ASIAN KUNG-FU GENERATION特集|結成30周年に「MUSIC inn Fujieda」で鳴らす“いい音”、この時代に歌うべきこと (3/3)

それぞれの人生、それぞれの肌の感覚で考えるしかない

──そして「フジエダ EP」のリリース直後に新曲「スキンズ」も配信されました。テレビアニメ「Dr.STONE SCIENCE FUTURE」最終シーズン第3クールオープニングテーマですが、どんな着想から曲を書き始めたのでしょうか?

後藤 この曲を作ったのは1年ぐらい前で。ちょうど世界情勢が悪くなり始めた時期で、それにかなり心を動かされて、何か作らなきゃと思って作った曲ではありますね。ネットに接してると人類の愚かさだけが眼前に広がって「もういよいよだな」みたいな気持ちにもなるけど、そこで何もリアクションしないのもなと考えてたときにアニメのタイアップの話が来て。なんとなく「この曲が流れたらめちゃくちゃいいな」と思った。

後藤正文(Vo, G)

後藤正文(Vo, G)

──去年リリースした「ライフ イズ ビューティフル」もアニメのテーマ曲でしたが、インタビューでは「反戦歌を書こうと思った」とおっしゃっていました。ただ「NO WAR」と叫ぶのではなく、現状を踏まえたうえで、どう未来や希望を描いていくかを考えて作られた。「スキンズ」にも近い印象があって、今のこの世界の現状を踏まえて、「誰も彼も鏡を見て 映る素肌を確かめて」と歌われているように、それぞれのアイデンティティを問い直すような曲だと感じました。

後藤 そうやって受け止めてもらえるのはうれしいです。今の時代、反戦歌を作らなきゃダメだなと思うし、アジカンが大振りするときの曲はもう全部反戦歌でいいみたいな気持ちもある。でも「戦争反対」と直接歌詞に書くのは、自分の場合は違う気がする。もっとそれぞれの人生に引き寄せて書かないとイメージが湧かない。火薬の匂いとか、街が燃える匂いって、僕らにはどうしても実感がないわけで。どうやったらもっと別の書き方で書けるのかというのは、常々考えてますね。それで最終的には、それぞれの人生、それぞれの肌の感覚で考えるしかないのかなと。どんなにいがみあってる国の兵士でも、根源的には誰かを殺したいわけでも傷付けたいわけでもないんだという、そういうところに立ち返って考えるしかないと思ったんです。

──途中でくるりの話がありましたけど、くるりも年明けにアルバムを出していて。今の世の中をどう受け止めて表現するかという目線がじんわりと感じられました。国内外の情勢が刻一刻と変化する中で、「スキンズ」はアジカンらしい社会に対する回答の仕方だなと。

後藤 さっきも言ったように、これを作ったのは1年以上前なので、現在の状況を反映しているわけではないですけど……結果的にこのディレイがいいのかなとは思いました。1年前に出してたら、リアクションが早すぎるだろうし、直接的に見えすぎた可能性もあるから。1年間この曲を噛み締めなきゃいけなかった時間が意外と大事だったんじゃないかと。当時、この曲について語ってくれと言われて話すことと、今話すことはたぶん違うと思うんです。今話してるのは、この曲を体の中でよく揉み込んだうえでの言葉になっていて、そういうタイムラグが大事なのかなと。その期間が言葉のイメージを豊かにしていく気がする。書いてから時間が経って、それを歌ったり読んだりする中で、だんだん見方が変わってきて、怒りが祈りに近付いてくる。そういうのがいいのかなと思いますね。

みんなで踊ることはすごく大事

──アレンジ面ではパーカッションのサウンドが特徴で、フィジカルな印象を与えます。

喜多 これはダルブッカっていう、アラブの打楽器ですね。

喜多建介(G, Vo)

喜多建介(G, Vo)

後藤 これは意図的に入れました。こういう社会性の高い曲、反戦歌みたいなものはダンスビートになる傾向がありますよね。まともになんてやってられない、踊りたい、みたいな。フィジカルに救いを求めるというか、みんなで踊ることはすごく大事だなと思って、それでダンサブルな方向にいきました。

──ダルブッカは誰が叩いてるんですか?

喜多 アブダッラーさんっていう、日本人ムスリムの方をシモリョーが紹介してくれました。「スキンズ」はランドマークスタジオで録ったんですが、「フジエダ EP」に続いてこっちにもシモリョーがガッツリ入ってくれてたので、相談しながらダンスビートを意識したフレーズ作りをして。自分だけで考えるより新鮮なギターワークになったと感じてます。

伊地知 リズムパターンも1回シモちゃんにある程度作ってもらったものを自分なりに解釈して、そこからアレンジをして。基本的にこういうリズムは得意なので、自分の手癖が入りがちなんですけど、シモちゃんのおかげで新しい扉が何個か開いて、普段とは違うアプローチがふんだんに入りました。2Aの1行目とかにある変なブレイクは、完全にシモちゃんの引き出しからいただきました。

山田 ベースはまず自分でアレンジして、プリプロに1回入って、それをシモリョーに投げて、さらにアップデートしてもらいました。こういう曲のときのシモリョーは推進力がすごくて、めちゃめちゃ頼りがいがあるんです。弾かなくていいところと弾くべきところのジャッジとか、すごく参考になりましたね。

伊地知潔(Dr)

伊地知潔(Dr)

山田貴洋(B, Vo)

山田貴洋(B, Vo)

後藤 今回僕がスタジオのこととかで忙しかったので、シモリョーに間に入ってもらおうと思って。前に参加してもらったときはちょっと大変そうだったけど、今回はあんまり背負いすぎずにやってくれて、すごくありがたかったです。

ちゃんとアジカンとしてやる有明アリーナ

──4月4、5日には結成30周年イヤーの幕開け公演として、有明アリーナでワンマンが開催されます。どんな公演になりそうでしょうか?

後藤 わりと幅広くいろんな曲を演奏する日になりそうです。でも、Cosmostudio(喜多と山田によるデュオ)は出てきません(笑)。ちゃんとアジカンとしてやりたいなと思ってます。有明アリーナのようなキャパシティだと新しい人も来ると思うので、新旧の代表曲も織り交ぜながら、みんなが来てよかったと思う日になったらいいなと考えてます。

──4月18日にはジャカルタ、6月にメキシコ、7月にペルー、チリ、ブラジルと、海外公演も発表されています。

後藤 実際に行くまで何があるかわからないから、心配は心配だけど、成功することを祈ってます。南米は移動の大変さとかはありますけど、すぐチケットが売り切れたりして。いろんな国に行けるのはありがたいことなので、体が動くうちは楽しくやりたいですよね。今年は僕にとって40代最後でもあるし、バンドを始めて30年ってなかなかだなと思うんですけど。ただ変わらず健康にやれているのはとてもいいことなので、それをみんなでちゃんと味わいながら、噛み締めながらできたらまた新しい目標も生まれるかもしれないし、今年1年が楽しみではありますね。

ASIAN KUNG-FU GENERATION

ASIAN KUNG-FU GENERATION

公演情報

ASIAN KUNG-FU GENERATION 30th Anniversary Special Concert "Thirty Revolutions"

  • 2026年4月4日(土)東京都 有明アリーナ
  • 2026年4月5日(日)東京都 有明アリーナ

U-NEXT配信情報


ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2026 "Midage Fanclub"

  • 2026年10月17日(土)宮城県 SENDAI GIGS
  • 2026年10月18日(日)宮城県 SENDAI GIGS
  • 2026年10月23日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
  • 2026年10月24日(土)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
  • 2026年10月29日(木)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2026年10月30日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2026年11月2日(月)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2026年11月3日(火・祝)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2026年11月6日(金)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2026年11月7日(土)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2026年11月20日(金)北海道 Zepp Sapporo
  • 2026年11月21日(土)北海道 Zepp Sapporo

後藤正文50歳バースデーパーティー

2026年12月2日(水)東京都 両国国技館


ホールツアー(タイトル未定)

  • 2027年1月9日(土)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
  • 2027年1月11日(月・祝)静岡県 静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール
  • 2027年1月15日(金)東京都 府中の森芸術劇場 どりーむホール
  • 2027年1月17日(日)群馬県 高崎芸術劇場 大劇場
  • 2027年1月23日(土)岩手県 大船渡市民文化会館リアスホール
  • 2027年1月24日(日)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2027年1月30日(土)愛媛県 松山市民会館 大ホール
  • 2027年1月31日(日)香川県 サンポートホール高松 大ホール
  • 2027年2月6日(土)広島県 広島文化学園HBGホール
  • 2027年2月7日(日)岡山県 倉敷市民会館
  • 2027年2月11日(木・祝)新潟県 新潟テルサ
  • 2027年2月13日(土)山形県 シェルターなんようホール(南陽市文化会館) 大ホール
  • 2027年2月19日(金)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
  • 2027年2月20日(土)北海道 旭川市民文化会館
  • 2027年2月26日(金)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
  • 2027年2月27日(土)熊本県 熊本城ホール メインホール
  • 2027年3月6日(土)京都府 ロームシアター京都 メインホール
  • 2027年3月7日(日)石川県 白山市松任文化会館 ピーノ
  • 2027年3月12日(金)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
  • 2027年3月13日(土)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
  • 2027年3月20日(土)沖縄県 那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場

アリーナツアー(タイトル未定)

  • 2027年4月4日(日)兵庫県 GLION ARENA KOBE
  • 2027年4月17日(土)神奈川県 ぴあアリーナMM
  • 2027年4月18日(日)神奈川県 ぴあアリーナMM

プロフィール

ASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアンカンフージェネレーション)

1996年に同じ大学に在籍していたメンバーで結成。2003年4月にミニアルバム「崩壊アンプリファー」でメジャーデビューし、2004年にリリースした「リライト」を機に人気バンドとしての地位を確立させる。2024年7月にデビュー20周年を記念してシングルコレクションをリリースし、8月に神奈川・横浜BUNTAIでアニバーサリーライブ「ファン感謝祭2024」を開催。2025年10月にはASHとのスプリットツアーを行った。2026年4月に結成30周年記念ライブ「ASIAN KUNG-FU GENERATION 30th Anniversary Special Concert "Thirty Revolutions"」を、東京・有明アリーナで行う。後藤正文(Vo, G)は、バンド活動と並行してGotch名義でソロ活動も展開。自身が創設したNPO法人「アップルビネガー音楽支援機構」としては、2026年3月に静岡県藤枝市に音楽スタジオ「MUSIC inn Fujieda」をオープンさせた。