音楽ナタリー Power Push - Masato(coldrain)×上田剛士(AA=)×Koie(Crossfaith)

世界照準の「MONSTER」コラボ

Masato(coldrain)×上田剛士(AA=)×Koie(Crossfaith)

オレはもういばれなくなった(笑)

──Crossfaithは、最初から明確に海外進出を考えてたんですよね?

左からMasato(coldrain)、AA=、Koie(Crossfaith)。

Koie そうですね。バンド結成当初から考えてました。漠然と「海外でやりたい」ってところから始まって。その頃は方法論とか全然わからなかったけど、とりあえずMyspaceに曲を上げてみようとか。そういうところから始まっていろいろ活動しているうちに、今のマネージャーに出会ったんです。日本のバンドを海外に連れていきたい、という熱意を持った人で、それで海外進出を実現できたんですね。

──なるほど。

Koie オレの場合は、日本のものより海外のもののほうが優れていると思っていたタイプなんで。洋楽を聴いて育ったし、自分が聴いている音楽の本場に行って勝負したい、というのがシンプルな理由ですね。野球やってるヤツがメジャーリーグに行きたいのと同じですよ。しかも、今はMasatoが言ったように日本のレベルが上がってきてるから、日本のバンドにしてもカルチャーにしても、形を変えずとも世界で通用する世の中になってきてる。

──「Download Festival」のメインステージに出た日本人アーティストは、マッドとCrossfaithだけらしいですね。

Koie はい、そうです(笑)。

Masato ドヤ顔してる(笑)。

上田 10年間オレらだけだったからいばれたけど、もういばれなくなった(笑)。

──普段のフェスと見える景色は違いましたか?

Koie 違いましたね。「Download Festival」は自分たちが目標としてるステージやったんです。マッドが出たこともあったし、Slipknotがメインステージに出てるDVDを観て、「これに出たい!」と思ってずっとバンド活動を続けてたから。海外のマネージメントと契約して、UKのツアーを繰り返すうちに「Download Festival」のブッキングのヤツがめっちゃ気に入ってくれて、初出演でメインステージに立てたんです。それもオープニングアクトじゃなくて、2番目で。オレが観たマッドの「Download Festival」の映像よりオレらのほうが絶対盛り上げる!みたいな気持ちだったし、それがオレの中で目標だった。それができたかどうかわからないけど。

上田 よし、あとで確認するよ(笑)。

Koie お願いします(笑)。でもヘンな緊張もなく、「ここから先に行くためにCrossfaithに必要なものはなんやろ」って考えながらプレイしてました。もっと強い曲がないとうしろのお客さんまで踊らせられんな、とか思ったり。でも……すごい景色でしたね。夢が叶った瞬間でしたから。そのとき、Masatoも一緒にいたんですよ。

Masato オレは横で観てただけだけどね。次の日に別のステージに出ることになってたんで。

Koie MCを考えるのを手伝ってもらったんですよ。「オレこんなこと言いたいんやけど、どうしようかな」とか言って。

Masato 「大統領の演説みたいなMCしたい」って言うんですよ(笑)。

Koie 「オレたちが歴史を作るんだ!」みたいな(笑)。

Masato で、間を教えたんですよ。大統領の演説は間が大事だから。オレも観てて緊張したけど、ばっちりだったね。

Koie Crossfaithもcoldrainも結成が同時期で、ホントに一緒に歩んできたと思うんです。デビューもほぼ同時期。で、オレらのほうが少し早く海外に行って。

Masato Crossfaithが海外に行ってなかったら、オレら海外でやってないですもん。最初の頃はそこまで海外に興味はなかった。日本の音楽シーンでオレらの好きな音楽を盛り上げたいって気持ちが強かったから。活動の一番の目標が違ったというか。でもこいつらが海外に行き始めたのを見てて、日本をさらに変えるには、海外でも戦ってるっていうのが大事だなと思い始めて。それでCrossfaithのあとを追いかけて海外でもやるようになったんです。

Koie でも、オレらが海外によそ見している間に逆にcoldrainは日本でどんどん大きくなっていって。今は一緒にツアーやったりフェス出たり、いいライバルでやれてると思います。

説得力で戦うcoldrainとCrossfaith

──ライバルという意識はお互い……。

Masato ありますね。やってる音楽は違うけど、お互い「説得力で戦ってる」というか。どっちが盛り上がったかとかじゃなくて、どっちが説得力あるライブができたかという戦いをしてる。

Koie うん。お互いときどき対バンするじゃないですか。Masatoがいいライブをしてて、オレらがあとから出るときは、なるべく観ないようにする。Masatoもオレらがいいライブをしてるときはあまり観いひん(笑)。でもMasatoのことは、ボーカリストとしてすごい尊敬してる。

──剛士さんはそういうCrossfaithに対してどういう印象を?

上田 出会う前から海外で活躍してる話はいろんなところから聞いてたので。「とんでもない奴らがいるよ」みたいな。すげえ奴らがいるんだなと思ってライブを観たら、やっぱりすげえ奴らだったという(笑)。

──ラウドロックに打ち込みを導入するスタイルは、剛士さんが先駆ということですね。

Koie(Crossfaith)

Koie はい。ただ、Crossfaithの曲の作り方と剛士さんの作り方はベクトルが違うと思う。オレらの場合、バンドの音に打ち込みを乗っけるやり方で、あくまでもバンドサウンド重視。剛士さんの作るデジタルハードコアとは違う。どっちかというとオレらのほうはメタルっぽいんです。でも剛士さんはやはりオレらにとって日本のロックの最重要人物やったんで、そこは戦っとかなあかんやろ、っていう。

上田 そういう気持ちで対バンに呼んでくれたんだ。

Koie もちろんそうですよ!

上田 「おじさんのこと知ってる?」ぐらいの感じだったけどね(笑)。「知っててくれてうれしいなあ」みたいな。

AA= ニューアルバム「#5」/ 2016年5月18日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
「#5」
初回限定盤 [CD+DVD] / 4644円 / VIZL-971
通常盤 [CD] / 3024円 / VICL-64574
Tour #5
2016年5月22日(日)
宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
2016年5月27日(金)
愛知県 APOLLO BASE
2016年5月28日(土)
大阪府 Shangri-La
2016年6月11日(土)
東京都 LIQUIDROOM
AA=(エーエーイコール)
AA=

THE MAD CAPSULE MARKETSの司令塔である上田剛士(Vo, B, Programming, Produce)のソロプロジェクトで、2008年に始動。アーティスト名はジョージ・オーウェルの小説「動物農場」に登場する言葉「All Animals Are Equal」に由来する。プロジェクトとしての活動の一方で、BABYMETAL、BiSなどの楽曲制作やプロデュースなどを担当したり、椎名林檎をはじめとするさまざまなアーティストの楽曲のリミックスをしたり、CM音楽や映画の劇伴を手がけたりと多岐にわたって活躍。2015年4月に0.8秒と衝撃。のJ.M.をボーカルに迎えた「→MIRAI→(ポストミライ)」をモード学園のCMソングとして提供して注目を集める。同年11月にKj(Dragon Ash)をボーカリストに迎えた「M SPECIES」、2016年3月にMasato(coldrain)とKoie(Crossfaith)をフィーチャーした「FREE THE MONSTER」を配信リリース。5月には「→MIRAI→(ポストミライ)」「M SPECIES」「FREE THE MONSTER」を収めた5thアルバム「#5」をリリースする。

coldrain(コールドレイン)
coldrain

2007年に名古屋で結成された、Masato(Vo)、Y.K.C(G)、Sugi(G)、RxYxO(B)、Katsuma(Dr)からなるラウドロックバンド。日米両国籍を持つMasatoによる英語詞、伸びやかな歌声と過激なスクリームを交えたボーカル、テクニカルでエモーショナルなツインギター、重低音でボトムを支えるベース&ドラムが絡み合うバンドサウンドが魅力。2008年11月にシングル「Fiction」でメジャーデビューを果たす。2012年7月にはデビッド・ベンデスをプロデューサーに迎えたミニアルバム「Through Clarity」をリリースした。2013年より海外でのライブ活動を本格化。2014年にはイギリスのロックフェス「Download Festival」に出演する。2015年10月に4thアルバム「VENA」を発表した。

Crossfaith(クロスフェイス)
Crossfaith

2006年11月にKenta Koie(Vo)、Terufumi Tamano(Programming, Vision)、Kazuki Takemura(G)、Hiroki Ikegawa(B)、Tatsuya Amano(Dr)により結成。2009年4月にリリースした1stアルバム「The Artifical theory for the Dramatic Beauty」が国内メタルコア、スクリーモシーンを活気付ける起爆剤に。その後「Warped Tour UK」「Sound Wave Festival 2013」「Download Festival 2014」「Reading / Leeds Festival 2014」など海外の大型フェスにも多数出演し、各国のメディアに取り上げられる。2014年10月にキャリア初となるシングル「MADNESS」をソニー・ミュージックレーベルズからリリースするが、2015年1月にKazukiが脳内出血の治療によりライブ活動を休止。サポートギタリストを迎えてライブ活動を行う一方で新曲レコーディングを実施し、9月にメジャー1stアルバム「XENO」をリリースした。2016年には日本、ヨーロッパ、イギリスを含む世界ツアー「XENO WORLD TOUR 2016」を実施する。