ナタリー PowerPush - 安東由美子
踏み出す勇気に年齢制限はない 遅咲きシンガー1stアルバム完成
グレートマエカワさんに「メロディも歌詞も昭和っぽいなあ」って言われて
──今回リリースされる初のアルバム「年齢制限」は、ご自身ではどのような内容になったと思いますか?
この1年は休みもなくずっと音楽をやっていたので、てんで出会いもなく(笑)。なので過去の自分の苦しすぎる(笑)恋愛の遺産(笑)を掘り起こしては曲にしていってた感じですね。届かぬ思いみたいなところが結構曲に出てるかなって思います。でも、恋愛の曲ばかりかというとそうでもなくて、人生観にまつわる曲も半分ぐらいでかなり多いんです。
──胸を打つメッセージが込められた曲が多いですよね。
例えば「転校生のお弁当」なんかは、今さかんに報道されているイジメ問題を、自分の経験を含めて世間に発信したいなと思って書いた曲なんです。あとは誰しもが経験する「死」というものに焦点を当てた「一ヶ月」「9月の風」っていう曲もあります。
──そういったさまざまな楽曲たちを根岸孝旨さん、黒沢秀樹さん、佐久間正英さん、THE GATES(安だらけの母体バンド)、杉真理さんといった豪華なかたがプロデュースされていますね。
プロデューサーの方々にはご迷惑をかけっぱなしでした。とにかく、歌詞を持っていくのが歌入れの日なんです、私。メロディは先にお渡しして選んで頂くんですけど「迷惑極まりない」シンガーソングライターです(笑)。ザックリした歌詞を付けた仮歌を元にアレンジをしていただくんですけど、歌入れ当日になったら180度違った内容が歌詞になってることがほとんどです。
──それ、すごいですね(笑)。
ほんとに私をプロデュースしてくださる方々は大変だと思います(笑)。そうなったのって、デビュー曲「平凡ガール」を出した後、自分の中で曲の作り方が大きく変わったことが原因だと思うんですよね。
──どう変わったんですか?
「昭和」というものを強く意識する作り方になったんです。メロディや歌詞に関して、そこをイメージしながらものすごく考えて作るようになったから。
──え、でも「平凡ガール」から既に昭和の匂いはたっぷり漂っていましたよね。
そうなんですけど、実はそれって自分では全く意識したものじゃなかったんです。自然と自分の中から出てきたものだったんです。でも、デビュー曲を聴いたフラワーカンパニーズのグレートマエカワさんに「昭和っぽいなあ。昭和歌謡のようだ」って言われたことで、じゃあそこを自分のカラーにしようって明確に思いました。
──なるほど。
アルバムの中の「ジョーカーになりたい」と「月にナイショ」を最後に作ったんですけど、そういった安東由美子としての変化はそこに一番出てると思いますね。
黒沢秀樹さんが「腹をくくった」って言ってました
──でも、安東さんの曲からにじみ出る昭和感っていうのは、頭で考えて作られたものじゃないような気もするんですよ。あざとさは一切なく、ご自身の体に流れているものとしてすごくナチュラルに響いてくるというか。
確かに確かに。よくよく考えてみれば、私が音楽を聴くようになったきっかけは姉の影響もあって、それこそC-C-Bだったりとか80年代に活躍した人たちなんです。だから意識せずとも80年代に集約されてると思います。
──その上で、そこを意識することでより昭和感が色濃くなる部分があると。
そうなんでしょうね。なおかつプロデューサーの方々がそこをものすごくよく理解してくださったっていうのもありますし。アルバムの推し曲「意固地」は、プロデューサーの黒沢秀樹さんが、「腹をくくって作った」っておっしゃってました。あのL⇔Rの黒沢さんが昭和歌謡をやるっていう部分で(笑)。杉真理さんにお願いしたのも、昭和の時代をよく知ってらっしゃるからっていう理由です。最初はスケジュール的に難しかったんですが、「そこをなんとか。1曲だけでも」とお願いして引き受けていただきました。杉さんにお願いできたことは大きかったです。
──杉さんが手がけた「いちごミルク」はイントロからかなりの昭和っぷりですよね。
最初にできた黒沢さんの「意固地」を杉さんに聴いていただいたら、「いいねえ」って言って頂いて(笑)。この2曲共すごいインパクトだと思います。
ニューアルバム「年齢制限」 / 2012年9月19日発売 / 3000円 / 未来RECORDS / AYMR-0003
収録曲
- 意固地
- ホームランは狙わない
- 平凡ガール
- ジョーカーになりたい
- 一ヶ月
- 月にナイショ
- はんぶんこ
- 9月の風
- 濡れた手紙
- 大人の胸キュン
- 転校生のお弁当
- いちごミルク
安東由美子ツアー「あんゆみの冬の陣」
2012年12月10日(月)
愛知県 名古屋TOKUZO
2012年12月11日(火)
大阪府 心斎橋 Music Club JANUS
2012年12月13日(木)
東京都 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
安東由美子(あんどうゆみこ)
3月15日生まれ、東京生まれ広島市育ちの女性シンガーソングライター。音楽業界のOLとして働いていたが、2010年秋より作詞作曲活動を開始し、同時に都内でのライブ活動をスタートさせる。2011年9月に根岸孝旨のプロデュースによるシングル「平凡ガール」でデビュー。路上ライブ、47都道府県フリーライブ、都内でのライブを活発化させ、着実にファン層を増やしていき、OL時代から憧れの存在であったドラマー古田たかしにバンドマスターをお願いし、フルバンドで2012年9月には東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでワンマンライブを完売、敢行した。1stアルバム「年齢制限」を2012年9月19日にリリース。12月には初の東名阪ツアーも決定している。