04 Limited Sazabys結成15周年!セルフカバーアルバムを通して手に入れた新しい武器とは (2/3)

「Buster call」のエモさをうまく表現してくれるのは誰だ

──「Re-Buster call」のアレンジはJYOCHOの中川大二郎さんです。

GEN 「Buster call」はエモーショナルな曲なので、このエモさを一番上手に表現してくれる人は誰だろうと考えたときに、大二郎かなって。僕自身、大二郎の出すAmerican Footballみたいなエモいギターのフレーズが大好きなので、実際上がってきたデモを聴いてもすごくいいなと思いました。ただ一方で「俺ら、これをどう料理するんだろう」という不安はありましたね。

RYU-TA この曲が一番レコーディングに苦労しました。

KOUHEI サラッと聴けるくせに、やっていることはむちゃくちゃなんです。よく聴くと規則性がなくて意味わからないというか。その叩き方が全然習得できなくて、レコーディングのときは自分自身にイライラしました(笑)。

HIROKAZ 大二郎は全パート飛ばしすぎてるよね。ギターはバッキングとリードの両方が主旋律みたいなフレーズで。レコーディングの最後のほうは握力がなくなってギターの音が鳴らなくなりました。それくらい大変でした。

HIROKAZ(G)

HIROKAZ(G)

KOUHEI でも大二郎的には、JYOCHOで一番難しい曲を100とすると「Re-Buster call」は20って言ってた。

GEN 20か……(笑)。

──続いて、玉屋2060%(Wienners)さんによる「Re-fiction」「Re-Kitchen」はいかがでしたか?

GEN 玉屋さんはレーベルも一緒だし、関係性としても近いので、曲を決め打ちでお願いするというよりは、何曲か候補があって「ちょっとアレンジをお願いできませんか?」くらいのラフな感じでお願いしました。「fiction」も「Kitchen」も「こう来たか!」ってみんな度胆を抜かれたので、飛び道具的に入れさせてもらいました。

──「Re-fiction」「Re-Kitchen」の2曲は歌詞も追加されていますね。

GEN なんか尺がめっちゃ伸びてたんです(笑)。

KOUHEI 玉屋さんが歌詞を追記してくれて、そこから変えたんだっけ?

GEN そうそう。玉屋さんの「こんなの入れたらどう?」というアイデアに対して、さらに俺が手を加えて。

──もともとご自身で歌詞を付けていた曲にさらに歌詞を加えるというのは、どういった心境なのでしょうか?

GEN そもそもメロディが原曲とはまったく変わっているので、違う曲だと思って歌詞をアレンジしましたね。面白かったです。

──「Re-fiction」はラテンな雰囲気で、確かに疾走感のある原曲とはまったく違うサウンドですよね。

GEN 本当に。絶対に俺らにはない引き出しでしたね。

KOUHEI 「Re-fiction」のレコーディングでは初めてブラシを使いました。使ったことがなかったので、まずブラシを買うところから始めて(笑)。鳴らし方すらわからなかったので苦労しました。

──「Re-Kitchen」は、セリフ調にアレンジされたボーカルが印象的でした。Wiennersのアサミサエさんのボーカルを彷彿とさせますが、これは玉屋さんのアイデアでしょうか?

GEN いや、俺が勝手にやりました(笑)。玉屋さんのデモは原曲通り早口だったんですけど、なんか曲調にハマっている感じがしなくて。思い切ってデモのリズムを変えてみてレコーディングしたらいい感じになりました。

GEN(B, Vo)

GEN(B, Vo)

全力でディレクションしてくれた6組

──そして6組目のアレンジャー、AWSM.のDAIKIさんは「Re-monolith」と「Re-soup」を担当されています。

GEN この2曲に関しては、実は2020年にはできていて。コロナ禍にDAIKIとレコーディングして遊んでいたときに、「何かアコースティックにしてみてよ」と言ったら「monolith」と「soup」をアレンジしてくれたんです。コロナ禍で「YON FES」が開催できなかった2021年にアコースティックライブを配信したんですけど、そのときは簡単にアレンジした「monolith」と「soup」を演奏して。そのときからこれはちゃんと形にして世に出したいなと思っていたので、今回それが叶ってよかったです。

RYU-TA 「YON FES」のアコースティックライブのときはシンプルなアレンジだったので、今回はちゃんとしたバージョンを弾けたのがうれしかったです。

HIROKAZ この2曲はDAIKIのアレンジを聴いたうえで、一旦持ち帰って、自分が「こう弾きたい」と思ったものを反映させたんです。だから一番自分の意思が入っているというか。ギターに僕の色が出ているんじゃないかなと思います。

──ここまで全6組のアレンジャー陣についてお話を伺ってきましたが、レコーディングを振り返ってみていかがですか?

GEN みんな一生懸命に取り組んでくれたのがシンプルにうれしかったですね。俺らがトリビュート盤とかに参加するときって、やっぱり参加者の中で一番目立ちたいみたいな気持ちがあるんですけど、今回アレンジしてくれた6組からも同じようなモチベーションを感じて。自分が使っている楽器をスタジオに持ってきてくれた人もいたし、レコーディングでは全力でディレクションしてくれたし、真剣に取り組んでくれた。それがとにかくうれしかったです。

RYU-TA 俺はギタリストだけど、今作ではベースを弾いていたので、録り終わる頃にみんなが「ベースうまくなりましたね」と言ってくれたのがシンプルにうれしかったです。自分のモチベーションも上がっていったし。

RYU-TA(G, Cho)

RYU-TA(G, Cho)

HIROKAZ みんな優しくて本当によかったなと。僕は自分がうまくできなくてどんどん凹んでいくタイプなので、シュンとして帰ることが多かったんですけど、みんなが優しかったのでなんとか最後までがんばれました。

KOUHEI 俺の場合は逆にフレデリックの武が厳しくて(笑)。それはそれでいい経験になりましたね。

KOUHEI(Dr, Cho)

KOUHEI(Dr, Cho)

GEN みんないい雰囲気でやろうとしてくれるけど、すごくこだわってくれたからね。

KOUHEI そうそう。厳しい分、信頼してくれているんだなと感じて、テンションが上がりました。

GEN これまでは自分たちだけでアレンジまでやっていたので、今回は本当に「いろんなコーチ呼んできました!」みたいな感じでしたね。