ナタリー PowerPush - Aimer
agehaspringsと強力コラボ 注目新人シンガーの魅力を解剖
映画監督・廣木隆一が振り返るAimerの歌声
Aimerが過去にコラボレーションを展開してきたクリエイターたちの中に、映画監督の廣木隆一がいる。彼が制作したショートフィルムに、Aimerは登場人物の息吹を感じさせるような楽曲を提供した。Aimerとのコラボレーションに関して、廣木はこんな感想を届けてくれた。
歌詞ごとにいろんな映像を想起させてくれるAimerの唄声は映画の中でも確実に心に響いた。
僕が撮った短い映画の中で、一人の女子高校生が夜の吉祥寺の街を彷徨うところがある。
孤独を感じて歩いてる彼女のシーンでAimerの声は誰でもない誰かにも響いてくようだった。
不思議だった。寂しかった。孤独だった。
そして、暖かかった。
あなたは、どこで産まれ、どんなふうに大きくなって、どんな恋をして、どんなふうに生きて来たの?
本人が語る「Aimerができるまで」
最後のコーナーでは、Aimer本人に自身の音楽遍歴やメジャーデビューへの道のりを語ってもらった。一つひとつの答えから、彼女の音楽に対する真摯な姿勢が感じられる。
Aimer(えめ)
女性シンガーソングライター。幼少期より両親の影響で音楽に親しみ、ピアノやギターでの作曲や英語での作詞を始める。15歳のとき、声が一切出なくなるアクシデントに見舞われるが、治癒するとともに独特のハスキーで甘い歌声を得る。2011年から本格的に音楽活動を開始。幅広いジャンルのクリエイターとコラボレーションし、楽曲提供やゲストボーカリストとしての活動を通じてその才能が知られるようになる。2011年5月にはヒット曲をジャズアレンジでカバーしたコンセプトアルバム「Your favorite things」にボーカリストとして参加。収録曲であるLADY GAGA「Poker Face」のカバーは、iTunes Storeのジャズチャートで初登場1位を記録した。2011年9月7日、agehaspringsとタッグを組んだシングル「六等星の夜 / 悲しみはオーロラに / TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」でメジャーデビューを果たす。
agehasprings(あげはすぷりんぐす)
玉井健二が代表を務めるクリエイター集団。蔦谷好位置、田中隼人、百田留衣、田中ユウスケ、飛内将大らが所属しており、さまざまなアーティストへの楽曲提供やトータルプロデュース、アーティストブランディングなどを手掛けている。これまでに携わったアーティストはYUKI、中島美嘉、flumpool、Superfly、ゆず、元気ロケッツなど多岐にわたり、彼らが手掛けるCD、DVDの総売上枚数は2005年発売以降のみで2000万枚を超えている。
──Aimerさんが最初に音楽に触れたのは何歳ごろ、どんな形でですか?
自宅で父がいつも音楽をかけていたようなので、まだ一人で歩けないくらいのころから音楽には触れていたと思います。母がわたしを抱えて、よく父が組んでいたバンドの練習やライブに連れていっていたと聞いています。
──小学生や中学生の頃、一番よく聴いていた音楽や好きだったアーティストを教えてください。
小学生のころは映画「アニー」の劇中歌(「Tomorrow」など)を夢中になって歌っていました。
その後は父のCDを借りては、洋楽・邦楽問わずなんでも好んで聴いていました。
中学生のころ一番聴いていたのは当時ギターで弾き語りもしていたアヴリル・ラヴィーンだったと思います。
──「15歳のころ、喉に異変をきたし」という記述が公式プロフィールにありますが、このときはどういう状況だったのでしょうか?また、当時考えていたことなどもお聞かせください。
歌の歌いすぎが原因でした。お医者さんのアドバイスもあって、暫く声を発しないという期間がありました。もう二度と歌えないかもしれないと思い、とても怖かったことをよく覚えています。
──ミュージシャンを目指そう、と決めたのはいつごろでしょうか。きっかけになった出来事などもあれば教えてください。
はっきりと決めたのはいつ頃か覚えていませんが、とにかく歌うことが大好きだったので、それこそ「アニー」の曲を歌っていた小学校低学年の頃から歌手に憧れていました。
──音楽活動を本格的に始めてからメジャーデビューが決まるまで、企画のゲストボーカルを務めるなどの活動をされていたそうですが、その中で感じたこと、学んだことなどがあれば教えてください。
初めて本格的なレコーディングに参加できたことはもちろん、ゲストボーカルという形にもかかわらず、自由に歌わせてもらうことができて、とても楽しかったです。
──agehaspringsとのコラボレーションでデビューされますが、玉井健二さんやagehaspringsの皆さんに対する印象、一緒にお仕事をされての感想などを聞かせてください。
玉井さんをはじめagehaspringsの皆さんはどなたも音楽のプロフェッショナルで、音楽に対する姿勢と上がってくる作品クオリティにいつも表現欲を刺激されています。一緒にお仕事をすることができて常々光栄に思っています。
──デビューシングル「六等星の夜」「悲しみはオーロラに」「TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」それぞれの聴きどころや思い入れの深い部分などを教えてください。
「六等星の夜」は3曲の中でも特に聴いてほしい作品です。歌詞には意識的に真逆の意味を持つ言葉達をたくさん閉じ込めました。哀しいだけの曲でもなく、幸せを歌った曲でもない、聴く人によってそれぞれ意味が異なるような1曲になればと思っています。
「悲しみはオーロラに」は、すぐそばに迫った孤独を愛せないときに、くるはずの明日を信じられなくなってしまった夜に、聴いてほしい1曲です。
「TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」は、決して答えを返すことのない夜空の小さな星に「あなたは一体何者なの?」と囁きかけるその歌詞に、童謡とは思えない奥深さを改めて実感しました。
──今後どんなアーティストになっていきたいと思っていますか? やりたいこと、叶えたい夢などもお聞かせください。
やりたいことは果てしなくありますが、今はまず、音楽を必要としている少しでも多くの人たちの“傍に”、音楽を通じて“そっと寄り添うこと”ができたらいいなと思っています。