自分の中だけのメッセージを他人に発信できるようになった

──今「歌詞にはすごくこだわっている」と言いましたが、実際にはどのようなテーマで歌詞を書いているんですか？

松浦　1stアルバムの頃はわりと内面的で、一人称で自問自答してるような内容が多かったんですけど、前作あたりからもうちょっと自分の考えてることに自信が持てるようになったというか。人に対してどう提示したらいいかがわかってきた感じが自分の中であるんですよ。それを経て、今回は聴き手の背中を押してあげるような、第三者に向けて発信してるような内容になってます。自分の中だけのメッセージだったのが、他人に向けて発信できるようになったのは、かなりデカイですね。

──具体的な歌詞の内容についてはどうでしょう？ 今回は「Song for You」のような、一聴してラブソングと受け取れるようなバラードナンバーもありますが？

松浦　「Song for You」もパッと見はパーソナルな内容なんですけど、誰にでも置き換えられる歌詞だと思っていて。実はラブソングのつもりで書いてないんですよ、あれは。それよりも自分の親だったりとか、初期の頃から支えてくれてるお客さんたちに向けてだったりとか。もちろん聴く人によっては恋人とかにも当てはまると思うし、聴き手によっていろんな解釈ができるような歌詞を常に心がけてます。

──今後も歌詞のテーマや歌いたいことは、そのときの心境によって変化していくんでしょうか？

松浦　そうだと思います。ただ、人間は生きていれば考えが変わることもありますけど、過去に自分が言ってきたことを否定するようなことはしないと思います。

──何年か経ったときに、その曲を歌えなくなってしまうし。

松浦　そうですね。それだけはしたくないです。

今後はラウドロックにあまりこだわらなくてもいいのかな

──それにしても今回のアルバムは、本当にどういうリアクションがあるのか、今から楽しみですね。

松浦　そうですね。いろんな人にそう言ってもらえるんですけど、僕らとしては本当にたくさんの人に届くかどうか不安で（笑）。

内藤　実際すでにライブで何曲か演奏してるんですけど、反応も上々で。自分たちがこうしたかった、ここを狙いたかったというポイントがちゃんとお客さんにも伝わっているみたいで、手応えはありますね。

──ALL OFFを今まで敬遠していた層にも、取っ掛かりになりそうな曲が1曲はあると思いますよ。

松浦　1つのポップソングとして、いろんな人に聴いてほしいですね。繰り返し聴きたくなる曲っていうか、そういうものをやっぱり作り続けていきたいなってすごく思うんですよね。

──それこそ今まで一緒にライブをやったことがないジャンルのアーティストと競演したときの、お客さんの反響が面白そうだなと思うんですが。

内藤　やってみたいですね。そういうノンジャンルのイベントっていうのも楽しいと思いますし。

松浦　ALL OFFのサウンドってラウドロック寄りなんですけど、今後はそこもあまりこだわらなくてもいいのかなと思っていて。自分たちはほかのラウド系バンドにはできないことをやっていきたいですね。

──軸になるのはいいメロディ、いい楽曲であって、ラウドロックは手持ちの札の中の1枚。そのほかにもいろんな持ち札はあるんだぞ、と。

内藤　まさにその通りです。

──それができたら、バンドとしてめちゃめちゃ強いですもんね。

松浦　そうなんですよね。

内藤　まさにそこを目指したいんですよ。本当に。ラウドロックと呼ばれるジャンルの中ではここまで振り幅が広いバンドってそんなにいないと思うし、そこはすごい強みなんじゃないかなと。今回のアルバムを聴いても、ありえない曲の流れもあるじゃないですか、特に最後の2曲（「Fuck Up」「Song for You」）とか（笑）。

松浦　アルバムの中で一番激しい「Fuck Up」の次に、一番ソフトな「Song for You」が来るという。「どういうことや？」ってね（笑）。

内藤　ほかのバンドだったらありえないようなことも、このバンドでは普通にできると思ってる。そこに対しては、これからもっと楽しみで、もうすでに新しい楽曲の制作も始めてるんですけど、もっといろんな形が見えてくるんじゃないかなと思ってます。なんか自分たちもこれからALL OFFがどうなっていくのか、本当に楽しみなんですよ。