IMAXは「屋根裏のラジャー」の最高の相棒!“究極の想像の旅”を浴びる映画体験をお届け

「メアリと魔女の花」のスタジオポノックが贈る新作アニメーション映画「屋根裏のラジャー」が全国で上映中。愛を失った少女アマンダと、彼女の想像から生まれた“イマジナリ”の少年ラジャーが現実と想像の世界を駆け巡るさまが描かれる。寺田心が声を当てたラジャーは、アマンダの想像した世界が大好き。そんな彼を、人間に忘れられると消えてしまうイマジナリの運命が待ち受ける。

映画ナタリーでは映画の世界観により没入できる上映フォーマット、IMAXにフィーチャーした特集を展開。IMAXの魅力を紹介するとともに、ライター・岡本大介のレビューを掲載する。

レビュー / 岡本大介文 / 小宮駿貴

映画「屋根裏のラジャー」予告編公開中

IMAXでプレミアムな映画体験を

圧倒的な明るさ

IMAX®の告知ビジュアル。

カスタムされたシアターで、最高に明るい映像を投影。革新的なプロジェクションシステムで色彩の鮮明さと温かみのバランスが取れた高品質の映像を生み出し、これまでにないリアルなコントラスト表現が可能に。クリエイターたちがイメージする、シャープで生き生きとしたビジュアルを楽しむことができる。

“全身で感じる”サウンド

IMAX®の告知ビジュアル。

革新的なオーディオ技術により独自に開発されたスピーカーで、驚くほど澄んだ深みのあるサウンドを実現。腹の底に響く重低音から肩越しに聞こえるささやき声、さらに人の耳では捉えきれない音域までカバーすることで微妙なニュアンスも忠実に再現している。それは“聴く”というより、“全身で感じる”ような映画体験をもたらす。

IMAX独自のシアター設計

IMAX®の告知ビジュアル。

IMAXシアターはどの座席からも見晴らしがよく、場内の隅々まで臨場感あふれるサウンドに包み込まれる。また床から天井、左右の壁から壁まで広がる大スクリーンは圧倒的な没入感をもたらす。

岡本大介 レビュー

IMAXは「屋根裏のラジャー」の“最高の相棒”

IMAXについては、正直これまでは「ゴジラ-1.0」のような、ゴリゴリのVFX作品を鑑賞するためのプレミアム仕様くらいに思っていた。それだけに、鑑賞後は「IMAXってアニメーションとも相性抜群じゃないか!」と感動したというのが率直な感想である。もちろんアニメーションと言ってもジャンルはさまざまなので一口にはくくれないが、少なくとも「屋根裏のラジャー」とIMAXの組み合わせは、ラジャーとアマンダくらいに“最高の相棒”だと言える。

「屋根裏のラジャー」場面カット

「屋根裏のラジャー」場面カット

まず冒頭からラジャーとアマンダの大冒険の様子が描かれるのだが、ここでさっそくIMAXの素晴らしさを体感できる。IMAXならではの大スクリーンに広がる空や大地、大自然の圧倒的な映像美に加え、その中をツバメに乗って滑空するラジャーとアマンダの躍動感は圧巻で、自分もイマジナリの世界に入り込んだと錯覚するほどの没入感が味わえるはず。それだけでも十分に満足感があるのだが、イマジナリの世界の表現は、単に「絵が綺麗」とか「動きがいい」といったレベルには収まらない感動がある。それは、背景とキャラクターが一体となり、画面にあるすべてのモノが動くという、非常に緻密な絵作りがされている点にある。

左からラジャー、アマンダ。

左からラジャー、アマンダ。

「屋根裏のラジャー」場面カット

「屋根裏のラジャー」場面カット

序盤、現実世界の屋根裏部屋からイマジナリの世界へと飛び出すシーンがあるが、それまで屋根裏だった場所が、瞬く間にイマジナリの世界へと作り変えられていく。このように、現実が想像へと変容していく、あるいは交錯するシーンはこのほかにも多々あり、そのどれもが実にダイナミックに描かれている。「想像力」をテーマとした作品だけに、これらの演出は本作の要であり、観る者の心を強く揺さぶる大きな魅力となっているように思う。

アマンダの屋根裏部屋。

アマンダの屋根裏部屋。

IMAXで引き立つ光と影の演出、臨場感のあるサウンド

本作とIMAXの相性の良さを感じるのは、何も没入感だけではない。スタジオポノックと百瀬義行監督が生み出した「光と影の演出」は、明るさやシャープネス、色彩、コントラストに優れたIMAXで鑑賞してこそ、その真価を発揮する。暗闇の中に出現するさらなる漆黒をまとった少女や、彼方に煌めくオーロラ、金色の鳥が身体の一部を夜空に撒き散らしながら飛んでいく姿など、これまでのアニメーションではお目にかかったことのない演出表現が次から次へと目に飛び込んでくる。この作品はIMAXで観るべきだと、強く推奨したいポイントの1つだ。

「屋根裏のラジャー」場面カット

「屋根裏のラジャー」場面カット

また音響面で最初にIMAXのすごさを感じたのは、序盤の屋根裏部屋だ。IMAXの音響技術により、屋根裏特有の少し声のこもった感じや、雨の日ならではの湿気を含んだSEの数々など、どれもが実にくっきりと形をなして耳に届く。そして、ラジャーをつけ狙う謎の男ミスター・バンティングの傘の音などもとても印象的だ。傘を石畳に叩きつけてカツーンと響く高音は劇中で何度も登場する。これはストーリーが進むにつれてジワジワと効いてくる仕掛けとなっているが、これもIMAXだとより鮮明に、より効果的に聴こえる。とある少年のイマジナリの世界ではSFチックな世界観が広がるのだが、その際のBGMは交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」で、つまりは映画「2001年宇宙の旅」のメインテーマ。名作へのオマージュにニヤリとする一方、その重厚な音楽がビリビリと体を震わせるなど、随所でIMAXサウンドを味わえるだろう。

「屋根裏のラジャー」場面カット

「屋根裏のラジャー」場面カット

ミスター・バンティング

ミスター・バンティング

“究極の想像力”を浴びる映画体験

最後に、作品そのものの感想を少し述べたいと思う。ストーリーやキャラクターはかなりシンプルで、子供から大人まで誰もが共感できる作品なのは間違いない。そのうえで筆者は、ぜひ大人にこそ観てほしいと願っている。実写では絶対に表現できないであろう“究極の想像力”にあふれた映像を浴びる約2時間の映画体験。観ているうちに、大人になって忘れてしまった想像力が持つ無限のパワーを思い出させてくれる。さらに大切なのは、想像したものはいくつになっても思い出せるというメッセージ。本作を観たあとに抱くのは、大人になってしまった感傷などではなく、未来への爽やかな希望なのが素晴らしい。それこそが、大人にこそ観てもらいたい理由だ。

「屋根裏のラジャー」場面カット

「屋根裏のラジャー」場面カット