偽りのないザ50回転ズの姿を収録

──初回限定盤のDVDにはライブレコーディングのドキュメンタリー映像が収録されていますが、単純に「こんな感じで録っているんだ！」という雰囲気がわかって面白かったです。ホーン隊も含め、みんなできちんと衣装を着て、本当のライブみたいに演奏していたんですね。

ダニー　カメラが入ったことでプレッシャーに拍車がかかりましたけどね。お客さんが入ってるのともまた違う感覚やし。

──本当にお客さんを入れて録ろうとは思わなかった？

ドリー　その発想はなかったですね。

ダニー　それならライブハウスでやって普通のライブ盤みたいな感じにしたんじゃないですかね。ライブ形式でやるとはいえ、レコーディングって基本は暗くて地味な作業ですし、愛想もないし、そういう姿をお客さんには見られたくないですからね（笑）。

──なるほど。

ダニー　でも結局カメラを入れたということは、どっかで見てほしい気持ちがあるんかな？ そういう意味ではこのドキュメンタリーもひとつのビデオショーになっているとは思うんですよ。

──このドキュメンタリー映像では、ジャッキー・チェンの映画のオマケNG集みたいな楽しいノリもありますしね。

ドリー　でも、できあがった音を真剣に聴いて確認してる場面もあるんですけどね（笑）。

ダニー　あそこはエンタテインメントに徹することができなかった（笑）。裏を見せるのがプロなのか、裏を見せないのがプロなのか、どっちが正しいかようわからんのですけど、偽りのないザ50回転ズの姿があの映像にはあると思いますよ。俺らは自分たちも楽しんでやりたいし、お客さんにも難しいこと抜きで楽しんでもらいたいし、そういうやり方を誇りに思っているんです。ただ、まあ今回のライブレコーディングに関しては追い詰められていたし、失敗したら取り返しつかないですから、そういう真剣さも見せざるを得ないというか（笑）。

ボギー　でも実際やってみたら、いつものライブみたいに2人の背中を見ながら演奏できたので合わせやすかったですよ。

キャリアを積むほどシンプルになる

──「Do You Remember?」というタイトルは、明るくキラキラしていながらも、どこかセンチメンタルなところがありますね。

ダニー　ジャケット撮影も含めて制作にまつわる全てが完成してから、慌てて考えたタイトルなんですけど、これしかないなって思いましたね。

──割と行き当たりばったりですね（笑）。

ダニー　なんかこんな話ばかりしていたら能天気なバンドみたいやな（笑）。実際能天気なんやけど。まあ昔は能天気なふりして深く考えているバンドになりたかったんですけど、でも結局そうはならず、単なる能天気なバンドになりましたね。深刻な顔してシリアスなことだけ言うてるのが嫌いなんですよ。毎日、楽しいほうがええやないですか？ だからといって何も考えていない本当のアホな能天気はお話にならないですけど（笑）。真剣に遊ぶってことなんですかね。

ドリー　インタビューとかでも難しい言葉を使いたくない（笑）。

ダニー　いろいろやっていく内にそぎ落とされてシンプルになっていく気もするし、でも最初からシンプルっちゃシンプルやし。キャリアを積むことでバンド自身が研ぎ澄まされてシンプルになってんのかな。

──インタビューのたびに毎回思うんですけど、ザ50回転ズはとにかくやりたいことを楽しく、しかも真剣にやっているだけなんだなと。本当にそれ以上でもそれ以下でもない。

ダニー　そうそう、だからインタビューでも本当に言いたいことは歌詞に書いているから、それ以上言うことがないんですよ。今回、胸キュンな歌詞になっているのも深い意味は特にないし。だって誰にもそういう胸キュン部分はあるじゃないですか。それが自然と出てきてるというだけですから。

ドリー　だからできあがった音楽について言葉で表現しすぎるのも違うかなって思うんですよね。

──そのシンプルな姿勢がザ50回転ズの魅力だと思います。

ダニー　うん、今日も要約すると「やりたかっただけ」みたいなことしか言ってないからね。これ読んだ人に「インタビュー意味ないなー」って思われませんかね？（笑）

──いやいや、ちゃんと伝わると思いますよ。

ダニー　ならよかった！