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サザンオールスターズ「恋のブギウギナイト」ジャケ写

サザンオールスターズ 恋のブギウギナイト

ちょいと未来へSTEP─令和6年、最新形サザンの軽やかなアティチュード

文 / 三橋あずみ

ミラーボールと満月が重なる夜、ネオンの光が交錯する東京の街のどこかで繰り広げられるディスコパーティ。盆踊りさながら、円を成して音に乗る男女。その中心に立つ桑田佳祐が手元で操る“楽器”は、ギターではなくノートパソコン──。

サザンオールスターズが、デビュー日である6月25日にリリースした新曲「恋のブギウギナイト」。新宿・歌舞伎町を舞台に、小池栄子と仲野太賀のダブル主演、宮藤官九郎によるオリジナル脚本で描かれるドラマ「新宿野戦病院」の主題歌としてもオンエア中のこのダンスナンバーは、“46回目の記念日”を迎えてもなおチャレンジングかつ進化形、最新形であり続けるバンドの姿をまぶしく照らし出す。

人々の体を揺らすのは、懐かしのディスコと現代的なEDMを融合させたダンストラック。昭和から平成、令和に至るまでのクラブミュージックを大胆に横断したサウンドは新鮮な聴き心地ながら、バンドとして培われてきた圧倒的な経験値によるアレンジが安心感や包容力を同時にもたらしている。そんな演奏の上、ペーソスに満ちた男の心情を吐露する桑田のボーカルもまた、哀愁たっぷりに揺らぐ艶やかな歌声と、どこか無機質でクールなトーンの歌声を巧みに使い分けて鮮やかなコントラストを描く。「スタイルバツグン!!」「生唾ごっくん!!」なるセリフを、感情を抑えた平熱のテンションで言い放つその態度はなんだかすごく現代っぽく、その冷静さにかえって心を揺さぶられてしまうのだ。

過去と現在、刺激と安心、冷静と情熱、円熟と挑戦。すべてを飲み込み、力強くない交ぜにしながら“ちょいと未来へSTEP”を踏み続けるバンドの軽やかなアティチュードは、「文化の坩堝・TOKYOの未来ディスコ」が舞台のミュージックビデオでも明らか。先述の“DTM盆踊り”もそうだが、MVには今まさにオリンピックの新競技として注目を集めているブレイキンの中学生ダンサーが現れてアクロバティックな躍動を見せたり、デコラティブなメイクで“近未来”を体現するギャル・SUNNY BUNNYやドラァグクイーンのバスコ田ガマ子といった人々が「恋のブギウギナイト」に乗せて自由な自己表現を行ったりする。47年目にしてもなお衰え知らずな最先端の感性と独自性をもって“最新の東京”を世界へ向けて発信しようとする気概。令和6年のサザンも、間違いなく先鋭的でカッコいい。

サザンオールスターズ「恋のブギウギナイト」ミュージックビデオ

サザンオールスターズ「恋のブギウギナイト」
2024年6月25日(火)配信開始 / タイシタレーベル
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作詞・作曲:桑田佳祐
編曲:サザンオールスターズ&片山敦夫

サザンオールスターズ(サザンオールスターズ)

サザンオールスターズ

1975年に青山学院大学の音楽サークルで結成。現在のメンバーは桑田佳祐(Vo, G)、関口和之(B)、松田弘(Dr)、原由子(Key)、野沢秀行(Per)の5名。1978年6月にシングル「勝手にシンドバッド」でデビューし、独自の音楽性が当時のシーンに衝撃を与える。1979年3月に3rdシングル「いとしのエリー」の大ヒットにより幅広い層に受け入れられ、名実ともに日本を代表するロックバンドの仲間入りを果たす。その後も時代の変化に伴い、さまざまなアプローチで革新的かつ大衆的な楽曲を発表。1992年7月のシングル「涙のキッス」が初のミリオンヒットを達成し、1999年発表の「TSUNAMI」は293万枚の売り上げを記録する。その後デビュー30周年を迎え、バンドは2009年から無期限活動休止期間に突入していたが、2013年6月に活動再開を発表。2023年6月にデビュー45周年を迎え、9月から10月にかけて4日間の日程で茅ヶ崎公園野球場での野外ライブを開催した。2024年6月、フジテレビ系ドラマ「新宿野戦病院」の主題歌である「恋のブギウギナイト」を配信リリース。冬には9年振り16枚目となるオリジナルアルバムの発売を控えている。