ACE COLLECTION|始まりはYouTube、新時代を切り開く4人組バンド

全員の顔がわかるバンドをやりたい

──先ほどメンバーのルーツはバラバラとおっしゃっていましたが、そのあたりを詳しく聞かせてください。資料によるとRIKUさんはメタル、ジャズ、EDMといったさまざまな音楽がルーツになっているそうですが。

RIKU もともと小学生のときはX JAPANやSIAM SHADE、海外のバンドだとSlipknotが好きで、メタルや激しいロックを中心に叩いていたんです。小学5年生の頃には投稿した演奏動画が話題になって、Toshlさんのソロプロジェクトに参加させていただいたりもして。で、中学生になると一気にジャズにいって、ビッグバンドもやるようになりました。高校生になって、ACE COLLECTIONの前にやっていたバンドでは、EDMと激しい音楽を混ぜて、けっこうごちゃごちゃにやってましたね。

──このメンバーを集めたとき、RIKUさんの中で理想のバンド像はあったんですか?

RIKU バンドじゃないですけど、最初はBIGBANGみたいなバンドを組みたいと思ってたんです。彼らのライブを観に行ったことがあるんですが、4人が柱みたいな装置に乗って上がってきて、それがすごくカッコよく見えたんですよ。そういった演出って、ボーカリストじゃなくて、メンバーそれぞれのキャラクターが際立っていて顔がわかるからこそできることだと思っていて。ああいうふうに、全員の顔がわかるようなバンドをやりたいんです。

RIKU(Dr)

──その話を聞くと、今のメンバーに声をかけた理由も腑に落ちますね。それぞれがプレイヤーとして確固たる存在感を持っていますから。

RIKU ボーカリストだけが目立つんじゃなくて、でっかいステージに4人が一列に並んだとき、さまになるようなバンドになるのが理想ですね。

──奏さんはハードコアやエモ系がルーツだそうですね。

 僕はハードコア、メタルコア、スクリーモがルーツにあって、ラウド系のバンドが好きです。最近だと、Bring Me the Horizonが一番好きです。あと、日本語ラップとか、そういう世間的に旬なジャンルも聴いてたら好きになってきたんですよ。ライブで共演したちゃんみなさんとかも好きです。

──いわゆる王道のポップスよりも、アンダーグラウンドな雰囲気の音楽に惹かれる感じですか?

 確かにあんまりJ-POPを聴いてこなかったですね。

RIKU もともと僕と奏はハードコアが好きで仲良くなったんです。

──LIKIさんはアニソンやヴィジュアル系が好きだそうですね。

LIKI そうなんですよ。今まで組んでたバンドはずっとヴィジュアル系で。RIKUとは、X JAPANやSIAM SHADEが好きなところが被るんですよ。ラルクとか、Acid Black Cherryも好きです。

──影響を受けたギタリストはいますか?

LIKI ラルクのkenさんと、Acid Black CherryのサポートギターのYUKIさんから影響を受けました。あとはQueenのブライアン・メイ、ジミー・ペイジ、Totoのスティーヴ・ルカサーとか、ああいうギターヒーローっぽい人が好きです。

──たつや◎さんは、かなりいろんなジャンルの音楽を聴かれてきたそうですが。

たつや◎ 3歳くらいのときから、親の影響でThe BeatlesやCarpenters、Red Hot Chili Peppersを歌っていましたね。中学生の頃はMONKEY MAJIKやコブクロ、YUI、DREAMS COME TRUE、aikoといったJ-POPを通って、高校生でマキシマム ザ ホルモンに出会ったんです。その頃、友達の影響で、MetallicaやSlipknotといった海外のラウド、ポップパンクも聴くようになって。そこからシンディ・ローパーとか、あとはマイケル・ジャクソンやスティーヴィー・ワンダーにも興味を持つようになって、その流れでジェームス・ブラウンなどのブラックミュージックも掘り下げて聴くようになりました。そういった方々の楽曲をひと通り歌ってきたんですけど、「どういう音楽が自分の声に合っているんだろう?」と考えたときに、普遍的なメロディを歌いたいなと思ったんです。メロディがキレイだけどサウンドは軽すぎない、そういうロックバンドを目指したいなと思うようになりましたね。

自分たちに似合う音楽

たつや◎(Vo, G)

──これだけ嗜好がバラバラのメンバーが集まるとなると、どういう方向性のバンドにするか、結成時に話し合ったりしたんですか?

RIKU いや、最初はどういう音楽をやるかという話もせずにバンドを組んで。組んでから「よし組んだ。じゃあ、どういうのやる?」という流れだったんですよ。

LIKI 順番が逆だったよね。

RIKU とりあえず、それぞれが楽器を持ったときに似合いそうなカバーをやって。例えばRADWIMPSとか。

たつや◎ 5 Seconds Of Summerとかね。

LIKI その場でオリジナルをアレンジして、いろいろ試してみたんです。

たつや◎ バンドの方向性について話し出したのは、本当にここ最近なんですよ。最初は何が旬で、みたいな見え方ばかり気にしていたから。オリジナル楽曲にシフトしたときも、心のどこかで、どうやったら聴いてくれる人を増やせるかということばかり考えていたんです。でも、「L.O.V.E.」というミニアルバムができたことで、ACE COLLECTIONがどういう音楽を、どういう気持ちで奏でていきたいかが明確に見えてきたんです。

──「L.O.V.E.」は、より自分たちが何をやりたいかを突き詰める作品になったということですね。

たつや◎ そうです。僕らはやろうと思えば、いろいろなジャンルの楽曲を演奏できるんですよ。でも、「自分たちのバンドに似合うものはなんだろう?」と考えたときに、僕らは歌心のある音楽を作っていきたいなと思ったんですよね。それで、今回は1つの挑戦として、ちょっと哀愁漂う懐かしいメロディの楽曲にも取り組んでみたいなと思って。

──それで、「ワインレッドのラビリンス」みたいな歌謡テイストの曲ができたんですね。

たつや◎ そう。メロディは少し古い感じなんですけどR&Bとかファンクの要素を入れて、今っぽく聴こえるアレンジにしたんです。

──たつや◎さん以外の皆さんは、「L.O.V.E.」はどんな作品になったと感じていますか?

RIKU 前作のアルバム「HELLO WORLD」にはないカラーの曲が多いなと思いますね。さっき話題に挙がった「ワインレッドのラビリンス」は、今までになかったタイプのアダルトな曲だし、「WaVe」みたいなグルーヴィな曲もあって。聴いていて面白いんじゃないかなと思います。

LIKI アレンジのバラエティは富んでいるんですけど、その中で、ACE COLLECTIONっぽさがうまく出せるようになったというか、まとまりが出たと思います。

 僕はほかの3人よりも聴いてきたジャンルが狭いぶん、制作ではたくさん壁にぶち当たったんです。そういう経験があったからこそ、ベーシストとしての自分の在り方が開けたんですよね。プレイに必ずしも自分のバックボーンは反映してない気がするんですけど、そうじゃなくても、自分のカラーを見せられるのが、このバンドの強みなんだなと気付いたんです。