&|個々の道を歩んできた4人の魅力が相乗する 新世代女性ボーカルグループ鮮烈デビュー

元SKE48の野島樺乃率いる女性ボーカルグループ・&がデビューシングル「#tokyo」を配信リリースした。

&は「第1回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」で優勝を果たすなど、高い歌唱力を持つことで知られる野島をリーダーとして結成されたグループ。シンガーやミュージカル俳優、モデルとしてそれぞれ実績を重ねてきたメンバー4人が、作曲家の菊池一仁によるサウンドプロデュースのもと、ともに夢を実現させるために集結した。楽曲はミドルテンポに裏拍のリズムをとったレゲトンをベースにしており、デビュー曲の「#tokyo」はゆったりとしたディープなサウンドと電子音のアクセントが印象的な1曲。東京の雑踏の中、SNSの情報の波の中に紛れる少女たちの胸中がラップやポエトリーを交えて表現されている。音楽ナタリーではメンバー4人にインタビューし、彼女たちが集まってからお披露目の場を迎えるまでの経緯や、グループとしての特徴について楽曲の話を交えつつ語ってもらった。

取材・文 / 小野田衛 撮影 / 藤木裕之

メンバープロフィール

野島樺乃

野島樺乃

生年月日2001年9月6日(19歳)

出身地愛知県

2015年にSKE48に加入し、2019年に「第1回 AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」でグランプリを獲得。その後も歌唱力を武器に活躍の場を広げるも、今年6月にSKE48を卒業し、&のリーダーとしての活動をスタートさせた。

これだけは他人に負けない!
「喉を傷めない方法など、歌に関する知識はかなり持っているほうだと思います」

栗本優音

栗本優音

生年月日2005年3月29日(16歳)

出身地東京都

小学生の頃から数々のミュージカルに出演し、総合エンタメコンテスト「キラチャレ2019」では歌部門のグランプリを獲得。伸びやかな高音とポエトリーリーディングで独特の世界観を表現する。

これだけは他人に負けない!
「歌に自信があります。特にハイトーンが得意なので、そこに注目していただけたらうれしいです」

モラレスきあら

モラレスきあら

生年月日2001年10月5日(19歳)

出身地香川県

小学生の頃からモデルとして活躍し、2019年にはAbemaTV「今日、好きになりました。」香港編に出演。ラップとダンススキルで&の楽曲表現の幅を広げる。

これだけは他人に負けない!
持ち前の明るさ、前向きさ! どんなときでもポジティブにいようと心がけています。

山崎カノン

山崎カノン

生年月日2000年9月19日(20歳)

出身地北海道

2015年よりダンスボーカルユニットで活動し、2018年まで雑誌「RANZUKI」の専属モデルも務めた。クールで落ち着いたトーンの歌声が特徴。

これだけは他人に負けない!
「一応、4人の中では最年長なのですが、まったく最年長っぽくない“ホワホワさ加減”が自慢です」

ボーカルに特化した女性ユニットは新鮮

──6月に愛知・SKE48劇場で行われた野島さんのソロライブでお披露目され、鮮烈なデビューを果たした&ですが、そもそもこの4人はどのようにして集まったんですか?(参照:SKE48野島樺乃、ソロ公演で新グループ「&」をお披露目

モラレスきあら

モラレスきあら 私は「キラチャレ」というコンテストをきっかけに、中学2年生くらいからエイベックスでレッスンを受けていたんです。住んでいたのは香川だったので、大阪校まで通うのに往復7時間くらいかかりましたが。

──7時間!? 送迎する親御さんは大変だったのでは?

モラレス はい、すごくありがたいことだと思っています。4年間、毎週通っていましたから。そういう中で「新しい歌のユニットができるんだけど、興味はある?」とスタッフさんから声をかけられ、オーディションに参加しました。受けようと決めた理由は「歌を中心としたグループ」というコンセプトだったことが1つ。今はK-POPをはじめとしてダンス&ボーカルグループが流行っていますが、ボーカルに特化した女子のユニットは新鮮だと思ったんです。あとは小人数という点も大きかったですね。大人数のところは自分に合わないと考えていたので。

──リーダーの野島さんが在籍していたSKE48のような……?

モラレス いや(笑)、もちろん言うまでもなくSKE48は素晴らしいアイドルグループですよ。でも、「自分の個性や持ち味を発揮できるのはどこだろう?」と考えた結果、私の場合は少ない人数のユニットという発想になったんです。

栗本優音 私はもともとミュージカルをやっていて、その中でこのユニットのオーディションの話をいただいて参加することになりました。これまで出演したミュージカル作品は「赤毛のアン」「サウンド・オブ・ミュージック」「ウエスト・サイド・ストーリー」などで、普段はイオンモールのような特設ステージでミニ公演をやることが多かったんですけど、「赤毛のアン」のときは東京国際フォーラムという大きな会場で子役のアンをやらせていただきました。

野島樺乃 私もミュージカル好きだからわかるんですけど、「赤毛のアン」で主役を務めるって大変なことですよ。ミュージカルの役者さんって本当に発声からして違うから、&でも優音の声はすごくマイクに乗るんです。&ではセリフを担当することも多くて、そこでもミュージカルの経験が生かされているなと感じます。

モラレス 声質自体もユニークで、声優さんみたいなんですよ。アニメに出てくるかわいらしい女の子みたいな感じだから、曲の中でも大きなアクセントになっています。

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自分の未来を自分で切り拓いてみたかった

山崎カノン 私は以前、ダンスボーカルグループで活動していました。そこを卒業したあと、今のスタッフさんに誘われてオーディションを受けまして。それで今に至る感じです。

──前の活動が終わってから、芸能界を離れることは考えなかったんですか?

山崎 それはなかったですね。前のグループに入る前も、地元の劇団で活動していたんですよ。お芝居、歌、ダンス……人前で表現することが根本的に好きだったので、それをやめるという発想は浮かばなかったです。

──山崎さんはモデルとしても活躍されているとか。

山崎 「RANZUKI」で専属モデルをやらせていただいていました。今は雑誌がなくなってしまったのですが、モデルのお仕事は機会があればまたやってみたいと考えています。

──最後に野島さんです。野島さんはSKE48の中でも人気メンバーで、卒業を惜しむ声もファンから多く聞かれました。

野島樺乃

野島 私の場合、SKE48に入ってから3年間くらいは鳴かず飛ばずの低迷期が続いていたんですよ。「大人数グループの中で自分の個性を出す」というのは本当に難しいことで、「自分はどういう立ち位置でいればいいの?」と常に模索し続けていました。そんな中で「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」に参加し、優勝したことで人生が開けていきまして……。ありがたいことにそれ以降はSKE48でも選抜になる機会も増えましたが、そのポジションは決して簡単に手に入れたものではなかったんです。

──確かにシンデレラストーリーであると同時に大器晩成型でしたよね。

野島 はい。もちろん周りから「もったいない」という声が挙がっているのも知っていますが、それでもやっぱり私は新しい道に進んでみたかったんです。SKE48で安定したポジションを維持するのではなく、自分の未来を自分で切り拓いてみたかった。ここで一歩踏み出すことでもっと成長できるはずだし、自分の可能性が広がると考えたんです。

──SKE48と兼任するという選択肢はなかったんですか?

野島 ありましたよ。ただ、それをやると結局はどちらかが中途半端になってしまうと思ったんですよね。両方に100%の力と時間を費やすのは現実的に不可能ですから。両立するのではなくて、「SKE48を休業する」という話もありました。ただ、これも私としてはしっくりこなかったです。&で活動しつつも「もう1つ戻る場所がある」という状態は、一種の甘えだと思ったので。すごく悩みましたが、卒業という選択肢がベストだったと信じています。