音楽ナタリー Power Push - Masato(coldrain)×上田剛士(AA=)×Koie(Crossfaith)

世界照準の「MONSTER」コラボ

Masato(coldrain)×上田剛士(AA=)×Koie(Crossfaith)

最終的には「剛士さんに任せます……」

──じゃあ今回の企画に2人を呼ぶのは当然の流れだったと。

AA=

上田 そうですね。この2人とはぜひやりたいと思ってました。

──そもそもこのコラボ企画はどういうところからスタートしたんでしょうか?

上田 最初はCMの話をもらって、クライアントから女性ボーカルを入れてほしいというオファーがあったので、そういう形でやるのも面白いかも、と思ったのがきっかけですね。それでJ.M.(0.8秒と衝撃。)とのコラボがうまくいったので、このあともコラボできる人とやってみようということになり。最初からこの子たちのことは念頭にあって、早い時期からオファーしてました。

──曲作りの上で意識したことは?

上田 この2人が入るので、いつもよりさらにギアを上げる、みたいな(笑)。負けないようにしないと、というのがありつつ。おじさんとしては若い者にはまだまだ負けんという。

Koie 完全にそんな感じでしたね(笑)。

上田 あとは、2人に喜んでもらいたいなっていうのがありました。2人がやりたいって思うようなものをやりたい。自分らしいサウンドに、彼らの声を乗せる。彼らをプロデュースするというか。彼らが自分の手の上に乗ったときにどうなるかっていうのを想像しつつ、こういうのがカッコいいんじゃないの、というのをイメージしましたね。

──2人のボーカリストの見せ場もたっぷりあって、かつAA=らしいデジタルハードコアな曲ですよね。

上田 そこ重要ですね(笑)。

Koie もうバキバキやな!って(笑)。

──レコーディングはどうやって進めたんですか?

上田 あらかじめ音のデータを2人に送って、後日スタジオに来てもらいました。歌詞もテーマだけ投げて2人に考えてもらって、スタジオで詰めましたね。

──過去にMasatoさんとKoieさんが共演したことはあるんですか?

Koie 音源はないな。ライブに一瞬だけ出てもらったことがあります。

Masato 15秒だけ歌ったんですけど、ひどいもんでしたよ(笑)。2~3時間ぐらいかけて山の中にあるライブ会場に行って、延々と待たされてマイク渡されたのがたったの15秒。

Koie はははは(笑)。こんなん言うてますけど、ばっちりオレらの出番に合わせて出てきて盛り上げてくれて、いいヤツや(笑)。

Masato なので、今回みたいに歌詞の共作を含めて組んだのは初めてで。楽しかった! けっこう好きにやらせてもらって。オレらの普段やってるような感じで、あーでもないこーでもないって言ったり、お互いのテイクにNGを出したり。

上田 ディレクションもお互いにし合ってたね。

Masato 「もっといけるだろ!」って(笑)。

Koie 揉めたもんな。「ここは抑えてこうしたほうがいいでしょ」とか、「それはわかるけど絶対そうじゃない!」とか。

Masato 最終的には「剛士さんに任せます……」って話になったけど。

「オレはAA=のボーカルになる!」

──お互いのボーカリストとしての持ち味は当然違うわけですが、どう認識してます?

Masato オレはもともと歌いながら叫ぶって感じで、Koiちゃん(Koie)は叫びながら歌うって人になりつつある。僕はその「叫ぶ」の部分がCrossfaithに負けないようにずっと戦ってきたし。まあ歌でいったら、そりゃ話にならないですけど、オレと比べたら。

Koie ははははは!(笑) 確かにオレはMasatoに歌は負けてるね。

Masato(coldrain)

Masato でもKoiちゃんは、歌と叫びという2つの武器で戦ってるオレに対して、「叫ぶ」っていうたった1つの武器で戦っていて。それに対してオレは歌でも、シャウトでもKoiちゃんに勝たなきゃいけない。どっちをどう比べられても負けないようにってずっと思ってきた。Koiちゃんのステージ上の存在感とかライブの作り方で勉強させてもらったところもいっぱいあるし、そういうふうに認め合ってきたからこそ、やってることや音楽性は違ってもライバルだなってずっと思ってきたんです。

Koie めっちゃいいこと言ってますね。でもオレからしたら、2つの武器持ってるほうが絶対せこいので(笑)。ないものねだりですからね、要は。

Masato Koiちゃんも、以前は叫ぶのがメインで、ついでに歌を入れようとしてる感じでしたけど、今は“ボーカリスト”になってるし。ずっと歌ってきたオレでも出せない感じが出てきてる。それは見ていてうれしいですね。

Koie 照れますね(笑)。

──実際にどうでしたか歌入れは。

上田 面白かったですね。で、そうやって2人を戦わせておいて、おいしいところはオレが持っていくみたいな。

Masato 手の上で転がされてる(笑)。

上田 でもいいでしょ、2人のこの感じ。

──ですね。

上田 これを自分の曲でやれたのは最高でしたね。録りながらも思ってたし、できた曲を聴いても最高だと思った。2人の今の関係がなければ、こういうグルーヴにはなってないだろうし。2人の普段の会話とか聞いてて、この2人を絡ませたら面白いだろうし、自分が単純に2人の歌声を聴きたいと思ったから。やれてよかったですよ。

Masato オレは密かにずっと、AA=の音源に参加したいと思ってたんですよ。

Koie 言ってたもんな。「オレはAA=のボーカルになる!」って。

Masato そう! だからライブもやりたいんですよね。もともとAA=の音楽が大好きで。そこには自分がやっていることとは全然違うボーカルのスタンスがあるんですよ。

上田 じゃあ、またやろう(笑)。

AA= ニューアルバム「#5」/ 2016年5月18日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
「#5」
初回限定盤 [CD+DVD] / 4644円 / VIZL-971
通常盤 [CD] / 3024円 / VICL-64574
Tour #5
2016年5月22日(日)
宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
2016年5月27日(金)
愛知県 APOLLO BASE
2016年5月28日(土)
大阪府 Shangri-La
2016年6月11日(土)
東京都 LIQUIDROOM
AA=(エーエーイコール)
AA=

THE MAD CAPSULE MARKETSの司令塔である上田剛士(Vo, B, Programming, Produce)のソロプロジェクトで、2008年に始動。アーティスト名はジョージ・オーウェルの小説「動物農場」に登場する言葉「All Animals Are Equal」に由来する。プロジェクトとしての活動の一方で、BABYMETAL、BiSなどの楽曲制作やプロデュースなどを担当したり、椎名林檎をはじめとするさまざまなアーティストの楽曲のリミックスをしたり、CM音楽や映画の劇伴を手がけたりと多岐にわたって活躍。2015年4月に0.8秒と衝撃。のJ.M.をボーカルに迎えた「→MIRAI→(ポストミライ)」をモード学園のCMソングとして提供して注目を集める。同年11月にKj(Dragon Ash)をボーカリストに迎えた「M SPECIES」、2016年3月にMasato(coldrain)とKoie(Crossfaith)をフィーチャーした「FREE THE MONSTER」を配信リリース。5月には「→MIRAI→(ポストミライ)」「M SPECIES」「FREE THE MONSTER」を収めた5thアルバム「#5」をリリースする。

coldrain(コールドレイン)
coldrain

2007年に名古屋で結成された、Masato(Vo)、Y.K.C(G)、Sugi(G)、RxYxO(B)、Katsuma(Dr)からなるラウドロックバンド。日米両国籍を持つMasatoによる英語詞、伸びやかな歌声と過激なスクリームを交えたボーカル、テクニカルでエモーショナルなツインギター、重低音でボトムを支えるベース&ドラムが絡み合うバンドサウンドが魅力。2008年11月にシングル「Fiction」でメジャーデビューを果たす。2012年7月にはデビッド・ベンデスをプロデューサーに迎えたミニアルバム「Through Clarity」をリリースした。2013年より海外でのライブ活動を本格化。2014年にはイギリスのロックフェス「Download Festival」に出演する。2015年10月に4thアルバム「VENA」を発表した。

Crossfaith(クロスフェイス)
Crossfaith

2006年11月にKenta Koie(Vo)、Terufumi Tamano(Programming, Vision)、Kazuki Takemura(G)、Hiroki Ikegawa(B)、Tatsuya Amano(Dr)により結成。2009年4月にリリースした1stアルバム「The Artifical theory for the Dramatic Beauty」が国内メタルコア、スクリーモシーンを活気付ける起爆剤に。その後「Warped Tour UK」「Sound Wave Festival 2013」「Download Festival 2014」「Reading / Leeds Festival 2014」など海外の大型フェスにも多数出演し、各国のメディアに取り上げられる。2014年10月にキャリア初となるシングル「MADNESS」をソニー・ミュージックレーベルズからリリースするが、2015年1月にKazukiが脳内出血の治療によりライブ活動を休止。サポートギタリストを迎えてライブ活動を行う一方で新曲レコーディングを実施し、9月にメジャー1stアルバム「XENO」をリリースした。2016年には日本、ヨーロッパ、イギリスを含む世界ツアー「XENO WORLD TOUR 2016」を実施する。