ナタリー PowerPush - 安東由美子

踏み出す勇気に年齢制限はない 遅咲きシンガー1stアルバム完成

家にいるときはずーっとYouTubeで昭和の映像を見てる感じ

──そもそも安東さんはなぜ昭和に惹かれるんでしょうね。

なんなんでしょうね。基本的に、古い女なんです。私、必死でiPhoneを使ってはいますけど、そういうのがもう全然ダメなんです。iPadとかを使ってる人とか見ると、「持ってんだ、iPad!」みたいな。時代とともに進化していく感じに付いていけないんです。いまだに正直iTunesがわかりません(笑)。

安東由美子

──じゃ家では黒電話みたいな。

あはははは(笑)。それはさすがにないですけど、最近のテレビ番組なんかにも全然付いていけない感じはありますよ。家にいるときはずーっとYouTubeで昭和の映像を見てる感じです。だから歌詞に「おめかししたわ ヘアピンつけて」(「いちごミルク」)みたいなフレーズがポロッと出てくるんでしょうね。そういう歌詞を送るたびにプロデューサーの方々は喜んでくれてましたけど(笑)。

──推し曲だとおっしゃっていた「意固地」もそうとう昭和。メロディがかなりクセになる曲ですね。

ギターのイントロからして素晴らしいですよ。神です。これは、地方にあるカラオケスナックみたいな曲だねってよく言われます。2階からママが下りてきそうだねって。最近の人はみんな素直になれないと思うんですよ、恋愛なんかでも。だから1番では「あたし意固地」、2番では「あなた意固地」、3番では「みんな意固地」って歌ってます(笑)。

──もう「意固地」っていうワードからして、ね(笑)。

ですよね(笑)。ただ、全ての曲がそうなんですけど、昭和っぽさがあると言っても50~60代の方だけではなく、10~20代の方にも聴いていただけるものにはなっていると思うんですよ。演歌っぽいわけではないので、ライブでは手拍子して楽しんでもらえると思いますし。そういう意味で、本当にたくさんの方にぜひ聴いてほしいんですよね。

年齢を理由にあきらめず、自分の思う一歩を踏み出してほしい

──そんなアルバムに「年齢制限」というタイトルをつけたのはどうしてですか?

それはですね、今の音楽業界を見渡してみても、この年齢でシンガーソングライターになった人ってそんなにいないと思うんですよ。

──……まあ安東さんは年齢を公表されていないのでなんとも言えないんですけど。

あははは(笑)。確かにそうですね。でもかなりの遅咲きなんです。でね、私って小学校のときになりたかった職業がデカ(刑事)なんですよ。

──いきなりなんの話ですか(笑)。

「西部警察」のDVDは全て揃えてて、セリフも全部覚えてるくらいなんです、私は(笑)。で、そういう警察官みたいに年齢制限がある職業も世の中には確かにあると思うんですけど、基本的には何をするにも年齢は関係ないと私は思ってるんです。例えば今、私が50歳だとして、20歳の男の子を好きになったとしても結末はわからないじゃないですか。「挑戦」と「勇気」「根性」です。そして「優しさ」。

──なるほど。年齢をあきらめる理由にすべきではないと。

そう。年齢なんて考えず、自分の思う一歩を踏み出して生きてほしいなって私はすごく思うんです。なので、このアルバムを通してそういったことを感じてもらえたらうれしいなと思います。プロデューサーの方々にこのタイトルを言うと、みんな「出たー! いいねえ」って言ってました(笑)。

──安東さんっぽいんでしょうね、ワードセンスが(笑)。じゃ最後に、ここから先の活動について訊かせていただけますか?

12月に初めてのツアーとして東名阪を周ります。OL時代にスタッフとしてツアーを周ったことはあるのですが、アーティストとしては初めての経験なので楽しみですね。入口でスタッフさんに間違えられたり、物販を自分で売っちゃったりしないように(笑)。

──いやいや(笑)。

これまでの2回のワンマンでは、親しいアーティストの方々にゲストとして登場していただいてたんですけど、ツアーはバンドを従えて安東由美子だけでのステージになるのでいつも以上に気合いが入ると思います。あとは、聴いてくれる方がいるならば、それが例え1人でも300人でも私は音楽を続けていこうと思っていますので、引き続き全国フリーライブや路上ライブは今後もやっていきます。そっちは私1人での弾き語りになるので、またきっと鍛えられるんじゃないかなって思ってます。で、来年には違った活動も予定しているので、そちらもぜひ楽しみにしていてください!

──今後も止まらず突っ走る感じですね。

休むとダメ人間になるタイプなので、甘えずがんばってやっていきたいと思います。とにかく聴きたいときでいいです! 皆さん、「年齢制限」をよろしくお願いします! ちょっと元気になれますよ。あとはこのアルバム発売後、考えかたを変えて活動していくつもりです。いつも誰かに頼るんじゃなくて、1人で音楽を背負います。「強さ」がないと「弱い」人を助けたりなんてできない。今後は派手なこととかあんまりしないかもしれないです。なので路上ライブとフリーライブは1人でサポートなく、ステージに立つつもりです。ひとりぼっちをすべて身体と心で感じます。

安東由美子

ニューアルバム「年齢制限」 / 2012年9月19日発売 / 3000円 / 未来RECORDS / AYMR-0003

収録曲
  1. 意固地
  2. ホームランは狙わない
  3. 平凡ガール
  4. ジョーカーになりたい
  5. 一ヶ月
  6. 月にナイショ
  7. はんぶんこ
  8. 9月の風
  9. 濡れた手紙
  10. 大人の胸キュン
  11. 転校生のお弁当
  12. いちごミルク
安東由美子ツアー「あんゆみの冬の陣」

2012年12月10日(月)
愛知県 名古屋TOKUZO

2012年12月11日(火)
大阪府 心斎橋 Music Club JANUS

2012年12月13日(木)
東京都 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

安東由美子(あんどうゆみこ)

3月15日生まれ、東京生まれ広島市育ちの女性シンガーソングライター。音楽業界のOLとして働いていたが、2010年秋より作詞作曲活動を開始し、同時に都内でのライブ活動をスタートさせる。2011年9月に根岸孝旨のプロデュースによるシングル「平凡ガール」でデビュー。路上ライブ、47都道府県フリーライブ、都内でのライブを活発化させ、着実にファン層を増やしていき、OL時代から憧れの存在であったドラマー古田たかしにバンドマスターをお願いし、フルバンドで2012年9月には東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでワンマンライブを完売、敢行した。1stアルバム「年齢制限」を2012年9月19日にリリース。12月には初の東名阪ツアーも決定している。