ナタリー PowerPush - androp

僕らが見たかった景色

3月23日にandropが行った初のアリーナ単独公演「one-man live 2014 at 国立代々木競技場・第一体育館」(参照:androp代々木第一体育館に1万人、光と音が舞う歓喜の光景)。このライブの模様が、6月29日(日)12:30よりWOWOWライブにて放送される。

ナタリーではこれを記念して、WOWOW公式サイトにアップされたメンバー4人のインタビューを拡大版テキストでお届け。彼らは結成時の心境やバンドの音楽性を改めて見つめた上で、約1万人の観客と作り上げた代々木ライブの感想を語った。

取材・文 / 三宅正一(ONBU) 撮影 / 福岡諒祠

合わせた瞬間に音で会話ができた

──今日は結成からの5年間を振り返る話と代々木第一体育館のライブについて聞きたいんですけど、まずはこの5年間の話から。改めて、内澤くんが最初にどんな理想像を描いてandropを始動したのか教えてもらえますか?

内澤崇仁(Vo, G)

内澤崇仁(Vo, G) もともと僕はものすごく音楽が好きで。地元でバンドを組んで上京し、東京のライブハウスで活動していたんですけど、うまくいかなくて。前のバンドが解散したときにもっとしっかり、真剣に自分の頭の中で鳴っている音楽を具現化したいと思ったんですね。それがandropの始まりでした。音楽がすごく好きだからこそ、世の中にあるような簡単に作られ捨てられていく音楽を僕は許せなくて。そういう日本がヤだなと思ったし、それを変えたいと思ったんですね。だからこそ、自分のそういう意識を共有できる、自分が信じられる音楽を一緒にやっていけるメンバーを探そうと思ったんです。

──初めて3人に会ったときの印象はどうだったんですか?

内澤 前のバンドのときにギターの佐藤くんが組んでいたバンドとは対バンしたことがあって。そのときから佐藤くんのギタープレイがすごく目に焼き付いていたんです。歌を口ずさみながら楽しそうに演奏していて。すごくいいギタリストだなと思ってたから声をかけました。佐藤くんは小さい頃にピアノをやっていたらしくて、それもあって基礎がしっかりしてるんです。直感的に演奏するんだけど基礎がしっかりしてるから、僕が無理なリクエストをしても簡単に返してくれる。頼りになります。

──リズム隊との出会いは?

伊藤彬彦(Dr)

内澤 前田くんは共通の知り合いに紹介してもらって。で、ドラマーはどうしようかなと思ってるときに、前田くんと伊藤くんが昔から知り合いで一緒に連れてきてもらったんです。そこから3人に僕が作っていたデモを前もって渡してスタジオに入って。

──そのときのことははっきり覚えてますか?

内澤 覚えてます。スタジオで音を合わせた瞬間に音で会話ができたんです。僕が考えたフレーズや音を事前にしっかり吸収して、さらにもっと曲がよくなるように表現しようとしてくれてることがわかって。これはいいバンドになると思いましたね。5年前も今もそうですけど、僕が作るフレーズってめちゃくちゃなものが多いんですけど、前田くんはいとも簡単に弾くんですね。でも、実はその裏ではめちゃくちゃ練習していて、真っ黒になった譜面を隠し持ってたりするんです。それは伊藤くんもそうなんですよ。伊藤くんは僕のフレーズをすごく音楽的な思考で噛み砕いて表現してくれるからありがたいです。

──一方、3人は内澤くんの楽曲や彼が抱いてたバンド像にどのような印象を受けましたか?

前田恭介(B)

佐藤拓也(G, Key) 最初に内澤くんから声をかけてもらって十何曲のデモを聴いたときに、これはすごいなと。こんな曲を書ける人がいるのか、と思いました。メンバー全員でスタジオに入ったときも同世代でこんな演奏力のあるやつらがいるんだって驚いたし。僕ら3人が共通してるのは、内澤くんが作る曲をすごくリスペクトしてるということで。それを自分たちの力でもっといいものにしようという思いがすごくあるんですよね。もともと友達同士ではないけど、この5年間、大きなトラブルもなくお互いを高め合いながら演奏できてるのはそれが大きいと思います。

伊藤彬彦(Dr) うん。音楽に対する思いが凝縮された、この人のためにドラムを叩きたいと思えるようなデモだった。

前田恭介(B) 僕も初めて聴いたデモから最新のデモまで、ワクワクしなかったことが1回もなくて。自分の演奏でさらにみんなをワクワクさせたいと思うし、ベーシストとして誰よりも最初に内澤くんの曲を聴けることがすごくうれしいんですよ。

内澤 僕としても世界一のギタリスト、ベーシスト、ドラマーだと思ってるので。この4人でなければ表現できない音楽を鳴らしてると思います。

一番大事にしてるのは“聴き手ありき”

左から内澤崇仁(Vo, G)、前田恭介(B)。

──内澤くんの楽曲は当初から、高いクリエイティビティを誇るサウンドと、確かなポピュラリティを持った歌が同居していると思います。ソングライティング、コンポーズにおいてもっとも意識してることはなんですか?

内澤 一番大事にしてるのは聴き手ありきということで。聴き手が興奮できて感動できる曲を作りたいと常々思ってます。あとはすでにこの世にあるような曲を作っても面白くないと思っていて。今まで聴いたことないもの、「ありそうでなかったよね」って言われるようなものを作りたいですね。たくさんの人に届くんだけど、たくさんの人が聴いたことないと思えるそのギリギリのラインを意識してます。

左から伊藤彬彦(Dr)、佐藤拓也(G, Key)。

──そのギリギリのラインを目指せば目指すほど体現するのが難しくもなりますよね。

前田 そうですね。だからこそワクワクするんですけど、ワクワクしてるだけではしょうがなくて。デモをもらってからこの曲をどう表現するか準備を始めても遅いんですよね。だから、1日1日精一杯努力する。そうしないと内澤くんの曲には追いつけないので。みんな常に自分を磨くことを意識してると思います。

佐藤拓也(G, Key)

──初期はメンバーのパーソナリティをベールに包んでいたじゃないですか。でも、徐々に4人の実像が明らかになっていくことでバンドの結束力も上がったんじゃないかと思うんですよね。

佐藤 そうですね。この5年間でバンドの見せ方、見られ方は変化しました。名前や顔を出さなかった時期ってある意味においてはラクな部分もあったのかなって思うんです。曲を鳴らすことに徹すればよかったから。でも、今は自分たちの“個”を出して演奏するぶん、より楽曲のクオリティに恥じない活動やライブをしなきゃいけないという思いが強くありますね。それができる自信も持ったし。特に代々木のステージに立つ前のツアーでは4人でよく話し合ったんですよ。andropとはどういうバンドで、自分がこのバンドにいなきゃいけない意味はなんなのかって、それぞれが考えて。そのあとの代々木だったから思いは強かったし、自信を持ってステージに立てました。

WOWOWライブ「androp one-man live 2014 at 国立代々木競技場・第一体育館」

2014年6月29日(日)12:30~

2014年7月13日(日)26:00~(リピート放送)

3rdフルアルバム「period」2014年3月5日発売 / unBORDE
初回限定盤 [CD+DVD] 3888円 / WPZL-30785~6
通常盤 [CD] 3240円 / WPCL-11709
one-man live tour "period"
  • 2014年8月30日(土)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2014年8月31日(日)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2014年9月6日(土)北海道 Zepp Sapporo
  • 2014年9月13日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2014年9月23日(火・祝)東京都 Zepp Tokyo
  • 2014年9月24日(水)東京都 Zepp Tokyo
  • 2014年9月27日(土)大阪府 Zepp Namba
  • 2014年9月28日(日)大阪府 Zepp Namba

料金:5400円(税込、ドリンク代別)
チケット一般発売日:2014年7月5日(土)

<先行予約>
受付期間:2014年6月19日(木)10:00~7月2日(水)18:00
受付URLはこちら

※9月6日Zepp Sapporo公演、9月23日Zepp Tokyo公演の2F指定席の受付はありません。

New Audiogram ver.8 -New Audiogram 8th Anniversary-

2014年7月24日(木)東京都 新木場STUDIO COAST

<出演者>
androp / Fear,and Loathing in Las Vegas / and more(オープニングアクト)

NUMBER SHOT 2014

2014年7月26日(土)福岡県 海の中道海浜公園野外劇場

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014

2014年8月9日(土)茨城県 国営ひたち海浜公園

androp(アンドロップ)
androp

内澤崇仁(Vo, G)、佐藤拓也(G, Key)、前田恭介(B)、伊藤彬彦(Dr)の4人組ロックバンド。2009年12月に1st album「anew」でデビュー。緻密なサウンドアプローチと多角的な音楽表現のみならず映像作品やアートワークでも注目を集めており、フランスのカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル、アメリカのOne Show Designなど国内外のアワードを受賞している。2013年春に行われた初のホールツアーは全公演完売。音響、照明、映像が三位一体となった総合空間演出は高い評価を得ている。8月にはドラマ「Woman」主題歌「Voice」を、11月27日には映画「ルームメイト」主題歌「Missing」をシングルとしてリリース。CDデビュー5周年を迎えた2014年、3月に発売された最新アルバム「period」はオリコンデイリーランキング初登場トップ5入りを記録。また、同月末に東京・国立代々木競技場第一体育館にて行われた初のアリーナ単独公演はソールドアウトし、1万人を動員した。