豪華40名のゲストが参加、想像以上のサウンドに
──もう1つのポイントは、豪華なゲストミュージシャン勢です。SUGIZOさん、真矢さん、岡野ハジメさん、DAITAさんといった素晴らしい方々が大勢参加されていますね。
総勢40名の方々に参加していただきました。ソロならではのことをやりたいと思っていたし、和、日本を表現するのであれば、この国の最高峰と思えるものを目標にしました。もちろん「君はそこまでできてないよ」という意見を否定するつもりはないのですが、目標は高いところに置くべきだなと思って、自分自身がリスペクトするミュージシャンにお声がけしました。いろいろなことを考慮しながらミュージシャンのキャスティングを決めさせてもらったのですが、まずは「その楽曲を演奏しているところが思い浮かぶ」ということですね。あとは組み合わせ自体に夢があること。アルバム全体を通して、夢が詰まった作品にしたいという思いもあったので。
──14曲すべて、まさに夢のような組み合わせが実現していますからね。まるで14組のスーパーバンドが結成されたような印象もありました。
確かに。立ち会わせてもらったレコーディングも、立ち会えなかったのも含めて、すべて素晴らしかったですね。少しお話をさせてもらっただけでもその内容から「こういうマインドだから一流の演奏ができるんだな」と肌で感じることも随所にあって。こちらからは歌が入った打ち込みのデモ、歌詞、意訳などをお送りしていたんですが、皆さんが世界観を汲み取ってくださって、想像以上のサウンドになりました。
──「畏き海へ帰りゃんせ」には、SUGIZOさんがバイオリンで参加しています。
SUGIZOさんはまさに芸術的かつ、至高のバイオリンを演奏してくださいました。フレーズに関しても、すべてお任せしたんです。全曲、核になるリフや楽曲の構成などはもちろん自分で作っていますが、ソロパートはお任せしたいと思い、この曲から思い浮かぶものを自由に演奏していただきたいとお伝えしました。この曲は夜の海を描いているし、歌の中に月も出て来るから、まさにぴったりだなと思っていたんですよ。主人公は人魚なのですが、メロディアスなパート、ヒステリックな叫ぶようなフレーズも入れ込んでいただいて、感動しましたね。高校生の頃からLUNA SEAの大ファンなので、まさに夢が叶った瞬間でした。
──そして「花雲の乱」ではDAITAさんが華麗なギタープレイを披露しています。
僕もそうですが、(Dのギタリスト)HIDE-ZOUくんもDAITAさんをリスペクトしているので、彼の夢を叶えてあげたいという気持ちもあり、ツインギターでお願いしたんです。快く引き受けていただいて、とてもありがたかったです。HIDE-ZOUくんも「なんと!?」と大喜びしてくれました(笑)。HIDE-ZOUくんはアルバムの制作進行を手伝ってくれていて、楽曲のデータ管理などを自ら引き受けてくれたんです。約1年に及ぶプロジェクトだったし、本人はご褒美をもらえたという感じのことを言っていました(笑)。あとTsunehito(B / D)はTHE MAD CAPSULE MARKETSがすごく好きだから、「白面金毛九尾の狐火玉」でMOTOKATSU(Dr / ex. THE MAD CAPSULE MARKETS)さんと一緒に演奏させてあげたいなと思ったり。
ヴィジュアル系は日本の伝統
──LUNA SEAの真矢さんはドラムだけではなく、鼓、和太鼓なども演奏していて。これもすごくレアですよね。
真矢さんは幼少の頃から鼓、和太鼓などを演奏していらっしゃったんです。LUNA SEAファンの自分はそのことを知っていたので(笑)。アルバムのテーマを和に決めたとき今回も「真矢さんにお願いするしかない」と思って。鼓のレコーディングにも立ち会わせてもらったのですが、一発一発に対する気合い、姿勢がすごいんですよね。所作、形も美しいし、これこそ伝統芸だなと。ヴィジュアル系も日本の代表的な文化の1つだと思ってるんですよ、自分は。
──ヴィジュアル系も日本で受け継がれてきた独自の表現である、と。
はい。自分も一般的にヴィジュアル系と呼ばれるような音楽をやっていますが、今の時代に生きている者として、正しく継承しつつ新しさを取り入れたいと思っているんです。ヴィジュアル系と言ってもいろいろな表現があるし、例えば「浅葱は正統に受け継いでいない」という意見があったとしても、自分が影響を受けてきたものが血の中に入っていて、それがこのアルバムにも反映されていることは紛れもない事実なので。
──逆に言うと「ヴィジュアル系を正統に受け継ぐアーティストがいなければ、間違った形で伝わる」という危機感もある?
それはあります。いとも簡単に勘違いされる表現でもあるんですよね、ヴィジュアル系は。化粧をして髪を立てればヴィジュアル系かと言えば、絶対にそんなことはなくて。アルバムに参加してくれた方々もそうですが、先駆者たちはしっかりした核を持っていると思うんです。見かけのイメージ、先入観だけで見られるのはすごく残念だし、ヴィジュアル系を継承しつつも枠を超え、自分らしいトータルアートとして音楽を表現することが使命だと勝手に思っているんですよ(笑)。
──浅葱さんの音楽を聴いた下の世代の人たちが、ヴィジュアル系の魅力に気付くこともあるでしょうね。
そういうことが起きれば最高ですね。もし自分がこの世からいなくなっても、自分が作った音楽は残るわけだから、こんなに幸せなことはないなって。そういう思いを込めたのが、アルバムの最後に入っている「アサギマダラ」なんです。自分の名前とアルバムのタイトルが両方入っているし、特別な思いがありますね。生から死までを描いた曲なんですが、あまりにも入り込んで制作していたので、マスタリングが終わって完成が見えたときは涙があふれました。
──世界観、サウンドメイク、ボーカル、ヴィジュアルなどを含め、浅葱さんにしか体現できないアルバムになりましたね。
岡野ハジメさんにも「正しく日本の美と伝統を受け継いで表現しているし、捨て曲もない。これは浅葱くんにしかできないことだね」と言っていただいて。素晴らしいプロデューサーである岡野さんからそのようなお言葉をいただけたのは、すごくうれしかったです。絶対的な世界観が自分の最大の強みだと思っているんです。そこに対してひたすらこだわっているし、命をかけています。
──なるほど。リリース後の2月には全国ツアー「浅葱 全国単独公演 二〇十八『斑(まだら)』」が始まります。
ソロでワンマンをやるのは初めてだし、しかもツアーですからドキドキしています。やりたいことはたくさんあって、例えば1曲ずつ衣装を変えてみたいとか。ただ、現実的にそれは無理なので(笑)、いろいろな要素を考えながら、1からライブを作り上げたいです。そこがDのツアーとの一番の違いだし、楽しみな部分でもあって。会場に来てくださる方も、まずは気軽に楽しんでほしいですね。ライブは自由に楽しんでほしいし、「俺も初めてだし、1からやっていこうよ」って。音楽の受け取り方はそれぞれだし、感じたままでいいと思うんです。自分も「全員に100%理解してほしい」と思っているわけではないので。
──ちょっと意外でした。「ここまで緻密に作り上げたのだから、できるだけ正確に受け取ってほしい」と思ってるかと。
堅苦しくそう思われがちなんですけど、意外とそうでもなくて。深く知ろうとするのも1つの楽しみ方だし、それはそれですごくうれしい。でも「頭を空っぽにして感じたい、盛り上がりたい」というのも1つの楽しみ方。それも「斑」というタイトルにつながっているんですよね。人それぞれにやり方や捉え方があるし、個々の楽しみ方をしてもらえたらなと。
──Dの活動と並行して、今後もソロ活動は継続するのでしょうか?
継続はしますが時期についてはまだ考え中です。Dとの兼ね合い、タイミングが合えばやりたいですけど、すごく精神力を使うことなので、そんなに簡単にやれないという気持ちもあって。自分の中から常にあふれてくるものがあるので、いつかはやると思います。だけど今はまず、ツアーを通して「斑」の世界観をしっかり伝えることを考えたいですね。そのときどきにしかできないことを全力で表現しているので、まだ検討中の人にも是非ライブに足を運んでほしいです。
- 浅葱「斑」
- 2018年1月31日 / HPQ / avex trax
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[CD+DVD]
4320円 / YICQ-10401/B -
[CD]
3240円 / YICQ-10402
- CD+DVD盤収録曲
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- 天地(あめつち)行き来る小船
- 月界の御子
- 畏き海へ帰りゃんせ
- 花雲の乱
- 隠桜(おぬざくら)
- 螢火
- 大豺嶽(おおやまいぬだけ)~月夜(つくよ)に吠ゆ~
- 冬椿 ~白妙の化人~
- 白面金毛九尾の狐火玉
- 鬼眼羅(きめら)
- 雲の通ひ路
- 物の怪草子
- アサギマダラ
- DVD収録内容
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- 月界の御子(Music Video)
- 月界の御子(Music Video with lyrics)
- 月界の御子(Music Video Making)
- CD盤収録曲
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- 天地(あめつち)行き来る小船
- 月界の御子
- 畏き海へ帰りゃんせ
- 花雲の乱
- 隠桜(おぬざくら)
- 螢火
- 大豺嶽(おおやまいぬだけ)~月夜(つくよ)に吠ゆ~
- 冬椿 ~白妙の化人~
- 白面金毛九尾の狐火玉
- 鬼眼羅(きめら)
- 雲の通ひ路
- 妖刀玉兎
- 物の怪草子
- アサギマダラ
- ゲストアーティスト
aie(the god and death stars、gibkiy gibkiy gibkiy、THE MADCAP LAUGHS、KEEL)
亜季(Sadie、AXESSORY)
天野攸紀
岡野ハジメ
K-A-Z(sads、DETROX、STEALTH、カイキゲッショク)
奏-kanade-
沙我(A9)
咲人(NIGHTMARE、JAKIGAN MEISTER)
Sakura-櫻澤泰徳(gibkiy gibkiy gibkiy、Rayflower、THE MADCAP LAUGHS、ZIGZO)
SYU(GALNERYUS)
SHUSE(†яi¢к、La'cryma Christi)
真矢(LUNA SEA)
Shinya(DIR EN GREY、SERAPH)
樹威(GOTCHAROCKA)
JUN(GOTCHAROCKA)
淳士(BULL ZEICHEN 88、ex. SIAM SHADE)
SUGIZO(LUNA SEA、X JAPAN)
DAITA(BREAKING ARROWS、BINECKS、ex. SHAM SHADE)
千聖(PENICILLIN、Crack6)
Tsunehito(D)
TERO(†яi¢к)
十夜(GOTCHAROCKA)
遠海准司(己龍)
TOSHI(Gargoyle)
Tomoko(HEAVENESE)
中村佳嗣(Eins:Vier、alcana、青天の霹靂、yohiaco)
HIDE-ZOU(D)
人時(黒夢、CREATURE CREATURE)
HIRO(La'cryma Christi、CREATURE CREATURE)
HIROKI(D)
藤原いくろう
MiA(MEJIBRAY)
MOTOKATSU
Motoki(HEAVENESE)
you(Janne Da Arc)
燿(摩天楼オペラ)
yo-ka(DIAURA)
Ruiza(D)
Leda(Far East Dizain)
LEVIN(La'cryma Christi)
- 浅葱全国単独公演 二〇十八「斑(まだら)」
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- 2018年2月10日(土)神奈川県 新横浜 NEW SIDE BEACH!!
- 2018年2月17日(土)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2018年2月18日(日)石川県 Kanazawa AZ
- 2018年2月22日(木)岡山県 IMAGE
- 2018年2月23日(金)広島県 広島セカンド・クラッチ
- 2018年2月25日(日)福岡県 DRUM SON
- 2018年3月3日(土)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2018年3月8日(木)宮城県 仙台MACANA
- 2018年3月11日(日)北海道 COLONY
- 2018年3月17日(土)大阪府 OSAKA MUSE
- 2018年3月18日(日)愛知県 ell.FITS ALL
- 2018年3月24日(土)東京都 新宿BLAZE(※千秋楽)
- 浅葱 / ASAGI(アサギ)
- 2003年結成のヴィジュアル系バンド・Dのリーダー兼ボーカリストかつ自身で立ち上げた有限会社GOD CHILD RECORDSの代表。Dでは全楽曲の作詞や作曲を担当し、作品のトータルプロデュースを手がけている。バンドとして動員やセールスを着実に増やし続ける傍ら、2006年にソロシングル「Corvinus」をリリース。2016年4月「Seventh Sense / 屍の王者 / アンプサイ」を発売し、ソロとしてメジャーデビューを果たす。2018年1月には浅葱名義でメジャー1stアルバム「斑」を発表し、2月に全国12都市を回る単独ツアーをスタートさせた。