中国ラブ史劇「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」「夕月花~三世を駆ける愛~」「夢織姫~秘密の貴公子に恋をして~」あなたが観たいのはどれ?

今、日本で人気が急上昇している中国ラブ史劇。そんな中、2022年注目の新作「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」「夕月花(せきげつか)~三世を駆ける愛~」のDVDが2月2日、「夢織姫(ゆめおりひめ)~秘密の貴公子に恋をして~」のDVDが3月2日から順次リリースされる。

映画ナタリーでは「豪華賞品が当たる! 2022年注目のラブ時代劇 観たいのはどれ? Twitter RT(リツイート)キャンペーン」が実施されている3作の魅力に迫る特集を展開。中国ドラマに造詣の深いライター・熊坂多恵、小酒真由子、島田亜希子の座談会をセッティングし、作品の見どころをプレゼンしてもらった。ラブ史劇とは一体なんなのか? 人気の秘訣とは?

取材・文 / 金子恭未子

男女が互いにリスペクトして愛と戦いに向き合っていくのがラブ史劇の醍醐味(小酒)

──現在、「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」「夕月花(せきげつか)~三世を駆ける愛~」「夢織姫(ゆめおりひめ)~秘密の貴公子に恋をして~」の中で観たい作品を選んでTwitterでリツイートするというキャンペーンが行われています。どれを選ぶか迷っている方の後押しをすべくそれぞれの作品の魅力をプレゼンしていきたいと思っているのですが、中国ラブ史劇って、そもそもどんなジャンルだと捉えていますか?

熊坂多恵 「美人心計~一人の妃と二人の皇帝~」(2010年)がラブ史劇の走りのようなイメージなんですが、昔は「ラブ史劇」という言葉そのものがなかったですよね。記憶をたどると「蘭陵王」(2013)とかが日本に入ってきた2010年代前半に定着したイメージ。歴史大作にも武侠ものにもファンタジーにも恋愛要素があるので、ラブ史劇ってなんだろう?って線引きが難しいですよね。

島田亜希子 私はヒロインありきの時代劇がラブ史劇だと思っていますね。ラブ要素があっても例えば、ヒーローたちが活躍する硬派な武侠作品などは、ラブ史劇とは分類されないということもありますよね。なので、いろいろなタイプのヒロインたちが、愛や自由を勝ち取る姿を描いたものがラブ史劇かなと。

熊坂 確かに! 国や国家のための戦いがメインじゃないですもんね。

小酒真由子 男女が互いにリスペクトして愛と戦いに向き合っていくのがラブ史劇の醍醐味ですよね。天下と愛、どちらを取るか悩むというのも王道の展開。冷静に考えたら皇帝が国より愛を取ったらダメでしょう?と思うんですけど、ラブ史劇的にはOK(笑)。赤い糸で結ばれていて、実は子供の頃に出会っているという設定も多い。

熊坂 そうそう、みんな会ってる(笑)。ヒロインが物語の中心にいて、愛に生きる姿を描いているものがラブ史劇ということですかね。

──なるほど! 今回の3作とも魅力的なヒロインを中心に物語が展開します。熊坂さんに観ていただいた「探偵麗女」は男装した名探偵がヒロインのミステリーラブ時代劇です。

「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」より、左からジャン・リンホー演じる裴昭、チェン・ヤオ演じる蘇瓷。

「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」より、左からジャン・リンホー演じる裴昭、チェン・ヤオ演じる蘇瓷。

熊坂 一族が殺害された過去の真相を探るため、男装をして国の捜査機関で働いている蘇瓷(そし)と、身分を偽る国の英雄・裴昭(はいしょう)が、一緒に捜査をしていくうちに惹かれ合っていくというお話です。2人が、武者修行中の若君・謝北溟(しゃほくめい)、薬や毒に詳しい董如双(とうじょそう)と一緒に事件を解決していく様子がテンポよく描かれています。

島田 最後に腑に落ちる展開が用意されていて、謎解きものとしても面白いですよね!

熊坂 そうなんですよね。中だるみしてしまうドラマもありますが、このドラマは構成がソリッドなので、とても観やすい。蘇瓷と裴昭のさわやかな恋愛が描かれているので、青春ドラマっぽさもありつつ、捜査ものの作品でもあるので、捜査のために蘇瓷たちが訪れる妓楼とか、化粧品のお店とか、屋台とかの街並みも観ていて楽しいです。男装ヒロインものですし、謎解きものでもあって、蘇瓷と裴昭のバディものでもある。設定てんこもりの作品ですね。

──2人が一緒に暮らすことになるので、同居ものとしての魅力も持ち合わせていますよね。

小酒 同居しがちというのもラブ史劇あるあるですよね(笑)。

熊坂 1話で、“あるある”と言えばの水中キスも登場します。

島田 早かった(笑)。

「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」より、左からジャン・リンホー演じる裴昭、チェン・ヤオ演じる蘇瓷。

「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」より、左からジャン・リンホー演じる裴昭、チェン・ヤオ演じる蘇瓷。

「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」より、左からジャン・リンホー演じる裴昭、チェン・ヤオ演じる蘇瓷。

「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」より、左からジャン・リンホー演じる裴昭、チェン・ヤオ演じる蘇瓷。

熊坂 そのほかにも、お姫様抱っこ、山賊抱っこ、バックハグ、手取り足取りの剣術や弓のお稽古、看病からの看病返しなど、全部入っている?と思うぐらいラブ史劇あるあるが楽しめます(笑)。ヒロインが酔ってグイグイ迫ったり、媚薬を盛られたり……ラブシーンは見応えたっぷり。昔、韓国ドラマでネクタイをぐいっと引っ張ってキスをするネクタイキスがありましたが、この作品にはベルトを引っ張ってキスをするシーンがあって、「ベルトキス新しい!」と思いました。謝北溟と董如双カップルにもかわいいラブラブシーンがあって観ていて楽しかったです。

「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」

「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」

──ラブ史劇といえば美男美女の恋愛描写も見どころの1つですが、この作品ももれなく魅力的でした。

熊坂 蘇瓷はサバサバしたヒロイン。演じるチェン・ヤオは、演技が達者ですよね。身体能力も高そうでアクションのキレもいい。彼女は何をやってもサッパリ演じられるのが魅力だなと思います。

一方の裴昭は職権乱用で蘇瓷の給料を上げたり、女性でも出世できるよう社会そのものまで変えようとしたりスケールの違うスパダリっぷりがすごい! 裴昭役のジャン・リンホーはやわらかい感じのイケメンでとにかく顔がとてもいいです(笑)。身長188cmでスタイルもよくてかっこいい。理系の名門・南京師範大学に入った理系男子で、マネージャーと偶然知り合って、芸能界入りしたらしいんです。この作品がデビュー作なので、初々しいジャン・リンホーが観られます。彼は「陳情令」の原作者・墨香銅臭が書いた「天官賜福」のドラマ版でも主演に抜擢されているんです。

小酒 スター性がありますよね、いきなり主演に抜擢されても、華があるからちゃんとそこに収まっている。

「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」

「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」

熊坂 あとはホアン・シンユエン演じる皇帝とホアン・イー演じる裴昭の付き人・飛鳶(ひえん)がものすごくかわいい! 私の頭の中では勝手にユニットを組まされています(笑)。2人とも2003年生まれで、将来もっと大きな役を演じるようになるのかなあと期待しています。飛鳶が作ったごはんを蘇瓷や裴昭たちが食べるシーンはホームドラマっぽい楽しさがありました。

──男装ヒロイン、超スパダリ、注目の若手キャストの出演など見どころ満載。1話も30分程度で、いい意味で気軽に楽しめます。

熊坂 そうですね。とてもわかりやすいドラマです。中国ドラマや韓国ドラマの宮廷ドロドロものに疲れてしまった人にはさわやかなこの作品をぜひお薦めしたいです。

「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」

「探偵麗女~恋に落ちたシャーロック姫~」

喜怒哀楽のジェットコースター(小酒)

──小酒さんに観ていただいた「夕月花」は、「ミーユエ 王朝を照らす月」のスン・イー、「王女未央-BIOU-」のジン・ハン、「君、花海棠の紅にあらず」のタン・ジェンツーが共演したタイムリープ・ラブ史劇です。

「夕月花(せきげつか)~三世を駆ける愛~」より、左からジン・ハン演じる馮夕、スン・イー演じる冬月。

「夕月花(せきげつか)~三世を駆ける愛~」より、左からジン・ハン演じる馮夕、スン・イー演じる冬月。

小酒 定遠の乱で命を落とした女将軍が、戦いを食い止めるために、8年前にタイムリープするお話です。これまでのラブ史劇のタイムスリップものって現代女性が古代に飛ぶのがお約束でしたが、この作品が新しいのはヒロインが自分の子供時代、戦争の起きる1年前に戻ること。そこで首謀者と結託したとされる奸臣・馮夕(ふうせき)と出会って、敵か味方かわからない中で、恋に落ちてしまう。スリルのあるラブストーリーですね。

──先が気になって、寝る間も惜しんで観てしまいました(笑)。

小酒 謎が多くて先が読めない展開なので、どんどん続きが観たくなるんですよね。ジン・ハン演じる馮夕とタン・ジェンツー演じる見守り皇子、そしてスン・イー演じるヒロイン冬月の三角関係も盛り上がります。タイムリープものの醍醐味である失敗してもやり直してといった描写や、子供だった頃の自分に出会うなどの展開がありつつ、結局8年後の未来はどうなるのか? 悲劇の歴史は変えられるのか?というお話ですね。

──ジン・ハンは悪役のイメージが強いという人も少なくないと思います。

「夕月花(せきげつか)~三世を駆ける愛~」より、ジン・ハン演じる馮夕。

「夕月花(せきげつか)~三世を駆ける愛~」より、ジン・ハン演じる馮夕。

小酒 「王女未央」のインパクトがすごかったですよね! 悪役が似合うので「夕月花」でももしかしたら敵なのかもしれないというキャラにハマっています。悪い男を演じる人は色気がないとダメだと思っているんですが、ジン・ハンは男の色気があるんです。そこがとても好きなところで(笑)。見つめるだけでヒロインが好きだというオーラを出してくる。セリフに頼らない“好きの表現”が上手です。好きなのに悪ぶる馮夕にやきもきしたり、切なくなったり、いざ心が通じ合ったと思ったら、キュンキュンからの悲劇的な展開で、喜怒哀楽のジェットコースター。視聴者はヒロインの知らない馮夕の本当の姿を知っているので、2人のすれ違いにハラハラします。

島田 男っぽくて意地悪だけど優しい馮夕いいですよね! あとタン・ジェンツーは今回、どうなるのかが気になります。彼、闇落ちしがちで……(笑)。

「夕月花(せきげつか)~三世を駆ける愛~」より、タン・ジェンツー演じる龐鈺。

「夕月花(せきげつか)~三世を駆ける愛~」より、タン・ジェンツー演じる龐鈺。

一同 あはははは(笑)。

──タン・ジェンツーのファンは気になるポイントですよね(笑)。

熊坂 私はヒロインが冒頭で水から上がってくるシーンがきれいでとても印象に残っていますね。スン・イー、めちゃくちゃかわいいですよね。清涼飲料水のコマーシャルに出てくるような透明感で。

小酒 彼女は嫌味がなくさっぱりしたキャラなので戦うヒロインはハマっていますよね。

──この作品にはどんな胸キュンポイントがありますか?

小酒 素敵だと思ったのは、馮夕が冬月をひざに乗せて見上げるような形でキスするシーン。何も言わずとも愛が伝わる情熱的なキスで、大人な感じがいいです(笑)。あとは観ている間も命を救い救われといったスリリングな展開で目が離せない面白さがあるんですが、見終わったあとにタイムパラドックスや世界線について考えてみると、もしかしたらあれってそういういうことだったのかもしれないと、さらにキャラクターの深い愛に気付くことがあって、胸キュンでした。

「夕月花(せきげつか)~三世を駆ける愛~」

「夕月花(せきげつか)~三世を駆ける愛~」

──「夕月花」はどんな方にお薦めしたいですか?

小酒 「永遠の桃花~三生三世~」のように3つの人生で繰り広げられる壮大なラブストーリーなので、「桃花」シリーズが好きな人。それから、「時をかける少女」とか、台湾ドラマの「時をかける愛」といったタイムリープものが好きな人はぜひ! 見終わったあとにいろいろと考察する楽しみがあります。あとは「白華の姫~失われた記憶と3つの愛~」のようなスリリングなラブ史劇を味わいたい人にもお薦め。アクシデントキスもちゃんと登場するのでラブ史劇あるあるもしっかり押さえてます(笑)。

「夕月花(せきげつか)~三世を駆ける愛~」

「夕月花(せきげつか)~三世を駆ける愛~」