中国ドラマ「三番目の花婿~Choice Husband~」「ネコの手も借りたい恋」特集 | “ツンデレプリンス” シン・ジャオリンが時代劇&現代ドラマで見せた新たな魅力とは?コラム&ライタートークで紐解く (3/3)

シン・ジャオリンのツンデレっぷりとロマンスに没頭できる(林)

──林さんに観ていただいたのは現代劇の「ネコの手も借りたい恋」です。シン・ジャオリン演じる芸能プロダクションのオレ様社長ジー・チェンと、フー・ビンチン演じる新人アシスタントのジョウ・ティエンの恋が描かれます。

 面白くて、ハマりましたね。最近の中国のラブコメって、登場人物の関係が複雑だったり、SFやミステリーを持ち込んでみたり、どんどんお話が複雑になっている中で、このドラマはすごく王道なんです。だからなんていうか、寅さんみたいな感じというか(笑)。

左からフー・ビンチン演じるジョウ・ティエン、シン・ジャオリン演じるジー・チェン。

左からフー・ビンチン演じるジョウ・ティエン、シン・ジャオリン演じるジー・チェン。

──シン・ジャオリン版寅さん?

 お話は全然「男はつらいよ」とは違うんですが(笑)。こう来たらこう来るみたいな王道ストーリーが守られているというか。だからすごく安心してシン・ジャオリンのツンデレっぷりとロマンスに没頭できる。もう、すべてがときめきのために作られているようなドラマです。

沢井 「三番目の花婿」と違って、「ネコの手も借りたい恋」はTHE・王道ですよね。ツンデレCEOと等身大の女性がぶつかり合いながらも惹かれあっていく。そういうストーリーがマンガ的な演出に乗っかっているので、少女マンガを読んでいるような感覚で観やすかったです。

 2人の恋模様がじれったくて、「この2人早くなんとかしてー!」って感情移入していきますよね。このドラマはタイトルが表している通り猫がキューピッドなんです。ジョウ・ティエンの飼い猫チウチウがジー・チェンの家に迷い込んだことによって、素性を知らないままSNSで交流が始まる。恋心を自覚したジー・チェンが途中からデレ出すものの、ヒロインにはつれなくされるのも様式美(笑)。わかっちゃいるんですが、先が気になってしまう!

一同 (笑)

 猫のチウチウは今まで観てきた中国ドラマの中でNo. 1というぐらいにかわいかったですね。あまりにもちゃんと演技をしているんで最初はCGなんじゃないかと疑ったぐらいで(笑)。でもメイキングを観ると、NGを出していたり、本当に実在していました。

「ネコの手も借りたい恋」場面写真

「ネコの手も借りたい恋」場面写真

沢井 このドラマを観て、猫に対するイメージが日本と中国で共通しているなというのも感じましたね。

 飼い主が猫にお仕えしているような感じが一緒ですよね(笑)。ジー・チェンは一見冷酷なオレ様社長ではあるんですけど、猫好きなのでこの人は悪い人じゃないというのが最初からわかる仕掛けで。彼の人間に向ける厳しい表情と、猫に向けるとろけるような表情のギャップは見もの。SNSで交流する様子を仮想空間で見せる演出も面白かったです。キャットタワーを模した空間で猫の仮面を付けたジー・チェンとジョウ・ティエンが話していて。

左からシン・ジャオリン演じるジー・チェンと猫のチウチウ。

左からシン・ジャオリン演じるジー・チェンと猫のチウチウ。

──猫好きとしてSNSで距離を縮める一方で、現実世界のジョウ・ティエンはオレ様なジー・チェンの無理難題に応えていきます。

 物語の舞台が芸能プロダクションというのもこのドラマのポイントだと思います。IT企業とか弁護士事務所を描くより、脚本家も内情をわかっていると思うんです。だから描かれているものに現実味がある。炎上やスポンサーへの対応など、中国の芸能ニュースで見かけるトピックがてんこ盛りで、1人のスターをたくさんの人がチームで支えているんだということにも感動します。

沢井 お仕事ドラマとしての魅力も兼ね備えたドラマですよね。

ツンとデレの同時進行が観られる(林)

──林さんはシン・ジャオリンがツンデレCEOを演じた「キュート・プログラマー」などもご覧になっているということですが、「ネコの手も借りたい恋」ならではのツンデレの魅力ってどこにあると思いますか?

左からフー・ビンチン演じるジョウ・ティエン、シン・ジャオリン演じるジー・チェン。

左からフー・ビンチン演じるジョウ・ティエン、シン・ジャオリン演じるジー・チェン。

 ツンデレっていろんなパターンがありますけど、だいたい最初はツンツンしていて、恋心を自覚することによってデレていくという変化が描かれますよね。でも、このドラマでは現実世界のジー・チェンが建前のツン担当で、猫好きさんとしてSNSに現れるジー・チェンが本音のデレ担当なんです。だからツンとデレの同時進行が観られる。しかも仮想空間に2人が同時に現れてツンとデレが共演することもあります(笑)。同一人物なんですが、シン・ジャオリンが演じ分けていて、それがすごく面白い。

沢井 ツンとデレの会話が観られますよね(笑)。

 デレにツンが叱られていたり(笑)。

沢井 ジー・チェンはツンのお手本のようなキャラだなと。改めて王道のよさを感じました。正直、ツンデレCEOものってもういろいろ観てきて、枯渇しているわけではないんです(笑)。でもやっぱり観ると面白くて続きが気になる。

 同じジャンルを観続けることによって、見えてくる面白さってありますよね。

──ジー・チェンが恋に落ちるジョウ・ティエンの印象はいかがですか?

フー・ビンチン演じるジョウ・ティエン。

フー・ビンチン演じるジョウ・ティエン。

 ジー・チェンと出会ったことによって、どんどん魅力的な女性になっていきますよね。その姿をフー・ビンチンが上手に演じていました。ヒロインは元長距離走選手で体育会系。日本だと口下手に描かれることもありますが、彼女は理詰めで相手を説得することもできるし、さっぱりしたキャラでスカッとするようところがあります。

──主人公2人以外にお気に入りのキャラクターは?

 ヒロインの先輩で2番手男子のジャン・ハオですね。演じるリー・ユンルイは「これから先の恋」や「宮廷衛士の花嫁」に出ている今売り出し中の若手。彼自身は理系の大学出身なんですが、このドラマではちゃんと体育会系に見えてうまい。あとはワン・ジアニン演じるジー・チェンの幼なじみもよかった。普通だったら絶対ヴィランなのに、意外な役回りで大好きなキャラです。すごくサバサバした女性で、中国の視聴者からも好感のコメントが寄せられていました。

リー・ユンルイ演じるジャン・ハオ。

リー・ユンルイ演じるジャン・ハオ。

ワン・ジアニン演じるジアン・ハンイー。

ワン・ジアニン演じるジアン・ハンイー。

──「ネコの手も借りたい恋」はどんな方にお薦めですか?

 ときめきたい方にはお薦めですね。無条件でときめくことができます(笑)。猫好きな方、シン・ジャオリンが好きな方にも観てほしい。

沢井 王道の少女マンガが好きな方はハマると思いますね。

 ヒロインが怪我で陸上の道をあきらめざるを得なくなかったというのもこのドラマのポイント。スポーツ選手のマネージメントをしたくて、入社するんですが、小説家のマネージメントをすることになる。でも彼女は自分の今いる場所で前向きに取り組みますよね。そんな姿から元気がもらえると思います。

ドジっ子シン・ジャオリンを見てみたい(林)

──今回はシン・ジャオリンの新作時代劇と現代劇が同時上陸ということで2作観ていただきました。

沢井 「三番目の花婿」では落ち着いた文人、「ネコの手も借りたい恋」ではツンデレのお手本といったように、2本を見比べられて面白かったです。

 時代劇だと所作や話す言葉が現代のものと違って、その世界に生きるシン・ジャオリンが見られますし、現代劇だと同じ地球に生きている人だったんだ!(笑)と実感できます。

「三番目の花婿~Choice Husband~」場面写真

「三番目の花婿~Choice Husband~」場面写真

「ネコの手も借りたい恋」場面写真

「ネコの手も借りたい恋」場面写真

──今回の2作品で新たな一面を見せてくれたシン・ジャオリンですが、今後の彼に期待することってありますか?

 今までとまったく違うキャラを演じてもらいたいですね。例えばドジっ子シン・ジャオリンとか、弱気なシン・ジャオリンとか。時代劇とスーツはもう見ているので、別の制服も見てみたいです。警官とか、なんでも似合いそう。

沢井 ツンデレを極めてほしいという気持ちもありつつ、やっぱり違う面も見てみたいですよね。以前、彼がドラマの中でひざ枕して甘えている姿を見たことがあって。その甘えっぷりにドキドキして、思わず画面を閉じてしまったことがあったんです(笑)。

一同 (笑)

沢井 だから甘えん坊シン・ジャオリンとか、バリキャリ姉さんと恋する歳下のワンコ系シン・ジャオリンとか見てみたいです。

「三番目の花婿~Choice Husband~」第1回特別公開中

「ネコの手も借りたい恋」第1話特別公開中

プロフィール

沢井メグ(サワイメグ)

大学時代に中国近代文学と出会い上海・同済大学に留学。2010年上海万博日本館での勤務を経てライター / 編集者となる。東洋経済オンラインで台湾の経済誌今周刊の翻訳を行うほか、中国・台湾エンタメや文化、時事ニュースなどを中心に記事を執筆、翻訳。主な訳書にルアン・グアンミン「用九商店」シリーズ、毎日青菜「DAY OFF」(ともにトゥーヴァージンズ刊)がある。TOKYO MX「日曜はカラフル!!!」、日本テレビ「スッキリ」の中国ドラマの特集コーナーにも出演した。

林穂紅(リンスイコウ)

訳詞者、翻訳者、編集者。OSTの仕事がきっかけで中国時代劇にハマる。編著に「チャイニーズ・ポップスのすべて」(音楽之友社)ほか。「中国時代劇で学ぶ中国の歴史 2023年版」「最新!注目スター&中国時代劇ドラマガイド2023」(キネマ旬報社)「2023年見るべき中国時代劇ドラマ」(ぴあ)などに寄稿。

※記事初出時より本文の一部表現を修正しました。お詫びして訂正いたします。

2023年10月19日更新