angela|固定観念を“Beyond”するために

angela自体が「大サーカス」

──そんなバキバキのEDMから一転して、9曲目の温かく優しいバラード「道しるべ」へ。

atsuko “ザ・ウエディングソング”ですね。と言っても自分の結婚式ではなくて。angelaも活動歴が長くなってくると、ファン同士の交流歴も長くなって、ライブやファンクラブの旅行とかで仲良くなった子たちがどんどん結婚してるんですよ。「結婚することになりました」って婚姻届を持ってる写真とかをファンレターに同封してくれて、それを事務所の壁に貼ってるんですけど。

KATSU そういうコーナーが事務所にある。ファンの結婚報告写真を貼るコーナーが。

──すごいですね(笑)。

atsuko 本来出会う予定じゃなかった2人が、angelaという接点で交わって、しかも結婚するって、すごいことですよね。私たちが存在しなかったら一生関わらなかったかもしれないのに。そういうファンの子たちからの結婚報告の数が増えていくにつれて、ウエディングソングがあってもいいんじゃないかと。ただ、メロディはいい感じにできたんですけど、歌詞が全然書けなくて。たぶん私の中で、ピュアな結婚観がものすごく奥深い場所にある引き出しに仕舞われちゃってて。

──引き出しの開け方がわからなくなってたんですね(笑)。

atsuko そうそう(笑)。苦し紛れに「ブーケ」とか「バージンロード」みたいな結婚ワードも使ってみたんですけど、書けば書くほど結婚情報誌や結婚式場のカタログみたいになっちゃって。それで、“私目線”ではなく、男性の“僕目線”に切り替えたりして、やっと書けたんです。

──そうだったんですね。非常にシンプルで、地に足の付いた歌詞だと思いました。

atsuko ありがとございます。メロディラインもストレートなので、言葉も飾りすぎず。

──あとは、この曲で結婚式を挙げたファンの報告を待つのみ。

KATSU その声を早く聞きたいですよね。そのときこそ、本当に「この曲作ってよかったな」って思えるんじゃないかな。なので、報告待ってます!

──この「道しるべ」に続く、配信限定でリリースされていた「Calling you」(劇場アニメ「BLAME!」主題歌)も、ものすごく“Beyond”してますよね。要は、記号的な“angelaらしさ”をあえて排除しているようで。

atsuko そうですね。私たちらしいメロディもなければ、ファルセットもビブラートもない。

──「全力☆Summer!」とは別方向に振り切った、チルアウトトランス的な無機質な「Calling you」。からのアルバム最終曲「LOVE★CIRCUS」は、やや憂いを帯びた、しかし賑やかなビッグバンドジャズです。

KATSU 僕らは毎年、年末に「大サーカス」と銘打ったライブをやってるんですけど、今年はやらないんです。その代わり、12月に出るこのアルバムを、“大サーカスがまるっと収まってる”みたいな1枚にしたくて。あと、「大サーカス」で毎回歌う曲、言うなればテーマソングを作りたい。その歌詞の中に、忘れたくない人の名前を刻みたいっていう思いがあって。

atsuko 「大サーカス」にはもう10年以上、3人組のクラウンさんが出演してくださっているんですけど、今年の8月に、その中のお一人が病気でお亡くなりになったんです。3月の武道館での「特大サーカス」では元気にパフォーマンスを披露してくださっていたので、すごく驚いて。そういうこともあって、ね。

KATSU うん。

atsuko その方の名前は、ダイアナさんというんですけれど。

──だから歌詞に、「そうねダイアナ」という言葉が。

atsuko そうなんです。そのダイアナさんが、サーカスのようなステージで踊ったり、あるいは恋愛したりするとしたら、きっとこんな感じなんじゃないか……そう思いながら歌詞を書き上げました。

KATSU やっぱり「大サーカス」っていうショーが、angelaなんですよね。angelaが「大サーカス」をやってるんじゃなくて、angela自体が「大サーカス」なんだと僕は思っていて。だから「『大サーカス』ってこういうことだよね」という曲を作りたかったし、その「大サーカス」にいるべき人としてダイアナさんの名前を歌詞に入れさせてもらったし。レクイエムとかそういうことではないけど……。

atsuko 曲の中では、今なお輝いてるから。

KATSU 自分たちの中で、ダイアナさんが亡くなったことを受け入れられてない部分もあって。でもクラウンって、職業柄、人を悲しませてはいけないわけですよ。プロとして人を楽しませる、笑わせることしかしない。だから僕らが悲しむことはダイアナさんの本意ではないし、じゃあ曲にして楽しくしちゃおうって。

atsuko これから大事に育てていく曲でもあるよね。

KATSU そう。永遠に歌い続ける曲ですね。

angela

みんなの予想を“超越した”angelaへ

──この「LOVE★CIRCUS」でアルバムは賑々しく幕を閉じる……かと思いきや、12曲目にシークレットトラックが入ってますね。

KATSU それね、僕たちも知らなかったと言うか……。

atsuko 気付いたらアルバムに入っていたと言うか……。

KATSU 事務所の後輩のドメスティック♥ラヴバンド(atsukoとKATSUにそっくりなメンバーが在籍しているという設定のバンド)っていう、あまり知られていないバンドの曲なんですよ。彼らはもう10年活動してるんですけど、ひさしぶりに新曲を書いたようで。

atsuko 確か曲名は……「お前を傷つける奴にここでサヨナラを」でしたっけ? アルバムの収録曲ではあるんですけど、私たちのアルバムは汚されたくないので、ジャケット裏にも歌詞カードにも一切クレジットはないんです。

──なるほど(笑)。

atsuko ただ、これは現物を見てもらわないとわかりにくいかもしれないんですけど、一応、曲名や歌詞が書かれたシールがCDと一緒に入っているので、貼りたい人は歌詞カードの最後のページに貼ってください。

KATSU angelaとしてはね、11曲目までで完結してるんで。

atsuko でもね、うらやましい部分もあるんです。私は、例えばイメージソングとかだと、あえて抽象的な言葉を選んだり、「こうだ!」ってまっすぐものを言えないことがあるんですけど、彼らの歌詞は「生きろ!」とか「逃げろ」とか、だいたい直球なので。

──「理不尽からは気合で逃げろ」って、いいフレーズですね。

atsuko やっぱりね、自分を傷付けてはいけませんよ。そういうことを正面から書けるっていうのはね。

KATSU うらやましいですね。見習いたいです。

──最後に2017年を振り返りつつ、2018年の展望をお願いします。

atsuko 2017年は、ホントに楽しい年でした。3月に初の武道館公演もできて。それも、近年はデビューして2年や3年でひょいと武道館のステージに立たれる方も多い中、私たちはデビュー14年、結成24年……重いっ!(笑) でもその重さを出さずに、楽しいことだけを詰め込めたのも自分たちにとって収穫だったし、それだけの年月を重ねたからこそできたことだとも思うし。何より、私たちよりお客さんのほうがむしろ喜んでくれたことがうれしくて。来年1月にはまたツアーで各地に行けるので、さらに“その先”にあるものを見つけたい。そういう気持ちで音楽活動をやれていることが、今すごく幸せで。

──それはアルバム1枚を通して聴いてすごく感じました。「この人たち、超楽しそうだな」って。

atsuko 私たちも自分たちに飽きたくないし、お客さんにも飽きられたくないし。その思いからか、どんどん自由になっているので、2018年はもっと自由に。とは言え、羽目を外しすぎず、きちんとすべきところはきとんとして、楽曲制作や歌唱に取り組んでいきたく思っております。

KATSU やっぱりデビューして14年にもなると、angelaのイメージも固まってしまうんだなと。それに気付き始めたタイミングで、「全力☆Summer!」によって「angelaって、もっと自由で楽しいものなんだよ」っていうメッセージを打ち出せたっていうのが、自分にとっては2017年の大きなトピックだったんですよね。この調子で2018年も、みんなの予想を超越したangelaをお見せしたいです。

angela「Beyond」
2017年12月20日発売 / KING RECORDS
angela「Beyond」初回限定盤

初回限定盤
[CD+Blu-ray Disc]
3888円 / KICS-93658

Amazon.co.jp

angela「Beyond」通常盤

通常盤
[CD]
3240円 / KICS-3658

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. 僕は僕であって
  2. 全力☆Summer!
  3. Dream on
  4. Prologue -君の向こう側-
  5. 語り継がれしもの
  6. あの夏空
  7. SEVEN STORIES
  8. Beautiful day
  9. 道しるべ
  10. Calling you
  11. LOVE★CIRCUS
初回限定盤Blu-ray収録内容
  • 「angela 全力☆Live!2017」ツアー密着メイキング
  • 「此処に居るよ」武道館LIVE用特別映像
angela(アンジェラ)
岡山県出身のatsuko(Vo)とKATSU(G, Key)による2人組ユニット。それぞれ音楽を志し上京した後に結成し、2003年にテレビアニメ「宇宙のステルヴィア」のオープニング主題歌「明日へのbrilliant road」でメジャーデビュー。1stシングルながらオリコン週間シングルランキングで15位をマークし、瞬く間にアニメソングシーンで存在感を示す。以来「蒼穹のファフナー」シリーズ、「アスラクライン」、「K」シリーズなど、多くの人気アニメの関連楽曲を担当。また「Animelo Summer Live」やアメリカの「SAKURA-CON」、カナダの「CANADIAN NATIONAL EXPO」、フランスの「Japan Expo」など、国内外の大型アニメ系イベントにも多数出演する。2014年には5月にアニメ「シドニアの騎士」のオープニングテーマ「シドニア」を発表。この曲は同年、アニメファンが選ぶ「アニメーション神戸賞」で主題歌賞を受賞した。2017年3月には自身初の東京・日本武道館単独公演「angelaのミュージック・ワンダー★特大サーカスin日本武道館~僕等は目指したShangri-La~」を開催。同年12月にはニューアルバム「Beyond」をリリースした。