ACE COLLECTIONが4月8日にメジャーデビューミニアルバム「L.O.V.E.」をリリースする。
2017年12月に結成され、YouTubeに数々のカバー動画を投稿してきたACE COLLECTION。エド・シーラン「Shape of You」のトラックとヒットソング19曲を掛け合わせたマッシュアップ動画がSNSで話題になり、若いリスナーを中心に注目を集めてきた。彼らのメジャーデビューミニアルバムには映画「明日、キミのいない世界で」の主題歌「約束のしおり」や、AbemaTVで配信中のオリジナルドラマ「僕だけが17歳の世界で」の主題歌「70億にただ1つの奇跡」など全8曲を収録。ACE COLLECTIONがどういう音楽を奏でていきたいかという、意思が反映された1枚となっている。音楽ナタリーではバンドを結成した過程から、それぞれ異なるメンバーの音楽ルーツ、挑戦が詰まったミニアルバムについて4人に話を聞いた。
取材・文 / 秦理絵 撮影 / 斎藤大嗣
今までと同じやり方をしていたら、届かない
──ACE COLLECTIONの存在が一気に広がったのは、2017年にアップしたエド・シーランの「Shape of You」のマッシュアップ動画がSNSで話題になったことがきっかけでした。当時、どういう経緯でああいった動画を作ろうと思ったんですか?
たつや◎(Vo, G) このバンドを組んで最初にしたことが4人で一緒に住む家探しだったんです。
──結成当時は4人で一緒に住んでいたんですか?
たつや◎ つい最近までみんなで住んでました。家も見つかって、リビングでこれからどういう活動をしていくか話し合って。その中で「YouTubeに動画を上げていこう」という話になったんです。それが今の時代に合ったやり方だと思ったんですよね。
──なるほど。
たつや◎ そこで「まずは毎日投稿しなきゃダメだ」とかいろんな意見を出し合ったり、1本目の動画の内容を詰めていったり。1本目はとにかくパンチのあるものにしたいという思いがありました。当時、まだ日本でマッシュアップ動画は少なかったんですけど、海外ではけっこうあったんですよ。僕自身よくそれを観てたから、メンバーに動画を観せて、そのままリビングでアコギで適当に曲をつないでマッシュアップを作っていったんです。
──その場でどんどんできあがっていったんですか?
たつや◎ そうですね。みんなで「今流行っている曲はなんだろう?」と考えながら、それにバンドでオケを付けたのが、初回投稿動画になったエド・シーランのマッシュアップ動画です。
──そのほかにもL'Arc-en-Ciel、米津玄師、The Chainsmokersなど、多くのカバー動画をアップされていますが、毎日投稿するには労力も必要だったんじゃないですか?
たつや◎ そうですね。みんなで住んでるリビングの壁にボードを貼って、2週間単位くらいで計画を立てるんです。月曜日は誰が編集する、みたいな。そのスケジュールに必死に追い付いていく感じでしたね。
──そこまでして毎日動画を投稿されていたのはなぜ?
奏(B) ACE COLLECTIONは、最初にRIKUがたつや◎を見つけて、彼の歌に惚れたのがきっかけで生まれたバンドなんです。でも、たつや◎がやっていた別のバンドをライブハウスに観に行くと、お客さんは2、3人だったんですよ。当時それぞれ別のバンドで自信を持って演奏していたけど、客足が伸びないというのは全員が抱えていた悩みだったんです。
──だからこそ、YouTubeで知名度を上げることに活路を見出したかったと。
奏 今までと同じやり方をしていたら、いくらクオリティの高い楽曲を作り上げても届かないような気がして。また歯がゆい時期を過ごすのは嫌だと思って、勇気を出してYouTubeに動画をアップすることにしたんです。
たつや◎ それは相当話し合いましたね。
「生きてる!」と感じる瞬間
──去年行った初の全国ツアーが全公演ソールドアウトしたわけですから、それは自分たちのやり方は間違ってなかったという自信につながったんじゃないですか?
LIKI(G) はい。勇気は要りましたけど、新しいことに挑戦できてよかったと思います。
奏 でも、どんどんライブもやっていきたいですね。僕らはよく「週1くらいでライブをしたいね」という話をしてるんです。とにかくライブをやりたがりな4人が集まってるんで。
LIKI ライブをしてるときが一番「生きてる!」って感じられるんです。
奏 やっぱりライブが一番面白いんですよ。同じセットリストを演奏しても、お客さんの雰囲気とか、対バン相手が誰かによって全然違うライブになるから。その日にしか生まれないものがあるんですよね。めっちゃ当たり前のことを言ってるんですけど、まあ、ただのライブ中毒です(笑)。
──もしかしたら、ACE COLLECTIONに対するそのあたりの見え方は、誤解があるかもしれないですね。YouTubeのバズり方だけを見ちゃうと、突然人気者になった華やかなバンドにも見えるけど、実際は根っからの現場史上主義で泥臭いバンドだという。
たつや◎ 確かに。そこはちゃんと伝えたいですね。思い返せば、もともとYouTubeに動画を投稿しようと思った理由がライブにお客さんを集めることだし、ライブを成功させるために、この過程を踏んだわけだから。
奏 ライブを大切にしていることも、いずれ伝わると思ってるから特に焦ってもないですけどね。実際今は「めちゃめちゃライブをやってるか?」と言われたら、まだそうでもないし。今後はライブの本数を増やしていきたいです。
直感でスピード結成
──話は前後しますが、先ほどおっしゃっていた通り、RIKUさんがたつや◎さんをバンドに誘ったことからACE COLLECTIONは始まったということですが、もともとお二人は知り合いだったんですか?
RIKU(Dr) いや、Twitterでたまたまたつや◎が歌っている動画を見つけて、声がいいなと思ってDMを送ったんです。
──当時、たつや◎さんは別のバンドを組んでいたんですよね?
RIKU たつや◎とLIKIが一緒にバンドを組んでいたんですよ。それで、さっき奏も言っていたけど、たつや◎のライブを観に行ったら、お客さんが全然いなくて。後日たつや◎と一緒にご飯に行って初めて話をしたあと、家に帰ってから、「こいつと一緒にバンドをやったら、もっと大きなステージに行ける」と思ったんです。それで、その日の深夜にたつや◎に電話をして、次の日に当時知り合いだった奏くんも呼んでバンドを結成したという。
──スピード結成ですね(笑)。
たつや◎ 俺、RIKUから電話がかかってきた次の日がバイトだったんですよ。でも、RIKUに「会いたい」って言われて、バイトをバックレて行きました(笑)。そしたら、奏くんもいて。
RIKU そのとき、いろんな歯車が噛み合っていたんですよね。「バンドを組むなら今日じゃなきゃダメだ」みたいな直感があったんです。
奏 当時、僕は別のバンドでサポートメンバーをしていたんですけど、あと2週間遅かったら、正式メンバーになっていたくらいのタイミングだったんです。3人で集まったとき、「今日みんなが(当時所属していた)バンドを辞められるなら、僕はACE COLLECTIONをやる」と言ったんです。そこで迷いがある人がいたら、この先もいろいろ迷い続けて、攻めるところで攻められないと思ったから。でも、みんなその場で「辞める」と言ってくれて。それくらいの馬鹿野郎たちと一緒にバンドをやれたら最高だなと思ったんですよね。
──そこに、たつや◎さんと一緒にバンドを組んでいたLIKIさんも加わるわけですね。
LIKI はい。僕は前のバンドではベースをやっていたんですよ。でも、もともとギターが好きだったこともあって、このバンドではギタリストとしてやっていくことになりました。迷いはなかったです。
──4人とも、そこまで直観的に「このメンバーならやれる」と思ったのは、どうしてでしょう?
奏 単純に気持ちだよね。
RIKU どれだけバンドに対して本気かというところだけで選んだ感じですね。メンバーのルーツはバラバラだし、初めはお互いに何が好きなのかもわからないで、「うまいな、一緒にやろう」と集まったんですけど。
たつや◎ バンドって人が大事だと思うんですよね。当時、僕はソロでやっていこうかなと悩んだ時期もあったんです。でも、RIKUに声をかけられたときに、「俺らだったら、もっとたつや◎が自信を持って歌えるように後ろで支えるよ」と言ってくれたんです。それを聞いたときに、「マジか、じゃあやってやろうじゃないか」と思って。今までは「メンバーが足を引っ張ったとしても、俺が力づくでメンバーを上に持っていってやるみたいな考え方だったんです。それは今でも思っているけど。そんな俺が、「支えるよ」と自信満々に言ってくれるメンバーを背負ったら、最強じゃないですか。そのメンタルさえ崩れなければ、強い絆を持ってやっていけると思ったから、即決でしたね。
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全員の顔がわかるバンドをやりたい