つまり私はしんちゃんに憧れている。ぼる塾・きりやはるか「映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」で面白さ再認識

「映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」のBlu-ray / DVDが11月11日に発売される。

記念すべき映画30作目として公開された本作は、しんのすけの“生まれた日”から物語が展開していく忍者アクション大作。「本当の親」を名乗る女性が現れ、忍者軍団に連れ去られたしんちゃんが画面の中を縦横無尽に駆け回る。

映画ナタリーは「クレヨンしんちゃん」の大ファンである、ぼる塾・きりやはるかに映画の感想を聞いた。「しんちゃんみたいになりたい」と真剣に語るきりやが見どころを熱弁!

取材・文 / 岡本大介撮影 / 山口真由子

しんちゃんみたいにもっと暴れたい

──きりやさんが「クレヨンしんちゃん」を観始めたのはいつ頃からですか?

物心がついた頃にはもう観ていた記憶があります。私の姉が大好きで、一緒にテレビアニメやレンタルDVDを観ているうちに私もハマっていきました。周りの友達もみんな大好きでしたし、よくみんなでしんちゃんのモノマネをして遊んでいました。

──劇場版もご覧になっていましたか?

実際に映画館に行って観るようになったのは高校生くらいからなんですけど、それまではDVDで楽しんでいました。今は一緒に観る友達が決まっているので、毎年予定を合わせて映画館に行って、帰りはごはんを食べながら「あのキャラ面白かったね!」とか「あのギャグめっちゃ笑ったね」など、感想を言い合って盛り上がるのが恒例行事になっています。そういう時間も含めて、毎年楽しみで仕方ないですね。

きりやはるか

きりやはるか

──これまでの「映画クレヨンしんちゃん」シリーズで特に好きな作品はありますか?

たくさんあるんですけど、あえて一番を挙げるなら「暗黒タマタマ大追跡」(1997年)。珠由良ブラザーズという3人組が登場するんですけど、本当にいいキャラなんです。中でもラベンダーはチャイナドレス姿のスリットからのぞく足がセクシーで、アクションシーンもすごくかっこいいんですよね。こんなふうにかっこよくなりたいなと思っちゃいます。映画に登場する「たまゆら たまゆら たまゆーらー」という歌と踊りも好きで、不思議と元気がもらえるんです。元気が出ないときは、今でもこの曲で踊りたくなります(笑)。あと空に放り投げられたひまわりをしんちゃんが捕まえて、それを大人たちみんなで支えて「よっしゃー!」って叫ぶシーンもたまらなく好きですね。ほかにも「ヘンダーランドの大冒険」(1996年)のマカオとジョマも大好きですし、「電撃!ブタのヒヅメ大作戦」(1998年)の冒頭シーンも忘れられないです。そのシーンのマグカップを見つけて、ついつい買っちゃいました(笑)。

──お話が止まりませんね! ものすごく好きだという気持ちが伝わってきます。

ほかにもたくさんあるんですよ。世間的には「嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」(2001年)や「嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」(2002年)が有名で、それ以外はあまり観たことない人も多いじゃないですか。それはもったいないと思っていて、ぜひほかの作品も観てくださいと、声を大にして言いたいです。

──きりやさんは「クレヨンしんちゃん」のどんなところが魅力だと感じていますか?

私にとってしんちゃんは、とにかく嫌なことを忘れさせてくれる存在です。しんちゃんはずっとおふざけをしているだけですけど、それだけでなんの変哲もない日常が面白おかしくなって、私はそれにいつも救われている気がします。

──劇場版は感動シーンも多いですが、きりやさんはギャグやコメディに惹かれるんですね。

感動シーンもガッツリ泣きますよ(笑)。だからどちらの面も好きなんですけど、基本はやっぱりふざけているしんちゃんが好きで、私もしんちゃんくらい思いっきりふざけてみたいなと思うんです。つまり私はしんちゃんに憧れていて、究極的にはしんちゃんみたいになりたいんですよね。

きりやはるか

きりやはるか

──きりやさんはもともと自由奔放なイメージですが、本音はもっとふざけたいんですか?

ふざけたい(笑)。今もぼる塾のみんなといるときにはわりとふざけることが多いんですけど、もっと暴れて、みんなからかっこいいと思われたいです。

──かっこいいと思われたい?

しんちゃんって、ふざけているのにかっこいいじゃないですか。いつも決めるときは決めるから、そのギャップにやられちゃうんです。私もそんな存在になりたいなって憧れています。

──なるほど。ちなみにしんちゃん以外で一番好きなキャラクターは?

ぶりぶりざえもんです。1日3時間しか働けないって公言しているのに、“救いのヒーロー”なんですよ。最高にかっこいいなと思います。

ライブでウケなくても動じないぐらい、しんちゃんはタフ

──ではここからは「映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」について伺います。どんな感想を持ちましたか?

一言で言うと、ポップな印象。泣けるシーンもありつつ、最後は思いっきり笑わせて終わってくれたのがうれしかったです。あと、しんちゃんの子供らしい一面がしっかりと描かれていて、それがとても印象的でした。忍者の里に連れ去られて家族と離ればなれになって、それでもしんちゃんのことだから平気なのかなと思いきや、めっちゃホームシックになるじゃないですか。やっぱりちゃんと5歳児だったんだなって。夢の中で、ひろしとみさえから「しんのすけー!」と名前を呼ばれ続けるシーンがあって、あそこは特に大好きです。過去のいろいろな思い出がフラッシュバックしつつ、カットの色味もだんだんと古くなっていくんですよ! その演出に胸を締め付けられて、ポロポロと泣いちゃいました。

「映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」

「映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」

「映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」

「映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」

──忍者幼稚園でインチキな忍法を披露したり、お城に潜入して派手な逃走劇を繰り広げたりとやりたい放題だっただけに、あのシーンはグッと来ますよね。

そうなんですよ。帰りの道中で(忍者幼稚園の)風子ちゃんと別れて、1人でペチャンコになったおにぎりを取り出して食べるシーンがあるじゃないですか。もうあの時点でやられちゃいましたね。あんな演出は反則です(笑)。

──ほかに印象深いシーンはどこですか?

たくさんあります。忍者幼稚園で「日曜日のとーちゃん」や「昼間のかーちゃん」って、自分なりの忍法を堂々と披露して、だんだん周りの子供たちをハマらせていくのも印象的で、改めてしんちゃんってすごいと感じました。私で言えば、ぼる塾のことを誰も知らないお笑いライブに出て、堂々と自分たちのネタをやり切って、ウケなくても「これが私たちのネタですけど?」って動じないくらいタフですよね。そういうハートの強さもしんちゃんを尊敬するところなんです。あと、忍者の里に向かうひろしとみさえが「無理でもやるの、ほかに方法がないんだから」と言って、ワニがいる川をものともせずに突き進んでいくシーンもいいですし、カスカベ防衛隊のみんなと協力して“地球のへそ”の栓を運ぶシーンとか……もう挙げればキリがないです。