a flood of circle|転がり続けて早15年…… 5組のアーティスト仲間がAFOCを定義する

a flood of circleを導く指針・山中さわお

──最後は山中さわおさんです。

山中さわお(the pillows)

山中さわお(the pillows)

a flood of circleは
火の鳥のようなバンドである

火の鳥(不死鳥)は自ら炎に飛び込んで死ぬが、再び蘇る。羽は闇の中で輝き、尾は熱を持っているが、本来争い事はしない穏やかな生き物。フラッドのサウンドの熱量と亮介の優雅さがそれを思わせるかな。

一同 おー!

佐々木 めちゃくちゃ詩人だね。a flood of circleが去年リリースした「2020」というアルバムに「火の鳥」という曲があるので、そこからかな。ここまでのみんなのコメントの総決算みたいな例えですね。みんなで打ち合わせしたんじゃないかってくらいまとまってますね(笑)。

HISAYO(B)

HISAYO 火の鳥とか大きすぎて……がんばります。

アオキ 血液、風、火の鳥って、なんかどれも回ってる、巡ってる感じですね。

渡邊 もう1回、手塚治虫の「火の鳥」読もうかな……。皆さんちゃんと考えてくれているのがうれしいし、曲だけじゃなくコメントまでもらって、最後の最後まで提供してもらっちゃったな。

佐々木 思い出したんですけど、「2020」をさわおさんに渡したときに「火の鳥」がめちゃめちゃいいって言ってくれて、その後弾き語りライブで競演したときも褒めてくれて。さわおさんの中に何か残る曲が書けたのかなと思えてうれしかったんですよね。あと最近、Drop's、THE PINBALLS、tetoなどの活動休止やメンバーの脱退があったからなのか、具体的には言わないんですけど、さわおさんが深夜2時頃超えてくると折に触れて「(a flood of circleは)やめないでほしい」とか言い出すんですよ。でも俺らが火の鳥みたいな存在でいられているのかはわからない。15年でやめちゃったらとても火の鳥じゃないし。田淵さんもそうだけど、「a flood of circleにはこうあってほしい」という思いも入ってるのかな。

──そんなさわおさんの提供曲「夕暮れのフランツ 凋まない風船」はどんな形でa flood of circleに届けられたんですか?

佐々木 「GIFT ROCKS」の企画を進めているときに、いきなり「亮介に歌ってほしい曲がある」とメールが来たんです。タイミングが合いすぎてて「そんなことあるんだ」と思ったし、さわおさんの曲を作る意欲は30年経っても変わらないんだなと。それぐらい曲があふれているんだってことにびっくりしました。しかも「今の俺には歌えない曲だから歌ってほしい」と言われて、本当にラッキーでしたね。

──さわおさんとa flood of circleの思惑がバッチリ合ったんですね。

佐々木 そうなんです。あと、この曲だけ唯一コード進行を変えてるんですよ。もとはもっとシンプルだったのをちょっとだけ色を付けて。コードをいじるのはけっこう大きなことなので迷ったんですが、今のa flood of circleがこの歌詞を歌うならこの進行かなと。だから、さわおさんに音を聴いてもらうときはドキドキしましたね、「お前変えたな」って言われると思ったので。実際に言われたんですけど、俺らの意図を理解してくれたみたいです。

渡邊一丘(Dr)

渡邊 この曲はa flood of circleがやってこなかったテンポ感というか、余裕があるテンポなんですよ。アレンジするときに速くすることもできたんですけど、俺はさわおさんが作った曲の世界観に身を任せてもがいてみようかなと思って叩きました。結成から15年は経ったけど、ドラムについてわからないことも多いし、勉強しなきゃいけないし……「夕暮れのフランツ 凋まない風船」をレコーディングしながら、自分の未熟な部分を受け入れていこうと思いました。

──さわおさんもa flood of circleの歴史を語るうえで欠かせない大先輩ですよね。

アオキ カッコいい人やし、ああなれたらいいなって思うけど、真似できない。

HISAYO さわおさんは導いてくれるというか、指針になってくれる存在なんですよね。もちろんさわおさんのように活動することはできないけど、音楽をやり続けてくれていることだけで指針になっているというか。

佐々木 さわおさんのように、“自分でいること”は一番難しいと思うんです。人って流されるし、都合が悪くなったら言い訳しちゃうし。でもさわおさんは自分で考えるし、納得しないことはしない。そういう覚悟を決めているんでしょうね。それが歌詞に現れているから沁みるっていうか。この間、the pillowsの9thアルバム「Smile」と10thアルバム「Thank you, my twilight」の再現ツアー「RETURN TO THIRD MOVEMENT! Vol.3」を拝見したんですが、昔の曲なのに今のことを歌ってるように聞こえるんですよ。それって、さわおさんが時代に流されずに自分自身でいるからなんでしょうね。

ずっと転がっていく、それがa flood of circle

──「GIFT ROCKS」リリース後の8月下旬には参加アーティストが総出演するライブイベントが控えていて、さらに10月からは全国ツアー「a flood of circle 15周年ベストセットツアー “FIFITHTEEN”」が開催されます。

佐々木 「FIFITHTEEN」ではここまでa flood of circleは何をやってきたかと言うことを見せようと思っています。「GIFT ROCKS」で見せた新しいチャレンジと15年の総決算を見せたあと、自分たちの新作をリリースする予定で、まだやることがいっぱいなんですよね。俺らが自主企画イベント「A FLOOD OF CIRCUS」を初めて大阪で開催することも決まってるし。

──もう新作のリリースが決まってるんですか?

佐々木 今、次のアルバムを作ってます。これまでの武器を研ぎ澄ませた、現在のa flood of circleの集大成みたいなものになると思います。

──15周年だからといって落ち着く感じではなさそうですね。そんな節目を迎えたa flood of circleはこれからどこに向かうんでしょうか。

HISAYO 具体的なイメージはないんですけど、「GIFT ROCKS」に参加してくれたアーティストの皆さんが言ってくれたように、ずっとa flood of circleをやり続けるのが私たちにとって大事なことだと思うんです。だからずっと転がっていくのは確かだと思います。

「GIFT ROCKS」参加アーティストコメント

田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)

Q. 「GIFT ROCKS」への参加オファーがあったときの心境は?

企画が本当に面白いと思った。佐々木亮介はいつもワクワクすることを身をもって体現している、僕が本当に尊敬する人間で、友達だ。
友達のためにできることを全力でやるのは当たり前のことだ。

Q. どんな思いで提供曲を作りましたか?

これはもう曲を聴いてもらうことでしか説明できない。
聴いてわかってくれるやつが1人でも多いことが、この先の僕の人生がどれだけ楽しくなるかを左右すると、本気で思っている。

プロフィール
UNISON SQUARE GARDENのベーシストにして、作詞・作曲も手がける。2008年7月にシングル「センチメンタルピリオド」でメジャーデビュー。アグレッシブなライブパフォーマンスに定評があり、アニメ作品とのタイアップも多いことからロックファンとアニメファンの双方の熱烈な支持を集める。音楽プロデュースチームQ-MHzの一員として作家活動も精力的に行っている。

SIX LOUNGE

Q. 「GIFT ROCKS」への参加オファーがあったときの心境は?

オモシロイことするなぁって思いました。違うバンドに曲をプレゼントするのは今回が初めてだったんですけど、フラッドが俺らを選んでくれたことがうれしかったです。

Q. どんな思いで提供曲を作りましたか?

LADY LUCK、幸運の女神です。
無敵さとアイラブユー。
お互いにとってロックンロールのお守りみたいな曲になればいいなって思ってます。

プロフィール
ヤマグチユウモリ(G, Vo)とナガマツシンタロウ(Dr, Cho)を中心に2012年に大分県で結成され、2015年にイワオリク(B, Cho)が加入し現体制に。2016年3月に1stアルバム「東雲」をTHE NINTH APOLLOよりリリースした。最新作は2021年4月リリースのアルバム「3」。

Rei

Q. 「GIFT ROCKS」への参加オファーがあったときの心境は?

ずっと尊敬し続けてきたa flood of circle。ルーツミュージックへのリスペクトを持ちながら、オリジナルの音楽を更新し続けるその背中を、わたしも追いかけています。誘ってくれて、ありがとう。

Q. どんな思いで提供曲を作りましたか?

これまでの15年を共に歩んできたa flood of circleのお客さんの目線で曲を書いてみたいと思いました。できあがった曲はメンバーからメンバーへ向けた詩にもなったように思います。そしてa flood of circleの音楽が持つ「躍動感」「ライヴへの情熱」「仲間への愛情」、こういったものを曲に凝縮できればいいな、と思いながら作りました。

プロフィール
幼少期をアメリカで過ごし、4歳でクラシックギターを始め、5歳でブルーズに出会ったことを機に音楽制作を開始する。2015年2月に長岡亮介との共同プロデュースによる1stミニアルバム「BLU」でCDデビュー。2018年に自身主宰のReiny Recordsをユニバーサルミュージック内に移籍、同レーベルを拠点に活躍中。

松田晋二(THE BACK HORN)

Q. 「GIFT ROCKS」への参加オファーがあったときの心境は?

今までになかなかない面白そうな企画だなと思いました。長年、バンド同士いい関係を築かせてもらっていたので、参加させてもらうことで、お互いに良い刺激が生まれたらいいなと思います。

Q. どんな思いで提供曲を作りましたか?

ロマンチックでモダンなサウンドの中にロックの熱い温度を感じる楽曲が山田から生まれてきたので、その世界観に寄り添いながら、主人公の気持ちがぐっと浮かび上がるような歌詞を目指して作詞しました。具体的に、寂しくてやるせなくて後悔を引きずりながらも歩んでいく男のストーリーが見えたときに、フラッドの歌とサウンドでより切なくぐっとくる曲に仕上がるんじゃないかなとワクワクしながら書かせていただきました。

プロフィール
THE BACK HORNのドラマーとして、2001年にシングル「サニー」でメジャーデビュー。ライブバンドとしてさまざまなフェスやイベントに精力的に出演し、着実にリスナーを獲得する。2020年9月に小説家・住野よるとコラボレーションした小説を発売。なお、2021年7月に地元福島の「福島県南観光推進協議会白河ラーメンPR大使」に就任し、白河ラーメンの宣伝活動も行っている。

山中さわお(the pillows)

Q. 「GIFT ROCKS」への参加オファーがあったときの心境は?

これは偶然、別件で亮介とやり取りしてて、気に入った曲を作ったはいいが、歌詞が若者すぎて自分には似合わないから歌う気ある?と提案したら「実はちょうどそんな企画があり、お願いしようと思ってました!」と「GIFT ROCKS」の話を貰った。オレたち気が合うなーと思ったよ。

Q. どんな思いで提供曲を作りましたか?

なのでフラッドを意識して作った曲じゃないよ。普通にいつも通りに作った。自分がどういうスタンスの人間か、まだ俯瞰で見れてない若者の心境を描いた。頭で考えたことより心で感じるモノに翻弄される。それは案外永遠のテーマなのかもね。

プロフィール
北海道小樽市出身。1989年に結成したthe pillowsでボーカル&ギターを担当し、ほとんどの楽曲の作詞作曲を手がけている。1999年には自身が主宰する音楽レーベル・DELICIOUS LABELを設立し、noodles、シュリスペイロフ、THE BOHEMIANSなどの作品をリリース。またTHE PREDATORSやCasablancaのメンバーとしても活動している。
a flood of circle

ライブ情報

A FLOOD OF CIRCUS 2021 in NAMBA

2021年10月8日(金) 大阪府 なんばHatch <出演者> a flood of circle / the pillows / ハンブレッダーズ

a flood of circle15周年ベストセットツアー“FIFITHTEEN”
  • 2021年10月28日(木)千葉県 千葉LOOK
  • 2021年11月05日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
  • 2021年11月06日(土)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2021年11月12日(金)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2021年11月14日(日)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
  • 2021年11月18日(木)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2021年11月20日(土)福岡県 LIVE HOUSE CB
  • 2021年11月25日(木)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
  • 2021年11月27日(土)広島県 広島セカンド・クラッチ
  • 2021年12月18日(土)石川県 vanvanV4
  • 2021年12月19日(日)長野県 LIVE HOUSE J
  • 2021年12月23日(木)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
a flood of circle(アフラッドオブサークル)
a flood of circle
佐々木亮介(Vo, G)、アオキテツ(G)、HISAYO(B)、渡邊一丘(Dr)による4人組ロックバンド。2006年に結成され、2009年4月に1stフルアルバム「BUFFALO SOUL」でメジャーデビューする。ブルース、ロックンロールをベースにしつつ最新の音楽要素を吸収したサウンドと、佐々木の強烈な歌声や観る者を圧倒するライブパフォーマンスで話題を集める。結成10周年を迎えた2016年には初のイギリス・ロンドン公演や海外レコーディングを行ったほか、自主企画ライブイベント「A FLOOD OF CIRCUS 2016」や東阪のBillboardLiveでワンマンライブを開催。2017年1月に7枚目のオリジナルアルバム「NEW TRIBE」を発表し、3月から全国ワンマンツアーを行った。2018年2月に8枚目となるアルバム「a flood of circle」をリリース。同時期にアオキテツが加入し現在の編成になる。2021年8月に結成15周年を記念してアルバム「GIFT ROCKS」を発表した。