ナタリー PowerPush - ALL OFF

やりすぎるくらいにやりきったカラフルな意欲作「Follow Your Heart」

バンドが保ってきた軸さえ残せば何をやっても大丈夫

──そして攻める曲は攻めまくってる。「Fuck Up」なんてどうしてこんなに怒ってるんだろう?っていうぐらいの攻め具合ですもんね。

内藤 そうですね。最初に今までで一番激しい曲を作ろうっていうコンセプトがあって、それをもとに作った結果ああいう仕上がりになったんです。

左から内藤祐貴夫(G)、松浦奏平(Vo)。

松浦 ドラムの大槻(真一)が苦労してました。なんて言ってたっけ、あの奏法。

内藤 ブラストビート。

松浦 そう、それ。ブラストビートに初めて挑戦して、相当苦労したみたいです(笑)。

──どの曲も今までにない新しさを取り入れているものの、これまでALL OFFが保ってきた軸の部分はしっかり残ってます。

内藤 その軸さえ残していれば、きっと何をやっても大丈夫だと思ってます。とにかく今回は自分たちの活動を通じて、1つのことに凝り固まらずに、何をやってもいいじゃんってことを示したかったんです。実際このアルバムを作ったことで、まだまだやれるなっていう手応えも感じたくらいなんで。

曲の中で一番伝えたいことを日本語で言ってる

──今作では歌詞にも驚かされました。「Young Hearts」「Little Love」には日本語のフレーズが登場します。最初に歌詞カードを見ないで聴いていたら、「あれ、今のってひょっとして?」と日本語が聞こえてきて。ALL OFFが日本語詞を取り入れるのはこれが初めてだと思いますが、どうしてこのタイミングで日本語詞を採用しようと思ったんですか?

松浦 これもさっきのメロディの話とちょっと関連があるんですけど、僕にとっては英語で歌詞を書くというのはすごく自然なことなんですね。無理やり英語に直しているわけじゃなくて、最初から英語で書いてるから。それもあって、今まで日本語で歌詞を書いたことがなくて。だから今回、僕にとってはメロディ作りだけでなく作詞の面でも大きなチャレンジだったんです。

──松浦さんは海外での生活経験があるから、英語で作詞することが自然なことだったと。

松浦奏平(Vo)

松浦 はい。でもバンドとしての幅を広げようとしたときに、活動ベース自体が日本なので、やっぱり日本人が一緒になって歌えて、聴いたときにパッと理解してもらえることってすごく素敵なことだなって思うようになってきて。自分のできる範囲でちょっと日本語詞にチャレンジしてみようっていうことになったんです。タイミング的にも3rdアルバムだし、ちょうどいいかなと。これが5枚目、6枚目だったら「うわっ、こいつら魂売りやがった」みたいに見えちゃうかもしれないけど。

──ただ今回は2曲とも完全に日本語詞ではなくて、日本語詞がワンフレーズ、ワンセンテンス入ってくる程度に収められてます。このバランスはどうやって決めていったんですか?

松浦 最初はもう少し日本語詞を入れてたんですけど、表現の質的にちょっと拙いなと思った部分を削り落としていって、最後に残ったものが今回収録されてるセンテンスなんです。その曲の中で一番言いたいこと、伝えたいことを日本語で言ってるんですよ。あと英語詞の中にいきなり日本語詞が1行だけ飛び込んでくると、そこの部分が耳に刺さるというのも狙いの1つで。だから入れすぎるのもよくないなとは最初から思ってたんですけど、たまたまワンセンテンスしか残らなかったので、これが今の自分の実力なのかなと。

──なるほど。

松浦 今までずっと英語詞だったんですけど、歌詞にはすごくこだわっているんですよ。でも英語詞だからって歌詞を気にしない人も多くて。今回日本語詞を取り入れたことで、そういう人にちょっとでも、ほかの曲の歌詞を含めて興味を持ってもらえたらいいなっていう願いも込められてます。

ミニアルバム「Follow Your Heart」 / 2013年6月19日発売 / 1890円 / No Big Deal Records / NBDL-0006
収録曲
  1. What Everything Is
  2. Young Hearts
  3. Little Love
  4. Just Tonight
  5. Breakaway
  6. Fuck Up
  7. Song for You
ALL OFF(おーるおふ)

松浦奏平(Vo)、内藤祐貴夫(G)、越本兼瑛(B)、大槻真一(Dr)、畑島岳(G)からなるラウドロックバンド。結成直後からMTVでレギュラー出演を果たしたほか、音源がない状態で新木場STUDIO COASTの舞台に立ち注目を集める。2008年に行われたRO69主催「COUNTDOWN JACK」で優勝し、同年末に「COUNTDOWN JAPAN 08/09」に初出演。これを機にパンク / ラウドロックシーンで一気に知名度を高める。2010年6月に初のミニアルバム「From Midnight To Sunshine」をリリース。翌2011年10月にindiesmusic.comとライブ会場限定でシングル「Giving You Up」を発表した。パンクやエモ、ポップス、ラウドロックなどのジャンルを融合させた、疾走感あふれるサウンドが特徴。2012年3月に発売されたドラマ「QP」のトリビュートアルバムには、新曲「Nothing」を提供した。同年8月、2ndミニアルバム「Start Breathing」を発売。同作収録曲の「Let It Shine」をOBLIVION DUST / MEGA8BALLのRIKIJI(B)がプロデュースを手がけたことで大きな話題を集めた。2013年6月、3rdミニアルバム「Follow Your Heart」をリリース。