「初恋」窪田正孝×内野聖陽×大森南朋×染谷将太×小西桜子×ベッキー×村上淳|やんちゃで自由な三池組が世界を熱狂させた“ラブストーリー”

10年前も今回も感じた、三池監督への印象(窪田)

──三池組の「ここが特徴」と言えるのは、どんなところでしょう。

内野 僕は自由さとやんちゃさに驚かされます。今回、僕の出演する部分のメインロケ地が深夜のホームセンターだったんです。ある日、台本になかった画コンテを突然渡されて。奇想天外な展開がこの映画の“面白ポイント”の1つなんですけど、新しいアイデアがポンポン出てきて、それをすぐ取り入れる。自由な現場だなあと思います。

大森 自由と言えば、三池監督は対応力もすごいです。歌舞伎町でロケしているとき、近くで火事が発生して消防車が何台も来たことがあって。どこもかしこもサイレンが鳴っているんですけど、監督が「このまま映そう」と。普通だったら消防車がいなくなるまで待つんですけど、そういう対応力が三池組の面白さでもあります。

──窪田さんは、10年以上前に「ケータイ捜査官7」で三池監督と出会われました。久々に主演として三池組に参加していかがでしたか?

「初恋」

窪田 皆さんが言うように、監督は役者を乗せるのが誰よりもうまいし、特に男性の撮り方がかっこいい。本当に。あれは三池さんにしかできないところだと思います。それに男女関係なく、その人自身の本質を見てくれます。自分1人では破れない殻を自然に割って、その人が本来持っているものを引き出してくれるというのが三池監督への印象です。

──ほかに「ここは変わらないな」と感じる場面はありましたか?

撮影現場の三池崇史。

窪田 「この役はあなたのもの。僕らは撮るだけ」というスタンスが、より自由にさせてくれる。そこは以前も今回も感じました。自由な役者同士が出会ったとき、そこでまた新しいものが生まれるかもしれない。それを監督は追いかけて撮って、小さな仕草とかに表れていたら、見逃さず編集で残すんです。言葉じゃなくて、感じ取ってくれる人なんだと思います。今回は特に桜子ちゃんに対する三池監督から、そういう面を感じていました。

小西 たった一言のセリフでも、モニカの感情の動きを撮ろうとしてくださって。10回以上テイクを重ねたシーンもあったんですけど、何回もやっていくことで引き出していただけて。ありがたさを感じながらがんばりました。

ボクシングやってみたかった(内野)

──次から次と強烈なキャラクターばかり登場する本作ですが、自分の役以外で「これはやりたかった!」と思う人物はいますか?

窪田 僕、南朋さんの役好きです。人間臭いところがいいなあと。

内野 僕はボクシングやってみたかったな。レオにラッキーパンチ当てる対戦相手役で!

小西 そっちですか(笑)。

村上 僕が好きなのはベッキーさんが演じたジュリ。でも演じるのは、ベッキーさん以外考えられないなあ。

「初恋」より、ヤクザの権藤(内野聖陽 / 左)と市川(村上淳 / 右)。

ベッキー ありがとうございます(笑)。権藤(内野)は演じるのが大変そう。だって全然くたばらないんですもん。役としてもすごいけど、役者としてあのパワーを維持するのは相当エネルギーが必要ですよ。敵わない!

染谷 どの役も面白そうですけど、皆さん自分の役はやっておきたいですよね。(選ぶのが)難しい。

村上 欲を言えば、三池監督になってみたかった。この素晴らしいメンツとの撮影で。時々、監督は猛獣使いみたいだなと感じましたよ。

やっと日本でも観てもらえる(窪田)

──本作はカンヌ国際映画祭をはじめとする映画祭に出品され、海外での反響を聞くたびに日本のファンは公開を心待ちにしていました。窪田さんや小西さんも実際に映画祭へ参加されていましたね。

左から小西桜子、窪田正孝。

窪田 僕はスケジュールの都合で上映には参加できなかったんです。どんな感じだったの?

小西 面白いシーンではすごくウケていました。みんな笑いながら椅子をバンバンたたくので、座席が揺れて。 映画好きの人たちの熱気を生で体感できてよかったです。

窪田 北米での先行公開も経て、やっとここ日本でも観てもらえると思うと感慨深いね。皆さんにお届けできることに感動しています!