AKB48が3月13日に通算55枚目のシングル「ジワるDAYS」をリリースした。今作は「AKB48選抜総選挙」で3連覇を達成するなど、AKB48グループで確固たる地位を築き上げた指原莉乃(HKT48)の卒業シングルで、初選抜入りの1名を含む全22名が参加している。
音楽ナタリーによる2017年9月公開のAKB48「#好きなんだ」特集(AKB48「#好きなんだ」発売記念 指原莉乃×吉田豪インタビュー - ギリギリのトークから読み解く国民的アイドルの強み)での指原単独インタビューから約1年半、再びプロインタビュアーの吉田豪を聞き手に迎え、今回は指原と柏木由紀(AKB48、NGT48)の2人にインタビュー。ニューシングルの話題はもちろんのこと、指原がAKB48グループを卒業する意味や卒業後の未来、勢いを増す乃木坂46、欅坂46などと比べたAKB48の武器、運営について思うことなど広く話を聞いた。アイドルオタクの一般人だった時代から交流があり、長年のキャリアを誇るこの2人だから話せる数々のエピソードも交えつつ、一時代を築いたトップアイドルの語らいを楽しんでほしい。
取材・文 / 吉田豪 撮影 / 藤田二朗(photopicnic)
「辞めるけど大丈夫なのかな」って人は絶対いない
──この組み合わせでインタビューできるのは感慨深いですね。伝説のハロプロ女ヲタが2人そろって!
柏木由紀 あはは(笑)。あんな田舎者が、こんなおしゃれなスタジオで取材を受けて(笑)。
指原莉乃 やったー!
──それこそアイドルになる以前から、2人は長い付き合いなわけじゃないですか。
指原 そう思うとそうだね。
柏木 確かにヤバいくらい長い。
──そんな指原さんが卒業することについて、柏木さんにはどんな思いがあります?
柏木 私は普通に友達という枠でもホントに仲良しで、楽屋とかでも一番しゃべるのはさっしーなので、普通に寂しいというのはやっぱりあります。グループのメンバーとしても寂しいんですけど、それ以上の仲のよさがあるので、純粋に寂しいなって。でも覚悟はできてたというか、そんなにビックリはしていなくて。来る日が来たなという感じです。
──これくらい卒業後の未来に安心感がある人も珍しいと思いますよ。
指原 いやー、どうなんですかね。みんな一生売れたいと思ってAKB48を卒業するわけじゃないので。世間の人は「〇〇消えた」とかそういう言い方をしますけど、そんなふうに言われるのもみんなわかっていて、それでも1人でやりたい、AKB48を卒業したいと思うから辞めるんです。「絶対に売れたい」と思って辞める子は少ないよね。
柏木 うん。少ないと思う。
指原 ちゃんと自分の置かれる立場をわかったうえで挑戦する感じ。
柏木 みんな、そこはわかって辞めてるよね。
指原 だから私も別に「卒業して安心」という感じじゃないし、「いくぞ、やったんで!」みたいな感じもまったくないです。
──ただ、指原さんは卒業してもほとんど変化なく活動できそうな、初めてのパターンだと思いますけどね。
指原 そうかな。まあまあ、卒業しても環境が変わらずできる仕事ですかね。
──女優業とか歌手業とかと違ってバラエティだと露出が急激に減ったりもしないはずなので。
指原 うん、そうですね。
柏木 確かに。
──ほかの人たちはもっと不安を抱えたまま辞めていくものなんですかね?
指原 どうなんだろう。不安ではないと思いますよ、みんな。
柏木 だって卒業発表してから、みんな圧倒的に元気になるし、きれいになるし(笑)。
指原 ホント、すごく元気になるよね。
──へー! それってどうしてなんですか? ストレスがなくなる?
指原 いや、ストレスというか、心のどこかで「いつ卒業しよう、いつ卒業しよう」と思って活動してるときは正直しんどくて、でも卒業すると決めると今まで思ってたことをちゃんと伝えてから卒業しようと思えるから、すごくスッキリする。そういう意味ではみんなホント、絶対に卒業が楽しみだったと思います。
柏木 みんなそう見えます。
指原 「辞めるけど大丈夫なのかな」って人は絶対いないと思います。
柏木 ね、いないよね。
指原 で、辞めたあとも「うわ、やっぱりAKB48にいればよかったな」って人も絶対いない。それはグループがダメなんじゃなくて、やっぱり1人のほうがやりたいことをできるからなんですけど、そこはたぶん世間の人は誤解してると思います。誰も後悔してないよね、絶対。
柏木 確かに。
──辞めたら、もちろん露出は減るだろうけど。
指原 でも仕事がなくなったとか、そういうことじゃないんですよね。自分自身と真剣に向き合ったり、人のことを考えたりする時間というのがグループにいたらあんまり……あっという間に時間が過ぎていきますから。
柏木 うん。やっぱり決められたことをこなすのに精一杯で、自分のこと考える時間がないよね。AKB48にいるとどうしても。
──当然、柏木さんも卒業を考える時期だとは思いますけど。
柏木 私ですか? 考えてないですよ。
指原 ゆきりん、あんま考えてない。
柏木 もう3年ぐらい前に考えた時期が終わって。
指原 ね、1周回ったよね。2人共。
柏木 1周回っちゃった(笑)。
指原 私もそうだし、みぃちゃん(峯岸みなみ)も。一時期、毎日卒業について話してたときあったよね。
柏木 あったあった。周りからも言われるし、お互いも話してた。
指原 もう無理だ、いつになるか、誰が最初かって話してたところから、なんかどうでもよくなる時期に入って。
柏木 話さなくなった。
指原 私だけちょっと先に卒業するけど、2人は1周回っちゃってるもんね。私も1周回ったあと、さらにもう1周したんで。
バラエティ慣れしたアイドルの発言
──そんなわけで指原さんの卒業シングル「ジワるDAYS」ですが、これまでのAKB48の衣装を大量に集めて背景にしたミュージックビデオについて、指原さんは「いいことも悪いこともこの衣装を見ると全部思い出す」とコメントしてました。一体どんな悪いことを思い出したんですか?
指原 悪いことか……私、その場に合わせて適当なこと言っちゃうから、それっぽいことを言っただけで深い意味はなくて(笑)。嫌なことはホントはそんなにないんですよ。
──バラエティ慣れしてるから、ちょっと使えそうなコメントを言う癖がついてるんですね。
指原 私ヤバいよね。インタビューとかけっこうヤバい。
柏木 今日もずっと、マジで心ない(笑)。
指原 たぶん、みんなそれが嘘なんて思わないよね。
──ちょっと面白いこと言ってるから。
柏木 いいことも言って。
指原 そう。いいことも言うし。だからあとでそれを言われると「あ、そんなこと言ったかしら?」みたいな矛盾点が出てきちゃうときがあって。いいこともいっぱい思い出したし、嫌なことというか「このMV変だったな」「不思議なテイストのMVだな」とか、そういうことは思い出しましたね。
──確かに「いい思い出ばかりが浮かんできます」だと使われないですからね。
指原 「悪いことも」を付ければ深みが出るかなと思って。我ながらいいコメントです(笑)。
柏木 あはは! 深み(笑)。便利な言葉だね。
次のページ »
スキャンダルネタで深みが出た
- AKB48「ジワるDAYS」
- 2019年3月13日発売 / You,Be Cool!
-
Type A初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90613~4 -
Type A通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-613~4
- CD収録曲
-
- ジワるDAYS
- 私だってアイドル! / 指原莉乃
- Generation Change / AKB48カップリング選抜
- ジワるDAYS(off vocal ver.)
- 私だってアイドル!(off vocal ver.)
- Generation Change(off vocal ver.)
- DVD収録内容
-
- 「ジワるDAYS」Music Video
- 「私だってアイドル!」Music Video
- 「Generation Change」Music Video
-
Type B初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90615~6 -
Type B通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-615~6
- CD収録曲
-
- ジワるDAYS
- 私だってアイドル! / 指原莉乃
- 初恋ドア / 坂道AKB
- ジワるDAYS(off vocal ver.)
- 私だってアイドル!(off vocal ver.)
- 初恋ドア(off vocal ver.)
- DVD収録内容
-
- 「ジワるDAYS」Music Video
- 「私だってアイドル!」Music Video
- 「初恋ドア」Music Video
-
Type C初回限定盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-90617~8 -
Type C通常盤 [CD+DVD]
1646円 / KIZM-617~8
- CD収録曲
-
- ジワるDAYS
- 私だってアイドル! / 指原莉乃
- 必然性 / IZ4648
- ジワるDAYS(off vocal ver.)
- 私だってアイドル!(off vocal ver.)
- 必然性(off vocal ver.)
- DVD収録内容
-
- 「ジワるDAYS」Music Video
- 「私だってアイドル!」Music Video
※IZ4648「必然性」のMVは未収録。
- 「ジワるDAYS」
-
岡田奈々 / 岡部麟 / 荻野由佳 / 小栗有以 / 柏木由紀 / 坂口渚沙 / 指原莉乃 / 下尾みう / 白間美瑠 / 菅原茉椰 / 須田亜香里 / 高橋朱里 / 瀧野由美子 / 田中美久 / 中井りか / 松井珠理奈 / 松岡はな / 向井地美音 / 矢作萌夏 / 山内瑞葵 / 横山由依 / 吉田朱里
※センターは指原莉乃。
- 「私だってアイドル!」
-
指原莉乃
- 「Generation Change」AKB48カップリング選抜
-
浅井七海 / 太田奈緒 / 大西桃香 / 小田えりな / 加藤玲奈 / 行天優莉奈 / 久保怜音 / 倉野尾成美 / 込山榛香 / 佐藤栞 / 鈴木くるみ / 田口愛佳 / 谷川聖 / 谷口めぐ / 西川怜 / 前田彩佳 / 武藤十夢 / 村山彩希 / 山田菜々美 / 横山結衣
※センターは西川怜。
- 「初恋ドア」坂道AKB
-
梅澤美波 / 梅山恋和 / 大園桃子 / 岡部麟 / 小栗有以 / 加藤史帆 / 久保史緒里 / 小池美波 / 小坂菜緒 / 小林由依 / 齊藤京子 / 坂口渚沙 / 佐々木美玲 / 下尾みう / 菅井友香 / 鈴本美愉 / 瀧野由美子 / 田中美久 / 土生瑞穂 / 福岡聖菜 / 矢作萌夏 / 山内瑞葵 / 山下美月 / 与田祐希 / 渡邉美穂
※センターは山下美月。
- 「必然性」IZ4648
-
梅澤美波 / 岡田奈々 / 小栗有以 / 柏木由紀 / クォン・ウンビ / 小池美波 / 小林由依 / 齋藤飛鳥 / 指原莉乃 / 白石麻衣 / 菅井友香 / 須田亜香里 / チャン・ウォニョン / チョ・ユリ / 長濱ねる / 西野七瀬 / 土生瑞穂 / 堀未央奈 / 本田仁美 / 宮脇咲良 / 矢吹奈子 / 山下美月 / 横山由依 / 渡邉理佐
※チャン・ウォニョンと宮脇咲良のダブルセンター。
- 「「屋上から叫ぶ」Sucheese(すちーず)
-
石田千穂 / 梅山恋和 / 小熊倫実 / 久保怜音 / 末永桜花 / 矢作萌夏 / 渡部愛加里
※センターは矢作萌夏。
- AKB48(エーケービーフォーティエイト)
- 秋元康プロデュースのもと、2005年に始動したアイドルグループ。劇場に足を運べばメンバーに会える「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、秋葉原にある専用劇場(AKB48劇場)で公演を行っている。楽曲の作詞はすべて秋元康が担当。2006年2月にシングル「桜の花びらたち」をインディーズからリリースし、オリコンウィークリーチャートでトップ10入りを果たす。同年10月にはシングル「会いたかった」でメジャーデビュー。2007年春には初の全国ツアーも開催されたほか、同年末の「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たすなど、着実に知名度を上げていった。2011年3月に20thシングル「桜の木になろう」をリリース。以降、5月に「Everyday、カチューシャ」、8月に「フライングゲット」、10月に「風は吹いている」とミリオンセールスを連発。2011年オリコン年間シングルチャートで1位から5位をAKB48が独占する結果となり、“国民的アイドル”と呼ばれる地位を確立した。2018年6月に10回目の「選抜総選挙」となる「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙」を開催し、松井珠理奈が1位を獲得。宮脇咲良、矢吹奈子、本田仁美の3名が日韓合同アイドルIZ*ONE専任メンバーとなり、10月末に韓国でデビュー。2019年3月に「選抜総選挙」3連覇の偉業を成し遂げた指原莉乃の卒業シングル「ジワるDAYS」をリリースする。
2019年3月29日更新