4人組ボーカルグループ・et-アンド-が1月4日に新曲「恋のせい、」をリリースした。
「恋のせい、」はet-アンド-が2022年から発表している“春夏秋冬4部作”の第4弾となる冬ソング。テレビ東京ほかで放送中のドラマ「それでも結婚したいと、ヤツらが言った。」のオープニングテーマであるこの曲では、恋に奮闘する人間の複雑さ、カオスさを描いた歌詞が、80年代のディスコクラシックを彷彿とさせるダンサブルで中毒性のあるサウンドに乗せて歌われている。
音楽ナタリーでは「恋のせい、」で今年の活動を好発進させたet-アンド-にインタビュー。“2023年”にちなんで“23の質問”を用意し、新曲のみならずプライベートや恋愛観のことなど、さまざまな問いに答えてもらった。
取材・文 / 小野田衛撮影 / 藤木裕之
──1月4日に配信シングル「恋のせい、」がリリースされました。ディスコ調のアッパーなサウンドが非常に新鮮です。
野島樺乃 この楽曲は“春夏秋冬4部作”の第4弾で、ドラマ「それでも結婚したいと、ヤツらが言った。」のオープニングテーマになっています。今年デビュー3年目を迎える私たちにとって初のドラマタイアップなので、本当にありがたい話です。歌詞では恋愛にまつわるぐちゃぐちゃした感情やカオスな気持ちが描かれていて、こちらも今までのet-アンド-にはなかったものだと思います。
栗本優音 バックのサウンドもすごく凝っているんですよ。よく聴くと裏でいろんな音が鳴っているので、ぜひそこにも注目していただきたいです。
──年明け早々、この曲で新たな境地に挑戦したet-アンド-ですが、今回は4人のキャラクターや考えをさらに深く知るための質問23項目を用意させていただきました。
山崎カノン 23の質問? あっ、そうか! 今年が2023年だからですね。
モラレスきあら なんでも答えますので、どんどんいきましょう!
4人4様のキャラクター編
① 一番根性のあるメンバー
山崎 堂々としているのは、やっぱり最年少の優音ちゃんじゃないかな。デビュー当時からそれは言われてましたね。ボイストレーニングの先生いわく、「栗本さんは自分では緊張しているって言うけれど、ステージ上では一番堂々としている」って。「肝が据わっているね」と感心されていました。
モラレス 確かにそれはよく言われていた。「ステージだと顔がガラっと変わる」とか。
山崎 本番前、2人ずつ左右のステージ袖にスタンバイすることがあるんですよ。私は優音ちゃんと一緒になることが多くて、そこでは「ヤバい。緊張してる。ドキドキが止まらない」とか言ってるんですけど、いざステージに出ると「本当に緊張していたの?」って思うくらい堂々としていて。プレッシャーに強い性格は単純にうらやましいです。私、めっちゃ緊張しいなので。
栗本 うーん、どうだろうな。性格の問題ではない気もするんですよ。というのは、堂々とするのは自分で心がけていることなので。やっぱり自信がなさそうに思われたら、このお仕事って終わりじゃないですか。例えばステージ上で失敗したときに、「失敗なんかしていません」という感じでそのまま流すのも技術の一部でしょうし。
山崎 意識の問題ってことね。ますますカッコいい。私も見習いたいと思います!
② 実は最年少メンバーが一番しっかりしている説
モラレス 確かに初期は、優音がしっかり者だとよく言われていました。3人が笑っているのに、優音だけ笑っていない場面も目立ちましたし。だから「冷静だね」「大人っぽいね」という声が多かったんです。でも最近は……どうなのかな(笑)。
栗本 待って! これに関しては私、言いたいことがあるんです! まず私だけ笑顔じゃなかったのは、単純に笑いのツボが他人とズレているからで(笑)、本当に深い意味はないんですよ。実際は全然しっかりしていないのに「落ち着きがある」「責任感がある」とファンの方からも言われて、実はそのことがかなりプレッシャーになっていて……。
野島 雑誌の記事でも「真面目キャラ」みたいに書かれることがあったね(笑)。
栗本 それも内心、気まずかった(笑)。デビューした頃は、まだお姉さんたちに素の自分を出せていない状態だったんです。だけどメンバーとして毎日のように一緒にいるうちに、人見知りな私でも心を開けるようになったというか……。だからこれは「私がしっかり者じゃなくなった」という話じゃなく、「4人の絆が深まった」と解釈していただければ幸いです!
③ メンバーに直してもらいたい“悪癖”
野島 山崎カノンちゃんに関しては、個人的に「いかがなものかな?」と思うところがありまして……。
山崎 えっ、何? 怖い怖い!
野島 いい加減、バッグを持ち歩いてほしい! いい大人なのに、いつも手ぶらでいるんですよ(笑)。一応、レッスンのときはレッスン着とかシューズを用意しないといけないからトートバッグを持ち歩いていて。でも、MVやジャケット撮影の日はメイクさんが道具を用意してくれるし、特に自前の持ち物はいらないということで……。
栗本 ちなみに今日も当然のように手ぶらで現れたよね(笑)。
野島 パーカーのお腹部分に手を突っ込めるスペースがあるじゃないですか。家の鍵とか携帯の充電器とか、あそこに全部を入れてるみたいなんです。
モラレス 帽子を逆さまにして、そこに突っ込んでいたこともあった。なぜそこまで頑なに鞄を使わないのか(笑)。
──根本的に荷物が少ないということですか?
モラレス それもあるけど、自分に自信があるからじゃないですかね。いくら現場でメイクさんがつくとはいえ、普通、リップくらいは持ち歩くと思うんです。その最低限のものさえ持たないということは、「ありのままの自分でOK!」という意味だと私は解釈しています。
栗本 常にご近所さんスタイルですからね。ちょっとコンビニにジュースを買いに行くような感覚で、遠征の集合場所にも現れますし。
野島 遠征といえば、ギョッとしたことがありまして。ホテルのアメニティで、化粧水とか置いてあるじゃないですか。カノン、あれを頼りにしているものだから化粧水も持ち歩かないんです。でも部屋に備え付けられていない場合だってあるし、女の子としてあれを使うのは最後の手段という感じはしますよね(笑)。この前も「え? 今日ないじゃん」ってオロオロしていました。
山崎 本当に言われたい放題ですね(笑)。でも逆に3人に聞きたいのは、「何をそんな持ち歩く必要があるの?」ということ。必要最低限のものだけで十分というのが私の基本的な考え方なんです。私から言わせると、現代人は荷物に縛られすぎている気がするんですよ。
野島 まさかの問題提起! もうこれは立派なポリシーのようなので、直らないことがよくわかりました(笑)。
④ 今、グループ内で流行っているもの
山崎 ラーメン! もともと食べることが大好きな4人なんですけど、マネージャーさんもラーメン情報に明るい方で。et-アンド-のLINEグループでは、全国各地のラーメン屋さんの情報が飛び交っています。
モラレス 全国のラーメン屋さん巡りは、ツアーやイベント出演の大きなモチベーションになっています。ちなみに私は家系に目がないです。
野島 私は辛いラーメン! 実は好きなジャンルが4人とも違うんですよ。
栗本 私の好みはあっさり系かな。
山崎 逆に私は背脂たっぷりで、濃厚なラーメンが大好物!
栗本 et-アンド-はボーカル面で4人の個性がバラバラなのが特徴ですが、そのことはラーメンの趣味にも表れているんじゃないでしょうか(笑)。
⑤ 「実はこの子、すごいのでは?」と感じたエピソード
モラレス (野島)樺乃のトーク力! 例えば取材中に予想もしていなかった質問をされて私たちが答えに窮しているときも、最初に口を開くのは常に樺乃なんです。私はそんなに言葉がつらつら出てこない。
栗本 伝え方も上手なんですよね。余裕があると言いますか。私はテンパると早口になる癖があるので、そこは見習わなきゃと思います。
──確かに野島さんは、SKE48在籍時よりも自分の考えをしっかり伝えるようになった印象があります。
野島 でも、急にトーク力が上がったわけではないとは思うんです。作品を作る過程で自分たちの意思が反映されているので、自分の言葉で説明しやすくなったのかなって。
山崎 でも以前にも増して、最近の樺乃はリーダーらしくなったと感じることも多いです。
野島 リーダーとしての自覚は強くなったかもしれないね。みんなが何を話していいかわからずにシーンとしちゃったときは、「とりあえず自分がこの場を収めなきゃ」としゃべるようにしていますし。そう考えると、私も少しは変わったのかな。
侃々諤々の哲学編
⑥ 男女間に友情は成立する?
──新曲「恋のせい、」は恋に奮闘する人間の面白さや複雑さを描いた楽曲ということで、恋愛のことなど哲学的な話にも触れさせてください。
モラレス このテーマは簡単。男女間の友情は成立するに決まっています。
山崎 早っ! その根拠は?
モラレス 「成立しない」と言う人は、自身がそういうタイプの人間なだけだと思うし、異性といちいち恋愛関係になっていたらしょうがないじゃないですか(笑)。だいたい、世の中には男と女しかいないんだから、その半分と友達になれないとしたら悲しい。
栗本 その意見は私も同意。これは反対意見もなさそうなので、次にいってみましょう!
⑦ 別れた恋人と復縁ってできる?
栗本 復縁できると思います。なぜかというと、まず別れたあとに人間的に成長できるというケースもあると思うから。それに私の考えだと、恋人同士になった時点で2人は運命の関係なんですよ。別れて再びやり直すということは、その運命の関係が想像以上に強固だったという話。それこそが本物の愛という気もします。
──(首を横に振る3人を見て)栗本さん以外は、復縁はありえない派ですか?
モラレス 当たり前じゃないですか! そもそも別れるということには、何かしら理由があるわけですよ。それが浮気なのか生活上のことなのかはわからないけど、相手に嫌なことがあるから恋が終わったんです。別れるという決断を出した時点で相手の人はもう自分の中にはいないと思いますね。ましてや、やり直すなんて論外ですよ。
栗本 えー、そうかなあ? ちょっと納得できないけど……。
──議論が白熱しそうなので、この続きはet-アンド-の歌詞に反映していただければと思います(笑)。
⑧ 世の中に優しい嘘って存在する?
山崎 これ、めちゃくちゃ深いテーマだなあ。実際、どうなんだろう?
モラレス その嘘を最後までつき通せるんだったら、アリだと思う。でも途中でバレるような嘘なら、最初からつかないでほしい。嘘をついたほうは善意のつもりでも、つかれたほうは「騙された!」って怒り出しますよ。
野島 こういう話題を語るときに外せないのは、サンタクロース問題だと思うんです。子供たちがサンタの正体を知る必要はないですから、これに関しては優しい嘘。私は真実を知ったとき、トラウマになるくらいショックでしたが……(笑)。
モラレス サンタは確かに優しい嘘かもね。そう考えると、必ずしも本当のことを知ることが幸せじゃないのかもしれないな。
⑨ なぜ戦争はなくならない?
野島 世の中に自分とまったく同じ人っていないじゃないですか。「復縁はありか?」「好きなラーメンは何系か?」……たった4人の間でも意見がまとまらないわけで。それぞれ説得力があるし、自分は正しいと思っている。それは言ってみれば自分の“正義”ですよ。そして正義を貫こうとすると、どうしてもぶつかってしまう。
──et-アンド-のオリジナル曲に「Matryoshka」という楽曲があります。一昨年からライブで歌っている曲ですが、これも示唆的というか、すごく考えさせられる内容で。
野島 そもそも、世の中を悪くしたいと考えている人なんてほとんどいないはずで。みんな今よりも状況をよくしようと考えて行動した結果が、争いにつながってしまう。これは戦争だけじゃなく、学校のケンカとかでも同じじゃないかな。なんにせよ、平和が一番なのは言うまでもありません。
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アーティストとしての指針編