ナタリー PowerPush - NOVELS

「TIGER & BUNNY」OPテーマも収録 メジャー1stアルバム「cardioid」

曲はずっと作り続けるものなんだな

──では、収録曲はこのアルバムのためというわけではなく、前作「My Blood Is Your Blood.」リリース以後からずっと作りためてきたものなんですか?

竹内真央(Vo, G)

竹内 インディーズ最後のシングルになった「Wiz」を出してからは、曲をちょっとずつしか作ってなくて。そのストックも含めて、2010年のうちに10曲作ろうみたいな目標があったんですけど、結局年末までに8曲くらいしかできなくて。その続きを1月から作り出して、できたらどんどんプロデューサーに聴かせて、「よしじゃあ録っておこう」みたいな感じに。1曲2曲録った段階で、「これってなんか作るんですか?」って言ったら「いや何も考えてない」って言われて。だから今年に入ってからは、とりあえず曲ができたらいきなり本録り、って進め方でした。

──曲ができてから間を空けず、そのときの鮮度を封じ込めたかったんですかね?

竹内 どうなんですかね? 何考えてるかわかんないんですけど(笑)。いい曲をたくさん作ってたくさん録ろうっていう考えはプロデューサーに漠然とあったみたいで。それがどういうパッケージになるにせよ、録ってて曲がたまったらアルバムを作る、みたいな考え方らしいんですよ。だからいつまでたってもアルバムをリリースしようっていう話はなかったんで、だんだん僕らは不安になっていって。そういうタイミングで「TIGER & BUNNY」サイドからオープニングテーマの話があって。そこから急展開ですね。いろんなことが急ピッチで進んで。……目まぐるしかったですね、春からは。

──「Wiz」以降あまり曲ができてなかったのは何か理由があるんですか? 「Wiz」までで出し切ってしまった、というような気持ちがあったんでしょうか。

竹内 なんとなく1~2曲は作ってたんです。でも、僕らいつもアルバムを作るときに、どういうアルバムを作ろうかってディレクターと相談してたんですよ。移籍のタイミングでそれが全くなくなっちゃったんで、途方に暮れてしまって。「次、何すればいいんだろう?」みたいに。そんな中、プロデューサーに「年内に10曲あげて」って言われてからまた作り出して。だから、目標を与えられないと何をしていいのかわからない、っていう去年の状態からはだいぶ変わりましたね。曲はずっと作り続けるものなんだなあって。

──インディーズからメジャーになり、周囲の環境が変わったことで、竹内さんの中で曲作りに取り組む姿勢が変わったんですね。

竹内 そうですね。周囲の環境の変化が大きいですね。

個々がスキルアップしなきゃならないなって各々が感じてた

──環境が変わるのはすごく大きなことなので、制作面でのプレッシャーやストレスなども皆さん感じたのではないかと思うんですが。

山田 やっぱり取り巻く人たちが変わると気持ちがかなり変わりますよね。僕らとスタッフの皆さんは愛知と東京という離れた環境にいるので、コミュニケーションが全然取れてない状態でレコーディングが始まって。だから最初はかなり戸惑いがあったんですけど、レコーディング期間が結構長かったんで作業を通じてコミュニケーションがとれたので、今はやりやすい環境になりました。それに、周りの人は変わりましたけど、これをこうしなさいっていう枠を作らずに、僕らが作ったものに対してあとで当てはまる枠を考えてくれるスタンスだったので、そういった面ではインディーズから変わることなく自分たちのペースはある程度保ててると思うんです。とは言えプレッシャーは大きいので、そういう部分での焦りや緊張はありますけどね。

──そのプレッシャーっていうのは「いい曲を作りたい」っていう?

山田 そういうのもありますし、レコーディングの設備が良くなればより音がクリアに聴こえるようになるので、自分自身のスキルアップに対する気持ちもあるし。あとは、プロデューサーがついてレコーディングしたことはなかったので、「どう進めたらいいんだろう」って戸惑いはありましたね。どういう人なのかがわからない時期には、バトったりもしましたけど。

──なるほど。環境が変わったことでバンド内の結束が強まったりしました?

山田 元々、内にこもるタイプの人間が多いので、違う環境に置かれると「こっちはこっち」ってメンバー同士で固まる感じが僕はしましたけどね(笑)。

竹内 個々がスキルアップしなきゃならないなって各々が感じてたな、とレコーディングが終わったときに思いましたね。お互いがお互いの音を潰してしまうことを怖がって。例えば吉田のドラムを潰してしまうのが嫌だから山田がベースの練習をして、ベースを潰すのが嫌だから楠本がギターを練習するとか。そうやってできた曲を潰したくないから僕が歌を練習するとか。そういうふうにお互いを高め合っていたんだなあって。

吉田翔人(Dr) 確かに環境はがらっと全部変わったんですけど、個人的には良かった面もあって。ずっと一緒にやってきたインディーズのときのチームだったり場所だったりは、いい意味で言えば慣れててなんでも言える仲なんですけど、だからこそ結構甘えちゃってて。モノを作る上でそれってどうなんだろうって思ってたこともあったんで、その面では身が引き締まるというか、いい意味での緊張感だったりプレッシャーだったり、責任感がありますね。

ニューアルバム「cardioid」 / 2011年10月12日発売 / 2800円(税込) /  TOY'S FACTORY / TFCC-86365

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CD収録曲
  1. 遊星オペラサーカス
  2. umbrella
  3. 双生児
  4. Wiz -Album ver.-
  5. 忘却事象閲覧所
  6. 心細胞学
  7. ミッシングリンク
  8. Mouth of providence
  9. コーカス・レース
  10. 星と君とマーブル模様のこと
  11. グーイグーワ
NOVELS(のべるず)

竹内真央(Vo, G)、楠本正明(G)、山田裕起(B)、吉田翔人(Dr)の4人からなるロックバンド。全員、現在も出身地である愛知県在住。2007年10月に結成され、インディーズでシングル「鏡の国の二人e.p.」「Wiz e.p.」、アルバム「From the bad lands for Mrs. Witherspoon」「My blood is Your blood.」をリリースし、歌詞の深遠な世界観と確かな演奏力で徐々に人気を博す。また2010年1月に発表したTSUTAYAレンタル限定シングル「レムリア e.p.」では、東海地区での当時のTSUTAYA無料レンタル記録を塗り替え、注目を集めた。

2011年8月に、テレビアニメ「TIGER & BUNNY」のオープニングテーマ曲「ミッシングリンク」にてトイズファクトリー / muff toneよりメジャーデビュー。10月にメジャー1stアルバム「cardioid」を発表する。