a flood of circle「a flood of circle」 PR

佐々木亮介(a flood of circle)×田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)|目指したのは「アベンジャーズ」 AFOC全部盛り「ミッドナイト・クローラー」

山手線に名前書いてあるよこの人!

佐々木 田淵さんの媚を売らないところに、俺、憧れるんです。例えば、なんかおいしいことがありそうだったら、普通はあやかろうとして寄っていくもんじゃないですか。それを絶対しない。本当に面白いと思うことにしか行かない気がしてるんです。よく“武道館アーティスト”って言いますけど、俺にとって田淵さんは“山手線アーティスト”なんですよね。

田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)

田淵 なんで?(笑)

佐々木 昨日、新宿駅で山手線に乗ったとき、俺の目の前に停まった車両に「作詞作曲、田淵智也」って書いてある広告が出てたから。

田淵 ああ! 「BanG Dream!」の広告か。

佐々木 それで「山手線に名前書いてあるよこの人!」って思って(笑)。

田淵 ゲームの中でカバーしてもらってるんだよ。

佐々木 自分たちの音楽を貫き通した結果、楽曲がカバーされて、山手線の広告に名前が載ってるっていうのはすごいことだと思う。俺はバランスが大事だなって思っていて、進化したい気持ちはあるし、俺らの年代の人間が「俺らはこうなんで、新しいことに興味ないです」って言いだしたらヤバイしつまんないなって。田淵さんって、ちゃんと新しいことにも興味を持って、自分の幹をしっかり持ちつつ枝葉を伸ばしてる気がするんですよね。

田淵 そんなことないって。

左から佐々木亮介(a flood of circle)、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)。

佐々木 ユニゾン企画のイベントですごく覚えてるのは、俺らとTHE NOVEMBERSとメレンゲをゲストで招いてやったやつで。ユニゾンがメジャーデビューしたちょっとあとだったかな? それぞれ全然違うことやってるのに対バンしても成り立つっていうのを見せてくれた。それを自分たちのファンに対して、「こういうバンドもカッコいいぜ」ってレコメンドする姿勢に感動したんです。

田淵 あのとき呼べるところを呼んだだけだよ、たぶん。でも対バンに関しては、例えばツーマンをやるにしても、別に仲良しこよしの様を見せたいわけじゃない。俺は普通に好きなバンドがいいライブをやって終わりっていうのを観るのが好きなので、お客さんにもそういうライブを観て「いいイベントだな」って思ってもらえる企画がしたいんだよ。

佐々木 それ、前からはっきりしてますよね。余計なサービスをしない姿勢。俺、ロンドンでThe Libertines観たときに近いものを感じたんですよ。The Libertinesのほうがユニゾンの100倍くらい演奏が下手クソなんですけど、彼らもライブで余計なことをしないんです。曲を淡々とやるだけ。The Birthdayもそうだけど、ホントに曲をバンってやって、MCでひと言ぐらいしかしゃべらないで帰る感じが強烈にカッコいいんですよね。

田淵 なるべくMCはないほうがいいんだよ。ロックバンドなんだから。

体当たりの佐々木、理論立てる田淵

田淵 佐々木を見ててうらやましいと思う一方で、コンプレックスもあって。

佐々木 そうなんですか?

田淵 佐々木は「俺たちは止まるわけにはいかないんだ」みたいなことを言ってる印象がある。俺、バンドに関することって自分が考えてることが正しいと思ってやってるんだけど、裏ですごい試行錯誤してるし、立ち止まって引き返したりすることもあるし。

佐々木 フラッドは「見るまえに跳べ」とか歌っちゃってますからね(笑)。

田淵 俺はそこにコンプレックスを感じてる。

佐々木亮介(a flood of circle)

佐々木 変な例えですけど、体の細胞の機能を説明するときに、田淵さんはちゃんと理論立てて言葉で説明できるんだけど、俺は説明以前に自分でケガをして「ほら、この細胞にはこういう機能があるでしょ?」って体当たりで説明するタイプなんです。

田淵 ははははは(笑)。

佐々木 それって、俺が田淵さんに感じている一番の違いでもあるんですよね。フラッドはギターボーカルの俺がほぼメインで曲を作って自分で歌ってるけど、田淵さんの場合は、UNISON SQUARE GARDENのボーカルである斎藤さんに対して曲の説明をしなきゃいけない。つまり曲作りのスタンスが違う。例えば斎藤さんだけが取材を受けるような場面でも、曲やバンドについて説明できるようにしてるのかなって。

田淵 それはあるかな。自分の言ってることがメンバーやスタッフに全然伝わってないことに、メジャー2年目ぐらいのときに気付いちゃったんだよ。弾き語りのデモをバンドに持って行っても、当然俺の頭の中で描いている完成図のようにはならない。自分が思っていることを思っている通りに進めるためには、マジで準備しないといけないんだなっていうことに気付いた。で、メンバーやスタッフに伝える努力をしていく中で、「あ、これだったら伝わる」みたいなポイントが見つかって、今はそのスタイルでやってる感じ。

佐々木 なるほど。それが歌詞の押し付けがましくない感じにもつながってるのかな。俺、エモいものはエモく、熱いものは熱く、そのまま表現することが多いんですよね。もちろん田淵さんが書く曲も、エモさとか熱さが散りばめられているんだけど、歌詞全体を読むとそういう部分だけじゃなくて。抽象的な表現もあるし、ある意味、ご自由に解釈してくださいというスタンス。メンバーやリスナーに対して優しい気がする。俺は自分で考えて自分で歌っちゃうから、だいたいバーッとやったあとで「どう? 付いてきて」ってメンバーに言うことが多い。

左から佐々木亮介(a flood of circle)、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)。

田淵 カッコいいー! 俺、常に顔色うかがっちゃう(笑)。

佐々木 そうせざるを得ない部分もあるし、田淵さんと俺は立ち位置が違うわけだから。

田淵 俺がユニゾンの曲を作っている以上、作った曲について完璧に説明できるのは自分しかいないからね。

佐々木 田淵さん、説明力と言うか“翻訳技能”がすごいと思うんですよね。あと作詞にしても作曲にしても、“予測変換機能”が発達してる。1つ言葉を入力するとすごい数の候補が出てくるみたいな。その中から的確なチョイスをする作業をずっとしてる気がする。

田淵 あー、そうかもしれない。