ナタリー PowerPush - ザ50回転ズ

ポップで踊れるロックンロールがドーン! 痛快ミニアルバム「ロックンロール・マジック」

ザ50回転ズが、この度ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズに移籍。約2年ぶりの新作となるミニアルバム「ロックンロール・マジック」をリリースする。収録曲は「四次元ツアー」をコンセプトにしたオリジナルストーリーを描きだす、全6曲。主人公は、ザ50回転ズの生き写しともいえる、ロックンロールの抗い難い魅力に駆り立てられた3ピースバンドだ。彼らがタイムマシーンに乗り込み、時空を超えながらロックンロールのダイナミズムを体現していくその物語とサウンドは、ザ50回転ズというバンドの本質を痛快なまでに響かせている。

さらに初回限定盤の特典DVDには、井口昇監督(「片腕マシンガール」「ロボゲイシャ」)が手がけた約30分に及ぶショートムービーを収録。驚愕のロックンロールミュージカルが完成した。メンバー自身「俺たちがやりたいこと全部ここに詰め込みました!」と言うこの会心作は、どのようにして生まれたのか。情熱たっぷりに語ってもらった。

取材・文/三宅正一

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自分たちでも「これ、素晴らしいのよ!」って叫びたくなる

──最高ですね、このミニアルバム。

ダニー(G, Vo) いいですよねえ! 自分たちでも「これ、素晴らしいのよ!」って叫びたくなる作品です。

──井口監督が手がけた初回限定盤のDVDと併せて、ロックンロールの王道とサブカルチャーのカウンター魂を同時に行き来するような痛快さ。これこそが、50回転ズの本質なんだと思いました。

3人 ありがとうございます!

──改めて、どんな手応えを感じていますか?

ダニー レコード会社を移籍したということもあり、2年弱のリリースブランクがあったので、その間にじっくり曲も書けたし、アレンジもできたので。かなり濃密ないいミニアルバムができたという実感がありますね。

ボギー(Dr, Vo) 今回は制作からリリースするまで時間があったので、曲を練る作業がかなりできたんですよね。それは自分にとってはビートを見直す時間にもなって。このミニアルバムで新しくスタンダードなビートを見つけられたという手応えがあります。

ダニー そうそう、遅く出すビートのカッコ良さ。「いけないビート」のあんなに遅くて、しかもサビであえてグッと賑やかさを減らして攻めるビート感とかね。一度やってみたいと思っていたことを試すこともできた。

ドリー(B, Vo) 6曲入りのミニアルバムということで、全体の世界観に統一性を持たせたんですけど、それが功を奏してかなりロマンチックな仕上がりになったと思います。

50回転ズの今やりたいことが100%反映されている

──移籍に伴って、いろんな環境の変化があったと思うんですけど。

ダニー そうですね。言うたらレコード作りに関する環境はごっそり変わりましたね。最初にこっちが「こんなんやりたいんですけど」って言うた、ほぼすべてのことに「やってみましよう!」ってお答えをいただいて。だから、このミニアルバムは50回転ズの今やりたいことがほぼ100%反映されているんですよ。かつ新しい取り組みとして、プロデューサーという、会社でいえば相談役的な人を立てて。その方と一緒に練る作業をして、やりたいことはあるけど手法がわからない場合にアドバイスをもらうことができたんです。その方の経験に裏付けされた知識で、俺らの無知をカバーしてもらったというか。ただ、向こうから「こうしよう、こうしてくれ」というのはまったくなくて、こっちが「こんなんやりたい!」って言うたことに対して的確なアドバイスをくれる、ロックンロールの先生みたいな感じでしたね。

──いい出会いがありましたね。その結果として、音としてのキャッチーさがグッと増していると思います。

ダニー そうですね。今まで盤としては7枚出しているんですけど、まだ50回転ズの名前と音楽が届いていない人に届けていきましょう、ということで。そこで肝になったのがサウンドプロダクション。今までの50回転ズはかなりギギャーン!っていうトラッシーな音で統一してきたんですよね。でも、今回は移籍一発目やし、「ロックンロール・マジック」というドリーミーでロマンチックなテーマを設けたので。シューパーン!と抜けのいい、クリアな音作りでいろんな人に聴いてもらおうぜという狙いがあって。さらに今回は80年代のフレーバー……ともすればちょっとダサいフレーズ、歌詞の言葉選び、メロディラインを振りかけていますから。80年代のダサかっこいいメロディラインってものすごくロマンチックじゃないですか?

──間違いないですね。

ダニー それを50回転ズがやったらどうなるんだろう?と思って。スタジオで鳴らしてみたら、やたらテンション上がるくらいロックンロールなんですよね! 最高や!と。でも、それをやるには今までの音作りでは違和感があるなと思った。それでこういうクリアな音作りになったんです。

ドリー 音作りがきれいになった分、今までは埋もれていた音やフレーズを前に出すことができて。曲によっては逆にロックンロールとしての迫力や魅力が増したと思いますね。今後きれいな音でずっといくかっていうとそれはわからないですけど。次の作品からものすごくラウドになるかもしれないし。ただ、その都度やりたいことをやっていこうと。

ダニー そう、今作で極端にきれいな音作りというのをひとつ知ったわけですから。逆に極端にトラッシーな音作りも知っていますし。ここからどんどん面白くなっていくと思いますね。

ミニアルバム「ロックンロール・マジック」 / 2010年11月17日発売 / Sony Music Associated Records

  • 初回限定盤 / [CD+DVD]2300円(税込) / AICL-2185~2186 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤 / [CD]1680円(税込) / AICL-2187 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. I can not be a good boy
  2. 夢見るタイムトラベラー
  3. いけないビート
  4. S.O.S!
  5. サンダーボーイ
  6. ロックンロール・マジック
ザ50回転ズ(ごじゅっかいてんず)

2004年に大阪で結成された3ピースバンド。「なにわのラモーンズ」というキャッチコピーがよく似合う、パンキッシュなガレージサウンドが特徴。2006年1月にはアルバム「50回転ズのギャー!!」でメジャーデビューを果たし、「FUJI ROCK FESTIVAL '06」や「COUNTDOWN JAPAN 06/07」などの大規模フェスティバルにも出演。年末にTOMMY RAMONEより絶賛された「1・2・3・4!!」を発表。2007年には世界最大の音楽見本市「South By South West」に参加。2ndアルバム「50回転ズのビリビリ!!」をリリースし、翌2008年にミニアルバム「レッツゴー3匹!!」を発表。2009年初頭には3rdアルバム「50回転ズのビックリ!!」をリリースするなど、ハイペースで作品を世に送り出す。また毎年数多くのライブを敢行。そのパフォーマンスにも定評がある。2010年、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズに移籍し、約2年ぶりとなる新作ミニアルバム「ロックンロール・マジック」をリリース。この作品を携えての発売記念イベント「50回転ズのロックンロール・マジックアワー」と全国ツアー「50回転ズのロックンロール・マジックツアー」が決定している。