アンテナ「モーンガータ」特集|メンバーインタビュー&高橋茂雄(サバンナ)対談で紐解く “ニューレトロ”なバンドの正体

自分の命をそのまま歌詞に吹き込んであげる

──メジャーデビューを飾る1stミニアルバム「モーンガータ」は、“ある一夜から朝にかけて”というコンセプトの元、制作されたそうですね。

渡辺 はい。僕らには、元気よく誰かの背中を押すのではなく、誰かにそっと寄り添って支えてあげられる存在になりたいというバンドとしてのテーマがあるんです。そこを今回の作品で表現するときに、夜という時間帯をコンセプトにするのがいいかなと思ったんですよね。夜って自分の悩みと向き合ったり、ちょっとしんみりしてみたり、よくも悪くも1人ぼっちになるものじゃないですか。そういうときに聴いてもらうことで、聴き手の方を支えられるものになったらいいなってイメージで。

鈴木 9曲くらいレコーディングした中から厳選した7曲を収録したので、すごくいい仕上がりになったと思います。一切妥協することなく、完成度の高い作品になったなと。個人的には2曲目の「アルコール3%」が気に入ってます。歌詞にも出てきますけど、リズムの感じとかを含めた全体の雰囲気がちょうどいいんですよね。“これがいい”ではなく“これでいいのさ”っていう、ちょっと気楽な感覚になれるところも僕に合ってる気がします。

渡辺 鈴木がそういう人だったからアンテナにもすぐなじめたのかもね。よかった(笑)。

──じゃ、皆さんそれぞれの推し曲を聞きましょうか。

本田尚史(Dr, Cho)

本田 実は僕の推し曲も「アルコール3%」なんですよね。夜、ちょっとほろ酔いで歩いてる情景がパッと思い浮かぶ歌詞がすごくいいなと。これが今回のレコーディングで最初に録った曲でもあって、ある意味、全体の基準や指針にもなったんですよね。そういう意味での思い入れもあります。

池田 僕はどれもほんとに好きな曲ばかりなんですよ。だから皆さんにも全部を思う存分味わってほしいですね。歌詞に関して言えば、「俺はここ、こう受け取ったんだけどさ!」みたいなことが各曲にあるんで、1人でツイキャスして思い切りしゃべりたいくらい(笑)。

──あははは(笑)。特に気に入ってる歌詞は?

池田晃一(G, Key, Cho)

池田 1番好きな歌詞は表題曲「モーンガータ」の2番サビ。「間違ったことなら数え切れずあって」とか「遠回りしていても」って部分には、自分たちの今までのことも込められていると思うんです。そういう表現がすごく好きなんですよね。

渡辺 僕は歌詞を書く際に、本当に自分が思っていることを一生懸命に伝えることを強く意識するんですよ。自分の命をそのまま歌詞に吹き込んであげると言うか。そうすることによって、きっと伝わるものが多くなるかなと思うので。ここ1、2年で見えてきたそういう歌詞の書き方は、今回のアルバムでもしっかり貫けたかなとは思いますね。

アンテナの音楽を愛してくれる結婚相手を探したい

──すべての作詞と作曲を手がけている渡辺さんの推し曲と言うと?

渡辺 「呼吸を止めないで」ですね。アルバムのリード曲としてずっと推してたんですよ。生と死をテーマにしつつ、明日をどう歩いていけばいいのかっていう指標になり得る曲は僕自身すごく惹かれるものなんですよね。なおかつ、アコースティックピアノでずっとリフを弾いているサウンドも、アンテナが掲げている“ニューレトロ”というコンセプトにふさわしいものだと思うし。でも結果的にリード曲は、スタッフさんからの強い要望もあり「モーンガータ」になりましたけど(笑)。

──いやでも「モーンガータ」も超名曲ですから。

渡辺 うん。今回は捨て曲が1つもないと思っているし、「モーンガータ」も自分の中でちゃんと好きな曲でもあるので全然納得してるんですけどね。この曲をタイトル曲にしたことでアルバム全体がギュッとまとまった気もしたし。これが正解だったと思います。

──先ほど出た“ニューレトロ”というキーワードについては、どんなイメージなんですか?

渡辺 僕の中には昭和歌謡とか昭和アイドルの、日本人にはなじみ深いメロディラインがルーツとしてあるんです。それを洋楽っぽいサウンドの中に混ぜ合わせることでアンテナとしての音楽、“ニューレトロ”というジャンルになるんじゃないかなっていう思いがあって。そういう部分を意識した音作りは常に意識していますね。

──では最後に、メジャーでの目標を聞かせてください。

渡辺 僕らはバンドとしての在り方、人間としての本質をしっかり楽曲に落とし込んだうえで、それに共鳴した人たちと出会いたいと思っています。CDが売れない時代だからこそ考えなきゃいけないことはもちろんあるとは思うんですけど、あくまでも目先の利益だけにとらわれることなく、10年20年先まで僕らの音楽を愛してくれる人たち……いわば結婚相手を探したいと思っているんですよね。そのために僕らから楽曲という形で告白をどんどんしていこうかなと。これから先の人生を幸せにすることを視野に入れて、ここからも、これまで以上に音楽を楽しんでいけたらいいなって思ってます。

アンテナ

──いいですねえ。渡辺さんはロマンチックですね。

鈴木 そうなんですよ、うちのリーダーはロマンチックなんですよ!(笑)

渡辺 あははは(笑)。あと、アンテナはライブを観てもらいたいバンドでもあるんです。もうすぐ「モーンガータ」のリリースツアーも始まるので、ぜひ遊びに来てほしいですね。

アンテナ「モーンガータ」
2017年10月18日発売 / BOGUS RECORDS
アンテナ「モーンガータ」

[CD]
1800円 / TECB-1006

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収録曲
  1. イダンセ街
  2. アルコール3%
  3. 呼吸を止めないで
  4. 無口なブランコ
  5. 深海おまじない
  6. モーンガータ
  7. ぼやけた朝陽

アンテナ
「メジャーデビュー1st mini AL『モーンガータ』release tour『Late at Night 2017』」

  • 2017年10月29日(日)宮城県 仙台MACANA(ワンマン)
  • 2017年11月18日(土)北海道 Spiritual Lounge
  • 2017年12月7日(木)愛知県 APOLLO BASE
  • 2017年12月9日(土)広島県 CAVE-BE
  • 2017年12月10日(日)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
  • 2017年12月15日(金)東京都 TSUTAYA O-NEST(ワンマン)
アンテナ
渡辺諒(Vo, G, Key)、池田晃一(G, Key, Cho)、本田尚史(Dr, Cho)、鈴木克弘(B, Cho)からなるロックバンド。渡辺を中心に2010年に結成、2011年12月にタワーレコード限定販売の1stミニアルバム「さよならの代わり」を発売する。その後は仙台を中心に精力的なライブ活動を行う傍ら、2015年5月に初の全国流通盤2ndミニアルバム「バースデー」をリリース。2016年2月には3rdミニアルバム「底なしの愛」を発売、10月に現在のメンバーが集まる。翌2017年1月に4thミニアルバム「天国なんて全部嘘さ」を発表。10月にメジャーデビュー作「モーンガータ」をリリースした。