a flood of circleとcinema staffに共通する「ナメんなよ」精神
飯田 僕は亮介くんと知り合ってからの歴は長いんですけど、つかず離れずの感じでここまで来て。年齢は1つしか違わないんだけど、自分にとってはすごい兄貴なんですよ。関わる中で一番感じるのは「すごく言葉を持っている人だな」ということで。例えば対バンしたときも、シネマがどんな状態で、どんな意図を持ってライブをやっているのかが全部バレてしまうんです。しかもライブのあと、それを踏まえて「こういうことじゃない?」とアドバイスをくれて。そういう関係でいられるバンドはフラッドとTHE NOVEMBERSだけだし、亮介くんはめちゃくちゃ信頼している人。裏切らない人ですね。
──逆に飯田さんも、フラッドのライブを観て「今はこういう状態なんだな」というのがわかる?
飯田 わかります。正直、ちょっとおこがましいかもしれないし、皆さんに比べると経験もまだまだ少ないんですけど、自分たちも本気でライブをやってきたので。
佐々木 そうだよね。今年、LIQUIDROOMで8週連続でライブやってたでしょ?(2月から3月にかけて行われたcinema staffの主催ライブ「two strike to(2) night~バトル・オブ・リキッドルーム'2024~」 )。そうやって面白いことをやろうとするところも似てるかも。
菅原 いいよね。
佐々木 もう1つ似てるなと思うのは、「ナメんなよ」という姿勢かな。
飯田 ハハハ。
佐々木 先輩のバンドがいっぱいいて、かわいがってもらってるところもあるんだけど、同時に「ナメんなよ」という気持ちを持ってる。その微妙な揺れの中にいるのも、この世代のバンドのリアルだと思う。例えばライブ後の打ち上げとかも、もっと若いバンドだったら「スタバ行って帰ります」みたいな人たちもいるじゃないですか。でも俺らは、意地でも朝まで飲んでる。そこに一緒にいるシネマを見ていると「何もあきらめてない」と感じるし、それがすごく好きなんですよね。
今だったらリアルなa flood of circleとして勝負できる
──a flood of circleは日比谷野外大音楽堂でのデビュー15周年を記念したワンマンライブを8月に控えていますが、その前に全国ツアー「CANDLE SONGS -日比谷野外大音楽堂への道-」のラスト3公演で、the pillows、9mm、cinema staffそれぞれと対バンします。
佐々木 野音のライブは、たまたま会場が取れたのがきっかけなんですよ。ちょうどデビュー15周年だから“目印”を付けようと。これもたまたまなんですけど、バンドの状況も以前と比べてだいぶ変わってきたんですよね。まずマネジメントの形が変わって、俺が会社の社長になった。今のレーベルに移ったのは12年前なんですけど、ずっと一緒にやってきたディレクターが辞めることになって、「このままレーベルにい続けるのか?」と考えて。あとね、メンバーそれぞれバンドに加入した時期が違うんです。テツ(アオキテツ / G)が最後に入ったんだけど、姐さん(HISAYO / B)が入ったのは2010年。ナベちゃん(渡邊一丘 / Dr)は一番長いけど、それぞれ歴が違う。モチベーションや体調もあるし、最近はちょっと気を使うというか、単純に「もっとガンガン行こうぜ!」とは言えないときもあるんですよ。今まではマネージャーがバランスを取ってくれた部分もあったけど、それがなくなったらヤバいなという感じがあって。で、ひさびさにメンバー4人だけでしゃべったんです。「サポートしてくれる人たちはいるけど、やっぱりこの4人でバンドだと思ってる。何があってもこのメンバーで続けていこう」と言ったことで15周年感が出てきたというか。
──シリアスな話し合いがあったんですね。
佐々木 そうですね。日比谷野音にもこだわってるんですよ。10年前にやったときは下駄を履かせてもらっていたというか、自分たちの実力だったかどうかわからなくて。でも今だったらリアルなa flood of circleとして勝負できるんじゃないかなと。さっきも言いましたけど、この3バンドがツアーに参加してくれることもめちゃくちゃうれしい。自慢というか「こんなすげえバンドが出てくれるんだぜ」という感じもあります。
──単なる周年ではなく、フラッドにとって大事なタイミングでのツアーであり、野音ライブであると。
佐々木 そうなりましたね。
菅原 僕たちも結成20周年なので、フェスとかでもどんどん祝ってもらおうと思ってるんです。せっかくフラッドが呼んでくれたので、ダブルでお祝いしたいです(笑)。フラッドとの対バンもひさしぶりだし、横浜公演(横浜BAY HALL)に呼んでもらえたのもうれしくて。俺たちは横浜で結成されたバンドなので。シネマの主催フェス「OOPARTS」も今年10周年だったんでしょ?
飯田 そうです。で、去年デビュー15周年だったんですよ。
佐々木 ピロウズは35周年で。
菅原 4バンドとも周年だから、ナタリーでイベントやったほうがいいですよ(笑)。
山中 俺らだけだいぶ年上だから恥ずかしいけどね。
佐々木 いやいや(笑)、ピロウズが存在していることは本当に心強いです。自分ができるかどうは別ですけど、さわおさんを観てると「この年齢になってもバリバリ歌えるんだな」と思えるので。
山中 なんでかわからないけど、すごい元気なんだよ(笑)。
佐々木 「この世の果てまで」は一番高いところがハイBなんですけど、ライブで聴くと「すげえ!」って思います。曲もいっぱい書き続けてるし。
山中 亮介も多作じゃない? 俺が知ってる人の中でもかなり書いてるほうだと思う。
菅原 そこは2人が似てるところだと思います。
山中 そうだよね。亮介はバンド以外のプロジェクトもやってるし、ソロもあって。まあ俺もそうなんだけど(笑)。
佐々木 コロナの時期のさわおさんのブチ切れ方もすごかったですよね。
山中 1年で70曲くらいリリースしてたからね。
菅原 普通のバンドの10年分くらいだ(笑)。
佐々木 そんなさわおさんを見ていて「ガマンしなくていいんだな」と思ったんですよね。もちろん周りのスタッフのみんなが動いてるからやれることなんですけど、そもそも曲がないとリリースできないわけで、「やりたい」と思ったらやればいいという。
次のページ »
俺の中ではバンドブームがずっと続いてる