終わりがある前提の関係性に「グッと心をつかまれた」
──ストーリー展開的に記憶に残ったシーンはありますか?
序盤のほうで、ヤチヨが彩葉に向かって「いつも来てくれてありがとうね、彩葉」ってボソッとつぶやくシーンがありましたよね。あれ、最初は「どういう意味なんだろう?」と心がザワザワしました。最後まで観ると「そういうことだったんだ!」ってなるんですけど、その伏線回収がすごく印象的でした。
──普段「来てくれてありがとう」を、おひさま(日向坂46ファンの呼称)に対して言う立場だからこそ、そのセリフに引っかかった部分はありそうですね。
そうですね。私もステージに立つ身として、いつも来てくださる皆さんに感謝はもちろんしているんですけど、ピンポイントで彩葉に対して「ありがとう」を言うのはどういうことなんだろう?って。
──あの段階では、彩葉はたくさんいるヤチヨファンの1人にすぎないわけですからね。
そうなんです。あとは……花火のシーン。かぐやが「月から迎えが来る」って彩葉に告げるんですけど、あのシーンにすごく思い入れがあります。かぐやと彩葉がその意味をどう受け止めたんだろうなあって。
──この関係性には終わりがある、ということを2人が確かめ合うシーンですよね。
別れの日が確定していることを踏まえたうえで、残された時間を笑顔で過ごしていくかぐやの姿に私はグッと心をつかまれました。残された彩葉が抜け殻みたいになっちゃうところも、「急に心にぽっかり穴が空いちゃったんだろうな」と思うと本当に胸が痛みました……。
──そこはおそらく、日向坂46メンバーの卒業とも重なったのでは?
近いと思います。これまで何度も先輩方のご卒業を見送ってきたんですけども、卒業コンサートや卒業セレモニーのたびにたくさん泣いてしまって、やっぱり100%の笑顔で送り出すというのはなかなか難しくて。始まりがあれば終わりもあるからこそ、その日まで全員で全力で走っていくと思うんです。なのでかぐやたちの姿を見ていて、似ている部分があるのかなというのは感じましたね。
──そうなると、それこそかぐやの終盤のライブシーンなんかは……。
送り出す側の、彩葉の気持ちに完全にリンクしました。ライブが終わった瞬間の、あのなんとも言えない彩葉の感じとか、すごく心を打たれました……。
「ワールドイズマイン」の歌い出しに大興奮!
──ライブシーンに顕著ですが、名だたるボカロPの方々が楽曲提供をしているのも本作の目玉の1つです。
そうなんです! もう、ありがとうございますって感じで……。
──「ありがとうございます」(笑)。
有名なボーカロイド曲が歌われるシーンがあるのもうれしかったですし、オープニングなども含めて、使われる楽曲が全部ボカロ好きにはたまらないものばかりでした。
──オープニング曲「Ex-Otogibanashi」を手がけたryo (supercell)さんをはじめ、HoneyWorksさん、40mPさんら、全6組のPさんが楽曲制作に参加しています。
知ってる!みたいな方ばかりで。小6ぐらいの頃からずっとボーカロイドが好きでたくさん聴いてきたので、「超かぐや姫!」がボーカロイド音楽の魅力を知っていただけるきっかけにもなるんじゃないかなと感じました。生身のアーティストさんが歌う楽曲とはまた違った、癖になる魅力がボーカロイドにはあるんですけど、まだあまり知らないよという方にもお勧めしたいです。
──特に今回は早見さんや夏吉さんといった声優さんが歌われているので、機械音声になじみのない方にも楽曲自体のよさが伝わりやすくなっていますしね。
そうですよね! ボーカロイドの世界にはもともと“歌ってみた”という文化がありまして、機械音声で作られた楽曲を生身の歌い手さんがいろんな解釈で歌う、というのも魅力の1つなんです。まだ知らない方には、そういった楽しみ方も知っていただけたらうれしいなと思います。
──先ほどもチラッとおっしゃいましたが、いわゆる有名ボカロ曲も劇中に登場しますしね。
私が一番テンション上がったのは、ヤチヨが「せかーいでー、いちーばんおーひーめーさーまー」と歌い出した瞬間です! 「うわあああー!!」ってテンションが上がりました。
──(笑)。「ワールドイズマイン CPK! Remix」ですね。
音楽アプリゲームの「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」に熱中していた時期がありまして。その中にキャラクターのダンスを鑑賞できるモードがあるんですけど、劇中のライブシーンはそれに近い楽しさも感じました。しかも、かぐやたちが歌以外のところでちょっとしゃべっているところも見れたりして、より身近に感じられた気がします。
──MCではなく、個人的な雑談を交わすところですよね。
私たちも、ライブ中にイヤモニを外してメンバー同士で会話することがあるんです。ファンの皆さんから「ああいうときって何を話してるの?」と聞かれることも多いので、皆さん気になるポイントなんじゃないかなって。そういう意味では、アイドルファンの方も楽しめる作品になっていると思います。
もしツクヨミにログインしたら…「平尾には負けてられない!」
──今のお話がまさにそうなんですが、かぐやたちのようなライバーとアイドルには共通する部分も多いと思います。
確かにそうですね。
──たとえば正源司さんがツクヨミ(劇中で描かれる仮想空間の名称)にログインできるとしたら、どんなライバー活動をしてみたいですか?
わあー! どうしよう(笑)。最近はゲームにもけっこうハマっているので、作中でかぐやたちがやっていた「KASSEN」(劇中で行われるチーム対戦型コンテンツ)のようなゲーム配信っぽいこともやってみたいです。あとは、彩葉がキーボードで曲を作るじゃないですか。私も一時期作曲の勉強をしてみたいなと思っていたことがあるので、もし素敵な曲を作れるようになったら、楽曲提供をしてみたいです。
──それをかぐや的な人に歌ってもらう、みたいな?
はい、相棒みたいな感じで。
──その相棒は誰にしましょう?
メンバーで個人的に歌ってほしいのは、五期生の蔵盛妃那乃かもしれないです。前に一緒にカラオケに行ったとき、本当に歌が上手で感動したんですよ。あの伸びやかな声で、ぜひ私のメロディを歌ってほしい(笑)。
──ちなみに、作曲の勉強というのはどの程度されたんですか?
ギターを始めたときにコード進行について「こういうのがあるんだ」ということを軽く学んだのと、あとピアノも習っていたので、メロディらしきものを弾いて作ってみたりとかです。ドラムも何も入っていない簡単なデモ音源のようなものを作って、おひさま向けのメッセージアプリで送ったことも実はあります。また時間があればやりたいです。それで言うと以前、「ひなたフェス開催決定記念!日向坂46時間TV~全国おひさま化計画~」という配信番組の中で、同期の平尾帆夏がアイドルプロデュース企画をやったんです。メンバーの河田陽菜さん、上村ひなのさん、小西夏菜実の3人を「wistar」というアイドルグループに仕立てて、平尾が手がけた楽曲を披露するということをやっていて。あれは本当にかっこいいなと思いましたし、「先を越されたー!」という悔しさもちょっとあったんです。本当に素敵な楽曲で、一時期ずっとリピートして聴いていました。
──それは負けてられないですね。
そうですね(笑)。負けてられないです!
映画館では「“真ん中の席争奪戦”を繰り広げていただきたい」
──「超かぐや姫!」はNetflix配信だけではなく、期間限定で劇場公開もされることが決定しています。劇場で観るなら、正源司さんはどんな楽しみ方をしたいですか?
真ん中の席を取りたいなって思います。私は今まで、どんな作品かによらず劇場の一番端っこの一番後ろの席で観ることにしていたんですね。ほかのお客さんがみんな出ていくまでゆっくり余韻に浸って、最後に出ていきたいからなんですけど……。でも最近、劇場版「チェンソーマン レゼ篇」を観に行ったとき、満員でど真ん中の席しか空いていなくて。
──逆に、よく真ん中が残ってましたね。
それでやむを得ず真ん中の席で鑑賞したら、音の聞こえ方が全然違うように感じたんです! 音圧や臨場感がすごくて、震えました。「超かぐや姫!」にはライブシーンもあることですし、ぜひ皆さんには真ん中の席争奪戦を繰り広げていただきたいなって思います。
──劇場の構造的に、中央付近の席は前後左右のスピーカーからの距離がちょうどいいバランスになりやすいですから、ものすごく的確な提言だと思います。
特に「超かぐや姫!」のような作品の場合は、真ん中の席のほうが楽しいだろうなって思います!
──では最後に「超かぐや姫!」をどんな人に観てもらいたいか教えてください。
さっきのボーカロイドの話じゃないですけど、劇中に出てくるツクヨミのようなバーチャル世界にあまりなじみのない方もいらっしゃると思うんですが、一度触れたら絶対にハマるはずと思います。「超かぐや姫!」は、そういった新しいカルチャーの入り口としてぴったりな作品だと感じました。
──おっしゃる通り、バーチャルやボカロといった要素が目を引きますが、実は誰でも楽しめる映画ですよね。
例えば、小さなお子様と劇場に行った親御さんが「こういう世界があるのか」と理解するきっかけにもなったりすると思うので、ぜひみんなで楽しんでいただきたいです。
──確かに、親子で観るのはとてもよさそうです。ちなみに、メンバーに薦めるとしたら?
間違いなく喜んでくれそうなのは、小坂菜緒さん。アニメやマンガが大好きで、声優さんも大好きな方なので、絶対にこの作品はお好きだと思います。キャラデザ的に帝か雷推しになると思います。
──そこまで予想できちゃうんですね(笑)。
あとは、五期生の鶴崎仁香に薦めて反応を見てみたいです。鶴崎はけっこう才女と言いますか、本をたくさん読んでいそうな子で。あまりこういう作品には触れてきていないイメージがあるので、この作品を観てどういう感想を抱くのか気になります。薦めてみたいと思います!
プロフィール
正源司陽子(ショウゲンジヨウコ)
2007年2月14日生まれ、兵庫県出身。2022年9月に日向坂46の四期生としてグループに加入した。2024年公開作の映画「ゼンブ・オブ・トーキョー」では主演を務めている。日向坂46の16thシングル「クリフハンガー」は2026年1月28日にCDリリースされた。

