AKB48 横山由依×向井地美音|AKB48“第3章”の幕開け、知られざる総監督の仕事内容と“本店”で実現させたい野望

夢は「AKB48に貢献すること」

──聞けば聞くほど、総監督が大変な職務だということが伝わってきます。「誰が好き好んで立候補するの?」とも考えてしまうのですが……。

横山 それはよく言われます(笑)。指原(莉乃 / HKT48)さんも絶対にやりたくないと言っていましたし。

向井地 研究生として最初にAKB48に入った頃から変わらず、「夢はなんですか?」と聞かれたら、「AKB48に貢献すること」と答えていたんです。周りのメンバーは「女優になりたい」とか「センターに立ちたい」と言っていたけど、どういうわけか私にはそういう考えがなかったんです。私が総監督になりたいと言ったのは去年の総選挙でしたけど、その1年前の総選挙では選抜入りできなくて、すごく落ち込んだんです。そのあと、「AKB48グループ センター試験」で1位になったことで注目していただいたりもしたんですけど。

向井地美音

──本当に激動の1年でした。

向井地 けっこういろんなことを考える時期でしたね。「自分のやるべきことはなんだろう?」とか。そういう中で「もしかして……」と思うようになったんです。「もしかして私が一番AKB48に貢献できるのは、自分が総監督になることじゃないか?」って。とは言っても、ここまで早く“その日”が来るとは予想していなかったのも事実です(笑)。「いつか横山さんが卒業する日が来たとき、総監督にふさわしい人間に自分がなれていたらいいな」くらいの感覚だったので。

横山 「早っ!」って感覚だろうね。総選挙が6月で、その半年後の発表だったから。

向井地 もちろん中途半端な気持ちではなかったですけど。

──向井地さん、まだ21歳ですよね。向井地さんのAKB48愛が強いことはファンの間でも浸透していますが、キャプテンシーとかリーダーシップに関しては自信ありますか?

向井地 その部分は最初から全然なかったです(笑)。キャプテン経験もないですし。ただ、365日AKB48のことばかり考えている横山さんを見て、自分も似たようなところがあるとは思っていたんです。

──実際にやってみていかがですか?

向井地 すごく大変ですね。でも、まだ大きなお仕事は「リクエストアワー(セットリストベスト100 2019)」くらいで。そのときはみんなが円陣を組んでいる中で挨拶させていただいたんですけど……ありえないくらい緊張しました(笑)。

──具体的にそのときは何をしゃべったんですか?

向井地 まず横山さんが私のことを紹介してくれたんです。「今日からみーおんも総監督を一緒にやることになります」って。それで拡声器を渡されました。そのとき私がしゃべったのは、こんな感じでした。「こんにちは、向井地美音です。今回、私は次期総監督に指名していただきましたけど、私の前にはまだ先輩もたくさんいらっしゃるし、でも振り返れば後輩もいるという立場。引っ張っていけるかはわかりませんが、精一杯がんばりますので、よろしくお願いします! ……それではセットリストの確認に入ります」。

横山 みんな、すごく拍手してくれていたよね。

向井地 ただ、あとでメンバーに聞いたら「声が小さすぎて、何を言っているのかよくわからなかった」だって(苦笑)。やっぱりガチガチだったんだろうなあ。

横山 総監督という立場によって、みーおん自身が成長してくれたらいいなと私は考えているんです。おそらく私やたかみなさんが経験しなかったようなことにも、みーおんは直面することになるかもしれませんしね。「立場が人を作る」ってよく言うじゃないですか。本当にその通りだと思うんですよね。私は今でも話が長いんですけど、昔はとんでもないくらい話が長かったですから(笑)。

アイドルファンは“エモい”のが好き

向井地美音

──組織のカラーって、リーダーとかキャプテンによって大きく変わると思うんです。向井地体制ではどんなグループを作り上げたいですか。

向井地 それぞれのスタイルがあるということは、実際にやるようになってみてわかりました。たかみなさんは先頭に立ってガーッと引っ張るやり方。横山さんはメンバー全員が横1列になって一緒に歩いていくようなイメージ。じゃあ私はというと、ファンの方目線で楽しめるグループにする。まずはそこに集中したいです。

──ズバリ言って、今のAKB48ファンは何を求めていると思いますか?

向井地 物語! ドラマ性! メンバーの絆! みたいな、そういう熱さだと思っています。最近のAKB48はその部分が足りていないと感じます。映画「DOCUMENTARY of AKB48」シリーズがいい例ですけど、表舞台だけではないメンバー間の物語性が支持されることでグループは大きくなってきたと思うので。だけど大きくなりすぎたことで、その部分が出しづらくなってきたんじゃないかとも感じているんです。アイドルファンは“エモい”のが好きなんだと思うんです。私もいまだにファンの気持ちを忘れていないから、そのあたりはすごくよくわかるんですけど。今回のシングル「ジワるDAYS」のミュージックビデオもエモいです。歴代の衣装3450着がズラリと並んでいると、無条件に感情が揺さぶられるというか。これは13年も歴史があるAKB48だからこそ可能なことなんです。

──ある意味、それは意外です。AKB48というのはとっくに国民的アイドルになっていますよね。アイドルにありがちな「武道館を目指す!」「紅白に出たい!」といった目標はクリアしているわけですし。つまり、もうドラマ性に頼らなくても成立する段階に入っているんじゃないかと。

向井地 なるほど。でも少なくとも今のメンバーはそう考えていないです。歌とかダンスが素晴らしいグループというのは世の中にたくさんいて、その中でAKB48ならではの魅力は何かと考えたら、やっぱりそういう物語性に行きつくと思います。

ビジョンを持った若手の躍進

──「今のAKB48ならではの魅力」を教えてください。

横山由依

横山 まずグループ全体を通して言えることは今も昔も変わらず、劇場公演が存在することがAKB48最大の売りだと思います。「会いにいけるアイドル」として私たちは始まっていますから。どんなに大きなスタジアム公演をやっても、翌日にはAKB48劇場のステージに立っている。いつもここにはメンバーがいる。劇場がAKB48の主軸であるということは、この先もずっと変わらないはずです。

向井地 私は歴史の深さがAKB48最大の武器だという考え方です。去年の12月、「(AKB48劇場)13周年特別記念公演」で全シングル54曲をフルサイズで歌ったんですよ。自分もメンバーですが、改めて驚きましたもんね。すごい歴史だよなあって。

横山 「ジワるDAYS」は指原さんにとってラストシングルになるし、その前にはさや姉(山本彩 / ex. NMB48)も卒業しましたよね。でもこれはAKB48にとってチャンスだと思うんです。AKB48だけでなく今はグループ全体がすごくフレッシュになっているし、イキのいい若手もグングン伸びてきているんです。

──AKB48における若手の注目株は?

向井地 これを読んでいる方の中には「今のAKB48って誰がいるの?」くらいに思っている方も多いと思うんですけど、とりあえず矢作萌夏ちゃんの名前だけは覚えてください!

──矢作さんすごいですよね。2018年にデビューした若手ながら圧倒的な歌唱力があって、物怖じしない発言も気持ちいい。

向井地 そうそう(笑)。そのうえ、ビジュアルも最高です。

横山 ゆいゆい(小栗有以)も、近くで見ていて勢いをすごく感じます。なにせ「2万年に1人の美少女」ですから(笑)。ちょっと前は、若手が選抜入りを目指そうとしても先輩たちの分厚い壁があったと思うんですよ。今はそれがなくなって、伸び伸びやっている雰囲気。すごくいいですよ、今のAKB48は。

向井地 あと、若いメンバーはいい意味で意識が高いです。とてもしっかりしています。

横山 うん、それは感じる。ゆいゆいは私と10歳くらい離れてるんですけど、メイクの話を対等の立場で話していますからね。下手したら私が教えられちゃうくらいで。「横山さん、このコスメ知らないんですか?」とか(笑)。

向井地 あはは! 言いそう(笑)。

横山 メイク以外のことも本当にいろいろ話しますけどね。それこそAKB48の方向性とかも話します。ゆいゆいはそのへんもしっかりしているんです。若いのにAKB48に対して「こうしていきたい」っていうビジョンがあるんです。

向井地 それ気になります。どんなこと言ってました?

横山 やっぱりAKB48がすごい勢いで世の中から注目されていたのを体験してきた世代じゃないので、先輩たちが立っていたステージや、もらっていた賞に対する憧れがすごいんです。具体的に言うと、レコード大賞とか東京ドーム公演とかCM出演とか。自分たちの世代もそこは狙いたいって、そうはっきり言うんです。上昇志向がすごくて、そのパワーに圧倒されます。

──矢作さんや小栗さんはAKB48の全盛期を見て育った世代じゃないですか。オーディションに合格した時点で「夢が叶った」みたいなことかと思っていました。

向井地美音

向井地 むしろ「先輩たちに追いつきたい」「それどころか追い越したい」と本気で考えていますよ。

横山 それぞれが自分の長所を動画配信とかでアピールできる時代ですからね。NMB48の吉田朱里ちゃんがコスメでブレイクしたのがいい例だと思いますけど。

──各地のグループで活躍している人がたくさんいますが、AKB48の“本店”に限っていうと、いかがでしょう? シングルの選抜メンバーにしても昔はSKE48の松井珠理奈さんが入っているくらいだったのが、今は地方組の力なしでは成立しなくなっている。こうなると、本体のカラーが見えづらくなる気もします。

横山 根本的に、「姉妹グループも含めてAKB48」という考え方がまずあるんですよ。だけどおっしゃる通りで、AKB48単独での活動をもっと積極的にやっていきたいという気持ちは私たちメンバーも持っているんです。具体的にいうとコンサートですね。本体単独でのコンサート。ファンの方からの声としても「単独でのライブが観たい」というのは前から強くあります。

AKB48「ジワるDAYS」
2019年3月13日発売 / You,Be Cool!
AKB48「ジワるDAYS」Type A初回限定盤

Type A初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90613~4

Amazon.co.jp

AKB48「ジワるDAYS」Type A通常盤

Type A通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-613~4

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. ジワるDAYS
  2. 私だってアイドル! / 指原莉乃
  3. Generation Change / AKB48カップリング選抜
  4. ジワるDAYS(off vocal ver.)
  5. 私だってアイドル!(off vocal ver.)
  6. Generation Change(off vocal ver.)
DVD収録内容
  1. 「ジワるDAYS」Music Video
  2. 「私だってアイドル!」Music Video
  3. 「Generation Change」Music Video
AKB48「ジワるDAYS」Type B初回限定盤

Type B初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90615~6

Amazon.co.jp

AKB48「ジワるDAYS」Type B通常盤

Type B通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-615~6

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. ジワるDAYS
  2. 私だってアイドル! / 指原莉乃
  3. 初恋ドア / 坂道AKB
  4. ジワるDAYS(off vocal ver.)
  5. 私だってアイドル!(off vocal ver.)
  6. 初恋ドア(off vocal ver.)
DVD収録内容
  1. 「ジワるDAYS」Music Video
  2. 「私だってアイドル!」Music Video
  3. 「初恋ドア」Music Video
AKB48「ジワるDAYS」Type C初回限定盤

Type C初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90617~8

Amazon.co.jp

AKB48「ジワるDAYS」Type C通常盤

Type C通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-617~8

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. ジワるDAYS
  2. 私だってアイドル! / 指原莉乃
  3. 必然性 / IZ4648
  4. ジワるDAYS(off vocal ver.)
  5. 私だってアイドル!(off vocal ver.)
  6. 必然性(off vocal ver.)
DVD収録内容
  1. 「ジワるDAYS」Music Video
  2. 「私だってアイドル!」Music Video

※IZ4648「必然性」のMVは未収録。

「ジワるDAYS」

岡田奈々 / 岡部麟 / 荻野由佳 / 小栗有以 / 柏木由紀 / 坂口渚沙 / 指原莉乃 / 下尾みう / 白間美瑠 / 菅原茉椰 / 須田亜香里 / 高橋朱里 / 瀧野由美子 / 田中美久 / 中井りか / 松井珠理奈 / 松岡はな / 向井地美音 / 矢作萌夏 / 山内瑞葵 / 横山由依 / 吉田朱里

※センターは指原莉乃。

「私だってアイドル!」

指原莉乃

「Generation Change」AKB48カップリング選抜

浅井七海 / 太田奈緒 / 大西桃香 / 小田えりな / 加藤玲奈 / 行天優莉奈 / 久保怜音 / 倉野尾成美 / 込山榛香 / 佐藤栞 / 鈴木くるみ / 田口愛佳 / 谷川聖 / 谷口めぐ / 西川怜 / 前田彩佳 / 武藤十夢 / 村山彩希 / 山田菜々美 / 横山結衣

※センターは西川怜。

「初恋ドア」坂道AKB

梅澤美波 / 梅山恋和 / 大園桃子 / 岡部麟 / 小栗有以 / 加藤史帆 / 久保史緒里 / 小池美波 / 小坂菜緒 / 小林由依 / 齊藤京子 / 坂口渚沙 / 佐々木美玲 / 下尾みう / 菅井友香 / 鈴本美愉 / 瀧野由美子 / 田中美久 / 土生瑞穂 / 福岡聖菜 / 矢作萌夏 / 山内瑞葵 / 山下美月 / 与田祐希 / 渡邉美穂

※センターは山下美月。

「必然性」IZ4648

梅澤美波 / 岡田奈々 / 小栗有以 / 柏木由紀 / クォン・ウンビ / 小池美波 / 小林由依 / 齋藤飛鳥 / 指原莉乃 / 白石麻衣 / 菅井友香 / 須田亜香里 / チャン・ウォニョン / チョ・ユリ / 長濱ねる / 西野七瀬 / 土生瑞穂 / 堀未央奈 / 本田仁美 / 宮脇咲良 / 矢吹奈子 / 山下美月 / 横山由依 / 渡邉理佐

※チャン・ウォニョンと宮脇咲良のダブルセンター。

「「屋上から叫ぶ」Sucheese(すちーず)

石田千穂 / 梅山恋和 / 小熊倫実 / 久保怜音 / 末永桜花 / 矢作萌夏 / 渡部愛加里

※センターは矢作萌夏。

AKB48(エーケービーフォーティエイト)
AKB48
秋元康プロデュースのもと、2005年に始動したアイドルグループ。劇場に足を運べばメンバーに会える「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、秋葉原にある専用劇場(AKB48劇場)で公演を行っている。楽曲の作詞はすべて秋元康が担当。2006年2月にシングル「桜の花びらたち」をインディーズからリリースし、オリコンウィークリーチャートでトップ10入りを果たす。同年10月にはシングル「会いたかった」でメジャーデビュー。2007年春には初の全国ツアーも開催されたほか、同年末の「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たすなど、着実に知名度を上げていった。2011年3月に20thシングル「桜の木になろう」をリリース。以降、5月に「Everyday、カチューシャ」、8月に「フライングゲット」、10月に「風は吹いている」とミリオンセールスを連発。2011年オリコン年間シングルチャートで1位から5位をAKB48が独占する結果となり、“国民的アイドル”と呼ばれる地位を確立した。2018年6月に10回目の「選抜総選挙」となる「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙」を開催し、松井珠理奈が1位を獲得。宮脇咲良、矢吹奈子、本田仁美の3名が日韓合同アイドルIZ*ONE専任メンバーとなり、10月末に韓国でデビュー。2019年3月に「選抜総選挙」3連覇の偉業を成し遂げた指原莉乃の卒業シングル「ジワるDAYS」をリリースした。