ナタリー PowerPush - Aimer

声の魅力をアピールしたカバー集「Bitter & Sweet」

自分の声を好きな声に寄せたかった

──先程、1年前と声が変わったと言ってましたが、どんなふうに変化したと感じていますか?

写真は9月30日、大阪市立科学館プラネタリウムでのライブの模様。

以前の声はまだ荒削りというか、全体的に低かったような気がします。レコーディングを重ねていくうちに、自分の声をもっと好きな声に寄せていきたいという思いが強くなったので、自然に変化したというよりは意識的に変えていったところがあります。

──Aimerさんが思い描く好きな声、理想的な声というのはどういう声なんですか?

うまく言葉で表現できないんですけど、たとえばスピッツの草野マサムネさんのような透き通った声が好きなんです。

──アヴリルの声とどこか共通する部分があるように感じます。「I'm With You」とかをカバーすると似合いそう。

うれしいです。アヴリルのアルバムだと、その曲が入っている「LET GO」というアルバムが一番好きで、よく聴いてました。

声に焦点を当てた「リフレインが叫んでる」

──洋楽といえば、ドラマ「恋なんて贅沢が私に落ちてくるだろうか?」の挿入歌になっていた洋楽カバー4曲が新録曲として収録されていますが、いずれも60年代の楽曲ですよね?

この4曲は、ドラマの挿入歌として歌ってほしいというお話をいただいてから選びました。もちろんリアルタイムで聴いていた曲ではないんですけど、ナット・キング・コールやニール・セダカ、THE SUPREMESの曲は父の影響で小さい頃から聴いていました。4曲とも有名な曲ですから、同世代の皆さんでも知っている人も多いんじゃないでしょうか。

──これまでのシングル曲を含め、アルバム「Sleepless Nights」の楽曲は夜をイメージさせる曲が多かったので、レコーディングのときも照明を少し落として暗い雰囲気の中で歌ったということでしたが、この4曲のようなポップな曲調のレコーディングのときもそうしていたんですか?

そういえば、それほど暗くはしていませんでした(笑)。これまでにリリースしてきた楽曲はバラードが多かったので、こういう明るい一面もあるということを知ってもらえたらうれしいですね。特に「L-O-V-E」はタイトルにちなんでアレンジもラブリーな感じになっているので、かわいらしく歌うことを意識しました。

──さらに新録曲として2つの邦楽カバーが収録されていますね。ひとつは松任谷由実さんの「リフレインが叫んでる」。静かに始まって、途中で一気に盛り上がっていく展開とコーラスを多用したアレンジがとても印象深かったです。

ありがとうございます。たくさんあるユーミンさんの曲の中でも、この曲は悲しい響きがあってすごく好きな曲です。原曲は♪タッタッタッタッタッタ、って刻んでいるリズムが印象的な曲ですが、今回のカバーではリズムを変えて、サビは声をたくさん重ねて厚みを出しました。

──主メロとコーラスというAimerさんの声だけで終わるところもこの曲の大きな特徴になっていますね。

はい、声に焦点を当てているので、ヘッドホンでも聴いてもらいたいです。声をたくさん重ねて録ったので、レコーディングはすごく時間がかかりました(笑)。

歌詞や声で二面性を表現したい

──もうひとつは、Coccoさんの「強く儚い者たち」のカバーですが。

この曲も私が選びました。Coccoさんを聴いた初めての曲が「強く儚い者たち」だったので、カバーするならこの曲がいいなって。

──この曲を初めて聴いたときの印象を覚えていますか?

歌詞がすごく印象的でした。「飛魚のアーチ」や「宝島」といったドリーミーな言葉がありながら、「同じでいられると想う?」というリアリズムを突きつけてくるところがすごいですよね。対極にある要素がひとつの曲の中に入っているのが、Coccoさんの書く歌詞の魅力的なところです。この曲はタイトルに“強さ”と“儚さ”という対極的な言葉が使われているのも好きな理由のひとつです。それとCoccoさんは激しいものから静かで優しいバラードまで幅広く歌われていますよね。自分も歌詞で二面性を出すだけじゃなく、声に関しても二面性が出せたらいいなって思います。

──前回のインタビューで「意識的にたくさんの真逆の意味の言葉を歌詞に盛り込んだ」ということを言ってましたし、歌詞に関してはすでに二面性を表現されているのかなって。

写真は10月25日、ビルボードライブ大阪でのライブの模様。

はい。今回の「Bitter & Sweet」というアルバムタイトルも二面性をして付けました。

──では、アルバムタイトルもAimerさんが決められたんですね。

はい。いろいろ候補はあったんですが、アートワークができあがったとき、そこに写っている女の子たちから受けた印象で「Bitter & Sweet」という言葉を思い付いたんです。

──アートワークも目を引きますよね。2人の女の子がいて、似ているけど服の色が黒と白という対照的な2人なので、ひょっとしたら性格も対照的なんじゃないかな?って思わせてくれる感じもありますし。

アートワークからも二面性や「似てるけど違う」という要素を感じてもらえたらうれしいです。

ニューアルバム「Bitter & Sweet」 / 2012年12月12日発売 / 2800円 DefSTAR Records DFCL-1960
ニューアルバム「Bitter & Sweet」
収録曲(オリジナルアーティスト)
  1. リフレインが叫んでる(松任谷由実)
  2. L-O-V-E(ナット・キング・コール)
  3. Poker Face(LADY GAGA)
  4. 三日月(絢香)
  5. Viva La Vida(COLDPLAY)
  6. また君に恋してる(ビリーバンバン)
  7. 強く儚い者たち(Cocco)
  8. Calendar Girl(ニール・セダカ)
  9. 今宵の月のように(エレファントカシマシ)
  10. Baby Love(THE SUPREMES)
  11. Crazy In Love(ビヨンセ)
  12. Precious(伊藤由奈)
  13. Breaking Up Is Hard To Do(ニール・セダカ)
  14. I WILL ALWAYS LOVE YOU(ホイットニー・ヒューストン)
  15. CHANGE THE WORLD(エリック・クラプトン)
  16. ORION(中島美嘉)
Aimer(えめ)

プロフィール画像

女性シンガーソングライター。幼少期より両親の影響で音楽に親しみ、ピアノやギターでの作曲や英語での作詞を始める。15歳のとき、声が一切出なくなるアクシデントに見舞われるが、回復するとともに独特のハスキーで甘い歌声を得る。2011年から本格的に音楽活動を開始。幅広いジャンルのクリエイターとコラボレーションし、楽曲提供やゲストボーカリストとしての活動を通じてその才能が知られるようになる。2011年5月にはヒット曲をジャズアレンジでカバーしたコンセプトアルバム「Your favorite things」にボーカリストとして参加。収録曲であるLADY GAGA「Poker Face」のカバーは、iTunes Storeのジャズチャートで初登場1位を記録した。2011年9月シングル「六等星の夜 / 悲しみはオーロラに / TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」でメジャーデビュー。今年8月に発売したシングルのタイトル曲「あなたに出会わなければ ~夏雪冬花~」はテレビアニメ「夏雪ランデブー」エンディングテーマに起用され、大きな注目を集めた。2012年10月には初のフルアルバム「Sleepless Nights」を発表。12月12日にカバーアルバム「Bitter & Sweet」をリリースする。