バンドとしてより健康的になった
──先ほど「年を取ったビートは今後の04 Limited Sazabysに生かせそう」という話がありましたが、フレッシュなパンクサウンドを鳴らしていた04 Limited Sazabysが、この先のことを考えて、アコースティックを軸にした作品を出すというのは、すごく意味のあることだろうなと思いました。バンドとしては「Re-Birth」はどういった位置付けの作品になりそうですか?
GEN おっしゃっていただいたように、僕らが今後、歳を取っていく中で速くて激しい音楽をやりたくなくなるかもしれないので(笑)。コロナ禍を経て、座席があってゆっくり観られるライブも、モッシュやダイブが発生するような激しいライブも両方できるようなバンドになりたいなと思ったところからこの作品ができた。そういう意味では、またひとつ活動の幅を広げられたのかなと思います。あと最近考えていたのは、ライブハウスじゃないところでライブをやってみてもいいなと。銭湯や能楽堂でコンセプチュアルなライブができたら面白そう。とにかく、このセルフカバーアルバムの制作を通して新しい武器がまた1つ手に入ってうれしいです。
──セルフカバーをシリーズ化しても面白そうですよね。
GEN また5年後くらいに“「Re-」シリーズ”の2を作りたいですね。
KOUHEI いや、10年後で!
HIROKAZ うん、そんなに早くやりたくない(笑)。それくらい大変でした。
──「Re-Birth」はバンドの結成15周年を記念した作品ということで、15周年にちなんだお話も聞かせてください。04 Limited Sazabysは結成時から人気や結果を求めて駆け上がってきて、10周年のタイミングでは初のアリーナツアーを行いました。そこから今年までの5年は、上を目指すのとは違う走り方をしてきたように感じたのですが、この5年間は04 Limited Sazabysにとってどんなものでしたか?
GEN 本当におっしゃっていただいた通り。10周年まではずっと駆け上がっている感じというか、ありがたいことにバンドの評価がどんどん上がって、それに振り落とされないように必死にがんばっていた感じだったんですけど、そこからは自分が病気になったり、コロナ禍に突入したりして。そのときに音楽を鳴らすこと、音楽で生活できることの幸せを改めて噛み締めた。好きな場所で好きなことを、好きなだけ長く続ける大切さを見つめ直した感じがします。この5年でいい意味で吹っ切れて、地に足がついた感じというか。無理をしなくなった感じがします。
──10周年以前よりも楽しそうにすら見えます。
GEN まあそもそも楽しくて、好きでバンドやっていますからね。でも「もっとこうならなきゃ」みたいな焦りはまったくなくなりました。
──ただ、明確な目標がなくなるというのはバンドを続けるうえでは難しさもあるのでは?
GEN 焦りがなくなって、自分たちのやるべきことがハッキリしたんですよね。それまでは「ここからさらに大きくなるには?」「聴いてくれる人を増やすためには何が必要だろう?」と考えていたけど、今はどちらか言うと自分たちのことより「ライブハウスを守りたい、盛り上げたい」という気持ちが大きくて。そのためには、俺たちは俺たちらしく、変わらずにやることが正解だということがわかった。だから、時代やトレンドを気にしなくていいし、シーンの浮き沈みも気にせずにやれている感じがします。
──ヘルシーな状態ですね。
GEN はい。バンドとして、より健康的になったと思います。ライブでも、以前は対バンで呼ばれたときは「全部かっさらってやるぜ」みたいな感じでしたけど、今は、その気持ちもあるけど、爪痕を残して焼け野原にするよりも、いいパスを出して対バン相手と一緒にゴールに向かうというほうが好きになりました。
たくましくなった04 Limited Sazabysの姿を見せられたら
──そして11月11、12日には「THE BAND OF LIFE」というタイトルの日本武道館公演が控えています。この公演への意気込みを聞かせてください。
GEN 前回武道館公演をやったのは6年前。それはさっきおっしゃっていただいたように、バンドが駆け上がっている最中で、振り落とされないように必死だった時期です。常に焦っていたし、常に向上心であふれていて、満たされなくてお腹が空いていた。だけど今は当時と状況が全然違う。あのときはチャレンジャーみたいな気持ちでしたけど、今回は余裕しゃくしゃくで武道館2日間をやっつけたい。たくましくなった04 Limited Sazabysの姿を見せられたらいいなと思います。
KOUHEI 前回はようやくフェスで大きなステージに立たせてもらえるようになったくらいのタイミングだったので浮き足立っていたと思いますが、この数年はありがたいことに大きな会場でのワンマンライブも何度もやらせてもらうようになって。さらにコロナ禍で座席ありのライブもたくさん経験した。そういうものの集大成が今回の2日間だと思うので、落ち着いてできるような気がしています。ただ座席がある分、、1音1音しっかり届けるためにも演奏をがんばりたいです。
RYU-TA ホールとかアリーナとか、いろいろな会場でライブをやるようになったけど、やっぱり武道館は神聖な場所。仲間や先輩のライブを観に行っても武道館だととびきりカッコよく見えますし。だから楽しみですね。これが終わったら、きっとまたすぐに武道館でやりたいって思うんじゃないかな。そう思えるようなライブをしたいです。
HIROKAZ 本当に6年前は浮き足立っていたというか、自分でもわけがわからないままにやってたんですけど、今は前よりも僕ららしい、かつ武道館にふさわしいライブができるんじゃないかなと思います。ぜひ観にきてほしいですね。
──確かHIROKAZさんは、前回の武道館公演で、初めてお父さんが04 Limited Sazabysのライブを観に来たんですよね。
HIROKAZ そうだったかも。今回は来なさそうですけど(笑)。友達や仲間は観に来てくれたらうれしいですね。
ライブ情報
04 Limited Sazabys 15th Anniversary「THE BAND OF LIFE」
- 2023年11月11日(土)東京都 日本武道館
- 2023年11月12日(日)東京都 日本武道館
プロフィール
04 Limited Sazabys(フォーリミテッドサザビーズ)
2008年に愛知県名古屋市にて結成された、GEN(B, Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G, Cho)、KOUHEI(Dr, Cho)によるロックバンド。2013年5月に発表した2ndミニアルバム「sonor」より日本語詞を多く取り入れ、楽曲の幅を広げる。メロディックパンクやギターロック、ラウドロックなど、さまざまなジャンルのバンドと競演を重ね、2014年9月に1stシングル「YON」をリリース。2015年4月に1stフルアルバム「CAVU」を日本コロムビアから発売し、メジャーデビューを果たした。2016年4月に初の主催フェス「YON FES 2016」、2017年2月に初の東京・日本武道館公演を成功に収めた。2019年9月には埼玉・さいたまスーパーアリーナで単独公演「YON EXPO」を初開催した。2022年10月にアルバム「Harvest」、2023年10月にセルフカバーアルバム「Re-Birth」をリリース。2023年11月11、12日には東京・日本武道館公演「THE BAND OF LIFE」を行う。
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