんですよ。ライブを観ても通ずるものを感じるし、憧れます。

──やっぱりライブで感じるところが多いんですね。

小出 ライブになると、全部がバレるんですよ。この前のキュウソネコカミとの対バンでも「こんなにワチャワチャやるステージングってあるんだな」と思わされたり。まだまだ僕らもがんばらないとなって。

Base Ball Bear

ミニマルな発信基地からマキシマムなことができるように

──DISC 2には「17才」の新録が収められてますが、改めてこの曲をレコーディングしてみてどうでした?

小出 原曲の強度を感じましたね。すごくポップな曲を作ろうとしてた時期の作品なので、よくできてるなって。バンプ(曲中のつなぎ部分)の工夫、今ならやらないもんね。玉井(健二)さんに、ガッツリとプロデュースしてもらっていましたからね。「確かにこんなアイデア出たなあ」と。

関根 「こういうの挟んでみたら?」って言ってもらった気がする。

堀之内 あの2小節だけでもけっこう印象変わるもんね。

小出 当時はいろいろデコレーションするような感じでアレンジをしてたけど、コードと歌、あとは最小限のコーラス、そのくらいで十分に曲のよさを表現できるのが今ならわかる。なので、あれこれ余計なことはせずに気持ちよく録れたかなと思います。

──新たに立ち上げた自主レーベル、DGP RECORDSについても聞かせてください。

小出 時流として、事務所の中にレーベルの機能を持って、そこを軸足に活動していく人たちが増えていて。それは、アーティスト本人が表現と経済の循環をコントロールしやすいからという理由が多いかと思いますが、自分たちもずっと活動に関する案を出しながらずっとやってきて、特にここ数年は制作もメンバー主導だったし、メジャーレーベルにいても基本的な体質がやっぱりDIYだったんですよね。もっと濃密な表現やフットワークの軽さなどを求めて、いずれどこかのタイミングでとは考えてて。

堀之内 打ち合わせ的な場でも、よく話に上がってるくらいだったからね。

小出 うん。マテリアルクラブをビクター内のQ2 Recordsから出す流れになったこと、昨年のツアーを経てそれぞれのメンバーの主体性がさらに濃くなったのが大きいですね。現状はまだ看板を立てたくらいの段階だけど、今後もリリースはDGPでしていきたいし、ちゃんと実績を作っていって、いつかはほかのアーティストさんにも使ってもらいたいなとか当然考えてます。ミニマルな発信基地からマキシマムなことができるといいですね。

──名前がまた特徴的ですね、Drum Gorilla Park Records。

堀之内 「何それ?」ってめっちゃ聞かれます(笑)。

小出 Base Ball Bearが「動物+何か」を組み合わせたバンド名なので、「そういうノリで楽しいのを考えるか」くらいの。意味はほとんどない!

──歌詞に「ドラムゴリラかませっ!」ってある「PARK」は小出さんのラップにしても、それこそ遊び心たっぷりでしたけど。

小出 ありがとうございます。でも「PARK」を踏まえて付けたわけじゃなくて、レーベル名のほうが先にありました。

関根 30分くらいでスパッと決まったよね(笑)。

足踏みしないスタンス

──「試される」では価値観について歌ってますが、今バンドを続けるうえで大切にしてることっていうと?

小出 いろいろあるけどなあー!(笑) 「足踏みしない」ですかね。結局、やってることにはどんどん飽きてくるものだから、同じような作品は作らない。これまでもずっと手法は変えてきたし、作ったことのない曲を作りたい。

堀之内 足踏みしないスタンスだからこそ、続けられてるもんね。ブレないでやっていけたらいいと思います。

関根 うん。挑戦し続ける心を失うのが一番怖い。なので、積極的な姿勢で制作もライブもやっていけたら幸せです。

堀之内 ツアーが始まって、また見えてくることも多いんじゃない?

小出 確かにね。どんな感じになるのかなって、そこらへんもステージに立ってみないと。まだまだバンドで音楽を作ることが新鮮なんですよ。

※記事初出時、本文中に誤字がありました。訂正してお詫びいたします。

ツアー情報

Base Ball Bear「LIVE IN LIVE~17才から17年やってますツアー~」
  • 2019年2月3日(日)広島県 CAVE-BE
  • 2019年2月10日(日)宮城県 Rensa
  • 2019年2月11日(月・祝)岩手県 Club Change WAVE
  • 2019年2月16日(土)静岡県 Shizuoka UMBER
  • 2019年2月17日(日)大阪府 なんばHatch
  • 2019年2月23日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2019年2月24日(日)北海道 帯広Rest
  • 2019年3月2日(土)石川県 Kanazawa AZ
  • 2019年3月3日(日)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2019年3月9日(土)岡山県 IMAGE
  • 2019年3月10日(日)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2019年3月15日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
  • 2019年3月23日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2019年3月24日(日)鹿児島県 SR HALL
  • 2019年4月6日(土)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
  • 2019年4月7日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2019年4月11日(木)京都府 磔磔
  • 2019年4月13日(土)香川県 DIME
Base Ball Bear

2019年1月30日更新