運は全然あるでしょ

──じゃあ若い頃と比べて自分が一番変わったなと思うことはなんですか。

………なんだろうねえ？ ……パッと思いつかないけど。

──「素直な心が大事」っていうのは、たぶん昔から言ってると思うんだけど、20代の頃の浅井健一が言うのと、49歳になった浅井健一が言うのって何が違うんですか？

おんなじなんじゃない？

──（笑）。同じなの？

うん。そこは同じかも。

──20代の素直さと49歳の素直さは同じ？

同じかもね（笑）。昔から思っとることだし。

──でも「光が感じられるものがいい」っていう考えは若い頃にはなかったわけでしょ。

なかったね！

──極端に言えば「いつ死んでもいい」ぐらいに思ってたかもしれないけど。

うーん……まあ死にたくはなかったけど（笑）。そんなことも考えずにやっとったけど、長いことやっとって、光のない歌なんて誰も歌いたくないし聴きたくないなって、気が付いたんだわ。昔は気付かなかった。どうでもよかった。カッコよけりゃよかったから。みんながえーっと思うようなことを歌うのも大事だと思ってたし。

──それが地に足が着いてきたと。でもそういう内容であっても、曲調はマイナーですごく悲しげで寂しげな曲調だったりするでしょう。そのギャップが浅井健一の音楽の陰影を作ってる気がしますけどね。

うーん、それは自分ではよくわからん（笑）。

──そうですか（笑）。今回はプロモーションやマネジメントなどで、ひさびさにブランキー時代のスタッフと組んでやってますね。何か心境の変化があったんですか？

うーん、今まで（ブランキーを解散してから）14年間がんばってきたんだけど、自分の音楽を広げるためにもっと方法があるんじゃないかと思ったのね。今回は特にいいアルバムができたんで、これをいつも以上に広げたいと思って。そのためにはいつもと同じやり方じゃなく違うことをやってみようと。

──なかなか広げられないもどかしさを感じていたってことですか？

うん、そうだね。もっと広がるべきだよなあってずっと思ってた。

──ブランキーのデビュー前、あなたに最初にインタビューしたときも、自分の歌を世界中の人に広めたいと言ってましたね。

そりゃあ、ミュージシャンにとってそれがすべてでしょ。もちろんそういうの関係なしにやってる人もいると思うけど。でもみんなそう思っとると思うよ。

──そのためには何が必要だと思います？

うーん、自分の才能と、周りのスタッフと、運だね。

──運はあるほうだと思います？

そりゃあるでしょ（笑）。全然あるでしょ。だって、曲がりなりにもこれだけ長いこと音楽を続けられてるんだから。神様に感謝だよ。

──じゃあ、自分の一番いいとこってどこだと思います？

そうだね……面白いところ。

──（笑）。何が？

性格が。

──性格の面白さは音楽に出てる？

はははは（笑）。出てると思うよ。性格が面白いもんだで、たぶん音楽も面白いんだと思う（笑）。