「ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀」のBlu-ray / DVDが5月26日に発売される。
「ウルトラマン」シリーズ初のインターネット配信向け完全新作・世界同時展開作品として生まれた短編シリーズ「ウルトラギャラクシーファイト」。2019年製作・配信中の「ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ」に続き、2020年より配信されている「ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀」では、よりスケールが大きく濃厚なドラマが展開された。
本特集では、新キャラクター・アブソリュートタルタロスの声を担当して「ウルトラマン」シリーズに初参加した諏訪部順一と、前作から監督を続投した坂本浩一にそれぞれインタビューを実施。ウルトラヒーローたちを翻弄する謎多きアブソリュートタルタロスの魅力や、次回作での活躍の構想について話してもらった。
取材・文 / 金須晶子 撮影 / 入江達也
タルタロスとCDデビュー目指します(笑)
──本日の写真撮影は、諏訪部さんが声を当てたアブソリュートタルタロスと一緒でしたね。念願の初対面のご感想は?
思っていた以上にスタイルがよくて、思わず「かっこいいですね」と声を掛けてしまいました。背面の造形も非常に凝っていて。並んでみたらかなりしっくり来たので、2人でユニットを組めそうです。次回作の主題歌を担当するべくCDデビューを目指します! ……もちろん冗談です(笑)。
──いいコンビになりそうですね(笑)。今回「ウルトラマン」シリーズに満を持して初参戦ということで、出演発表の際には「まさに感無量!」とコメントされていました。
オファーの知らせを受けたときは「ついに!」と思いました。子供の頃から親しんできた「ウルトラマン」シリーズ。その世界の中で生きるキャラクターの声を担当することは、長年抱いていた夢の1つでした。新シリーズの情報が出るたび、チャンスはないかといつもそわそわしていたんですよ。今回、出演検討材料としてタルタロスのデザイン画や設定資料を事前にいただけたのですが、それが手元に届くよりも先に「ぜひ!!」と即答しました。マネージャーに「絶対に出演したいので早急にスケジュール調整を!」と食い気味に答えたのを覚えています。
まず名乗るのが礼儀
──黄金の体が特徴的なタルタロスは、見た目もさることながらミステリアスな存在感が魅惑的です。最終話まで観ても謎の多いままという印象ですが、それでも視聴者を引き付ける理由はどこにあると考えますか?
そのご質問にお答えする前に……タルタロスって人気あるんですか?(笑)
──登場するたびにSNSの感想はタルタロスの名前で持ちきりでしたよ。「タルタル」という愛称で呼んでいるファンも見受けられます(笑)。
海老フライにマッチしそうな愛称で呼んでいる方は自分もお見かけしました(笑)。非常にクセの強いキャラクターなので、ヘイトだけがたまっていくのではないかと思っていたんですよ。丁寧な作業でようやくつながることができた「ウルトラマン」シリーズの世界観を、再び思いっきり崩してしまうような存在だったりしますからね、タルタロスは。しかし、彼には彼なりの美学があるように感じられますし、フィジカル的な強さもどうやら備えているようです。多くの皆さんに愛でていただけるようになったらうれしいですね。
──美学を感じる悪役は魅力的ですし、だからこそヒーローが輝きますよね。
物語の主人公であるヒーローサイドは、途中でブレることも少なくないですよね。自分が行っていることは本当に正しいのか、正義とはなんなのか?などと。そういう苦悩する姿が魅力につながったりもしますが、対する悪役はあまり悩まないですよね。己の欲望に正直というか、目的を達成するためには手段を選ばず、ゴールに向かう一点突破の圧がすごい。人が誰しも抱えているであろうエゴイスティックな部分を包み隠さず、ゴリゴリと押し付けてくるさまは時に痛快で、魅力的に感じられることがあるかもしれません。
──タルタロスは今のところウルトラマンたちにとって敵ではありますが、行動の目的もはっきり明かされておらず、完全なる悪とも言い切れません。
そうですね。そもそも正義とは自身の主観の上に成り立つものですから。ウルトラマンベリアルやウルトラマントレギアを手駒にした感じですが、タルタロス的にはむしろ彼らを救済してあげたくらいに思っているかもしれませんね。むしろ正義を行使したと。
──何かと視聴者をざわつかせているタルタロスですが、毎回「我は究極生命体アブソリューティアンの戦士、アブソリュートタルタロス!」とフルで名乗るため「律儀なやつ」だとも言われています。
「初めまして」のときはまず名乗るものですもんね。礼儀正しい! 彼の場合は、自分の存在をアピールしたいという強い自己顕示欲から来ているのかもしれませんが、何せ究極生命体ですので(笑)。
レオとガチンコファイトしたい
──実は今回、坂本浩一監督から諏訪部さんに質問を預かっているんです。
今作の終わり方を見ると、今後の「ギャラクシーファイト」シリーズでもタルタロスは大きな役割を担う存在になると思います。
キャラクターを広げるにあたり、タルタロスとして演じてみたいシーンやチャレンジしてみたいことはありますか? 参考までにお聞かせください!
──今後の展開に向けてのヒアリングですね。
言ったことが実現する可能性があるんですか?
──円谷プロダクションの方々もこの場にいらっしゃいますので、ぜひ!
では僭越ながら……まず「大きな役割を担う存在になると思います」に関して。ここは「確実になります」でお願いします(笑)。あとは、とにかく勝ちたいです! お歴々のウルトラヒーローたちとガチンコ勝負して、勝つ。そんな展開になると個人的にはうれしいですね。そして、タルタロス推しの方を増やすために、意外な一面をアピールできるエピソードなどあると最高ですね。実はかわいい趣味などあったり。スピンオフ作品なんかどうでしょう(笑)。
──日常系スピンオフ、観てみたいです。
キッズ向けに「タルタロス体操」なんていうのもアリですね。エプロン着けてお料理動画とか……まあ余談はこれくらいで(笑)。本編でもまだまだこれからなキャラクターですので、何よりも望むのは、本編の中での活躍です。ウルトラヒーローたちの前に立ちはだかる大きな壁としてがんばってほしいですね!
──闘志がみなぎっていますね。タルタロスとして戦いたいウルトラヒーローはいますか?
それはもちろん全員ですが、強いて言うならば、子供の頃に触れてきた昭和のウルトラマンの皆さんとバチバチやり合えたらうれしいですね。中でも格闘能力の高いウルトラマンレオとのタイマンバトルはぜひ観てみたいです。そして勝ちたいです。でもレオは大好きなので、倒してしまうのは忍びないなあ……。
──子供の頃からの憧れのヒーローですからね……。
近年のウルトラヒーローは軒並み倒していきたいですね。よく知っている人たちが声を担当しているヒーローは(笑)。ウルトラマンタイガのトライスクワッドをまずまとめて倒して、ウルトラマンゼットも完膚なきまでにたたきのめす。策略によって勝つのもいいですが、文系かと思ってなめてかかったらめっちゃ武闘派の体育会系だった!みたいな展開が合ったら素敵です。監督にはぜひそのあたりをお願いしたいですね。
──円谷プロダクションさんから監督にお伝えいただきましょう。ちなみに5月26日に発売されるBlu-ray / DVDにはディレクターズカット版が収録され、タルタロスのアクションシーンも追加される予定です。ウルトラマンジョーニアスとのバトルなどが主に増えるそうですよ。
それは楽しみですね! 配信版のように1話ずつじっくりとご覧いただくのもいいですが、全部をイッキ観することで、よりいっそうこの作品の世界にどっぷりと浸かっていただけるのではないかと思います。繰り返しお楽しみいただいて、来るべき次のシリーズに向けて準備しておいていただけますと幸いです。
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坂本浩一 インタビュー
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