ナタリー PowerPush - back number

ポップスじゃないと刺さらない

back numberが10thシングル「繋いだ手から」を本日3月19日にリリース。さらに4thアルバム「ラブストーリー」を3月26日に発売する。

ポップスやバラードに“等身大”と称される歌詞を乗せた音楽性で人気のback number。彼らが最新アルバム「ラブストーリー」で奏でるサウンドは、これまでの魅力は踏襲しつつも、ロックバンドとしての熱をより強く感じられるものとなっている。

ナタリーではメンバー3人にインタビューを実施。これまであまり語られることのなかった彼らの音楽的な原体験やプレイヤーとしてのバックグラウンドを聞くことで、3人がいかに“back numberのサウンド”を確立し、そして今回のアルバムを完成させていったのかを探った。

取材・文 / 伊藤大輔

 
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back numberで初めてちゃんとバラードをやった

昨年9月に行われた「back number live at 日本武道館-stay with us-」の様子。

──今回はまず、3人の音楽的なバックボーンから伺ってみたいと思います。

清水依与吏(Vo, G) 僕の父親は陶芸をやっていたんですが、ろくろを回しながらいろんなレコードをかけていて。それを子守歌として聴き始めたのが最初ですね。確か小学生になる前だと思います。洋楽だとSimon & GarfunkelやCarpenters、邦楽だと小椋佳さんとか南こうせつさんなどのフォークミュージックで。そういったレコードを聴くうちにメロディがきれいな音楽が好きになりました。そして高校に入るといわゆる“青春パンク”などが流行っていたこともあって、Hi-STANDARDやMONGOL800、LOST IN TIMEなんかを夢中になって聴いて。あとは19やゆず、コブクロなどを聴いていくうちに、「やっぱりMr.Childrenやサザンオールスターズってすごいよな」っていうところに落ち着いていきました。

小島和也(B, Cho) 僕の最初の体験としては、小学校2年の頃に幼なじみの先輩がLUNA SEAの「ROSIER」を聴いていて。それで自分も聴いてみて、「なんだこれは?」って思って、その2年後くらいにベースを始めました。だから最初はLUNA SEAのJさんに憧れていたんです。そのあとは洋楽……Green DayやLagwagonといったパンクを聴くようになり、中学校の頃には友達とバンドを組んでいました。

栗原寿(Dr) 僕は子供の頃、JUDY AND MARYが好きでよく聴いていましたね。そのあと中学~高校の時期に、依与吏さんと同じように青春パンクの洗礼を受けました。GOING STEADYやMONGOL800、175Rなどを聴くうちに、友達とバンドをやろうってことになったんです。ただ、僕に声がかかったのが最後だったので、ドラムしか空いてなくて……とりあえず始めてみたら、楽しくてハマってしまいました。

──パンクが好きだったという点で共通しているんですね。

小島 そうですね。最初にこの3人が出会った頃はそれぞれ別のバンドをやっていたので、お互いが好きな音楽の話をしていました。

清水 僕が最初にback numberを始めたときは今とは違うメンバーでしたが、最初の頃にがむしゃらに作った曲を思い返すと、あれはMONGOL800っぽくて、これは175Rっぽい……みたいな感じで。そのうちに今の3人が所属するバンド同士がライブをやるうちに知り合い、最初に和也が加入し、そのあとで寿が入ってきて。その辺りからなんとなく自分がやっていく音楽の方向性が見えるようになってきたんです。

──今の布陣になってから、最初にback numberとしての音楽的な手応えを感じたり、バンドとしてやっていけると思えるようになったのはいつ頃でしたか?

清水 それはわりと最初の頃かもしれないです。この3人で作った初期の曲は今でもアルバムに入れたりしていますし。今回のアルバムに入っている「fish」もその頃に作った曲で、これは2007年に作っているんですけど。

小島 「fish」もそうですけど、back numberってバラードが重要なバンドで。でも僕の場合、このバンドに入るまでバラードをちゃんとやったことがなかったんです。そういう意味では、僕は1stアルバムの「あとのまつり」に入っているバラードの「stay with me」を初めて聴いてプレイしたときに、ベーシストとしては新しい感覚が持てたというか。“こういう感じも面白いな”って。

栗原 僕も同じく、バラードを演奏したことがなかったんです。で、3人で「fish」をやることになって、初めて聴いたときにいい曲だって思ったことを今でも覚えています。

ギターが歪まずハイスタのコピーを断念

──バラードをあまり聴いていないメンバーがいるにも関わらず、バンドでバラードをやろうと思ったのはどうしてですか?

清水依与吏(Vo,G)。昨年9月に行われた「back number live at 日本武道館-stay with us-」の様子。

清水 うーん、なんででしょうね。僕自身も最初の頃に作っていたのは速い曲ばかりでバラードはなかったですし……。でも、もともとバラードは好きだったんです。育ち盛りの頃に聴いていた1990年代のJ-POPって、GLAYしかりL'Arc-en-Cielしかり、いいバラードが多かったと思うんですよ。そういう自分が好きなものって、やっぱり曲の中にどこかしらに出てくるんでしょうね。

──90年代のJ-POPが大きな影響源になっているんですね。

清水 メロディ的な部分でも無意識のうちに影響が出ていると思います。90年代のJ-POPは一番いろいろと吸収する時期に聴いていた音楽ですから。

──ほかの皆さんはJ-POPは?

栗原 僕もJ-POPを聴いていたけど、その頃はもうバンドをやっていて、「バンドじゃないのはヤワだ」って思っていました……若かったし(笑)。でも今思えば、もちろんバンドものではないJ-POPも耳にはしていたので、自分のバックボーンにはなっていると思います。

清水 和也が最初にコピーした曲は?

小島 LUNA SEAの「END OF SORROW」をやろうとしたんだけど、難しくてあきらめたから……「TRUE BLUE」だね。僕はそのあと洋楽ばかり聴いていたので、ほとんどJ-POPは聴いていないんです。

──J-POPからの影響があるということで、清水さんと栗原さんはどんなアーティストをコピーしていましたか?

清水 僕はコブクロさんの曲ですね。コブクロさんには、僕自身が歌いたいなって思うような曲が多かったんです。バンドを始めて間もない頃に曲の作り方が全然わからなくて、そのときに曲単位で売っているコブクロさんの楽譜を買って、コードを押さえられるようにして……今でもそのときに得た知識が糧になっているくらいです。コブクロさんはメロディも歌詞もすごくよくて。「願いの詩」の歌詞なんて今でも涙無しには読めないくらいです。僕は歌詞に関しては“聴き手にグッときてほしい”と思うタイプですが、その原点はコブクロさんにあると言ってもいいくらいですね。

──そこはパンクではなかったんですね。

清水 パンクバンドみたいにパワーコードでギターを弾くってのを知ったのは、むしろそのあとだったんです。もちろんハイスタのギターも弾きたかったんですけど、エフェクターの存在を知らなかったから、ギターの音を歪ませられなかったんです……。「演奏が下手だから歪まないんだ」くらいに思ってました(笑)。とにかくコブクロさんの音楽を聴いて、「歌いたいと思える曲をやらないと」と思って。今思えば、コブクロさんの曲をやる前にパワーコードを知っていたら、back numberは今のような音楽性にならなかったかもしれませんね。

──なるほど。

栗原 僕がコピーしていたのはGOING STEADYですね。「さくらの唄」はほぼ全曲コピーしました。GOING STEADYからは、テクニックというよりも、バンドとしてのカッコよさだったり勢いみたいなものに関して影響を受けていたんですね。だから今、わりとテクニカルな部分で苦労しているんですけど(笑)。

清水 やっぱりどこから入るかって大事だよね。メタルが好きで楽器を始めた人はめちゃくちゃ演奏うまいし。

栗原 そうそう、例えば楽器を始めた頃にメタルとかのツーバスを踏む演奏がカッコいいって思ったら、叩けるようになるまで練習しますからね。その点、僕は技術よりも魂が先走っちゃったので(笑)。

清水 でもそれくらいに当時のバンドはカッコよかったからね。歌詞もよかったし、「青春ってパンクなんだ」って思っていたし。だから僕には両方混在しているんだと思う。バラードも歌いたいし、速い曲もやりたいっていう。

ニューシングル「繋いだ手から」/ 2014年3月19日発売 / UNIVERSAL SIGMA
初回限定盤 [CD+DVD] 1575円 / UMCK-9660
通常盤 [CD] 1050円 / UMCK-5461 0
CD収録曲
  1. 繋いだ手から
  2. 003
  3. 遠吠え
  4. 繋いだ手から(instrumental)
  5. 003 (instrumental)
  6. 遠吠え(instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  • 「繋いだ手から」music video
  • making of “繋いだ手から”music video
  • roots of back number ~そうだ、群馬へ行こう。~
ニューアルバム「ラブストーリー」/ 2014年3月26日発売 / UNIVERSAL SIGMA
初回限定盤A [CD+DVD] 6090円 / UMCK-9661
初回限定盤B [CD+DVD] 3990円 / UMCK-9662
通常盤 [CD] 3150円 / UMCK-1475
CD収録曲
  1. 聖者の行進
  2. 繋いだ手から
  3. 003
  4. fish
  5. 光の街
  6. 高嶺の花子さん
  7. MOTTO
  8. 君がドアを閉めた後
  9. こわいはなし
  10. ネタンデルタール人
  11. 頬を濡らす雨のように
  12. 世田谷ラブストーリー
初回限定盤A DVD収録内容
  • 「back number live at 日本武道館-stay with us-」全演奏曲のライブ映像
  • メイキング映像
初回限定盤B DVD収録内容
  • 「高嶺の花子さん」「fish」「繋いだ手から」のPV
  • ストリングス&ピアノを加えた特別編成による「sympathy」「風の強い日」のスタジオライブ映像
back number(ばっくなんばー)

2004年に清水依与吏(Vo, G)を中心に群馬で結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年に小島和也(B, Cho)と栗原寿(D)を加えた現在の編成に。2009年に発売された初のミニアルバム「逃した魚」は大手レコード店で絶賛され、全国的に話題となる。2010年にフルアルバム「あとのまつり」を発表し、美しいメロディに切ない歌詞を乗せるというスタイルを確立。2011年4月にシングル「はなびら」でメジャーデビューした。2012年11月に3rdアルバム「blues」をリリースすると、2013年には全国ホールツアーを回り、その後9月には日本武道館でワンマンライブを成功させた。2014年3月に4thアルバム「ラブストーリー」をリリース。アルバムリリースに先駆けて、10枚目のシングル「繋いだ手から」を発売した。