いかに今のエッセンスを入れてリミックスするか
有村 あと僕が「アマゾンズ」を観ていて思ったことがもう1つ。映画ができて約120年の歴史がありますけど、1970年代くらいで、だいたいのアイデアが出きっちゃったんですよ。今作っているものはコンテンツの焼きまわしが多くて。音楽と同じで、「Choo Choo TRAIN」をEXILEがやったらどうなるか?みたいなリミックスの時代。もともとある原曲に、いかに今のエッセンスが入れられているかっていうのが1つの楽しみ方なんです。この「アマゾンズ」も、1974年の「仮面ライダーアマゾン」という“初代アマゾン”のリメイクなんですよ。
ようなぴ この初代、気になります! 「アマゾンズ」での変身シーンは「……アマゾン」ってクールな感じだけど、初代は「ア!! マ!! ゾーン!!」って叫んでたって、お兄ちゃんに聞きました(笑)。
有村 そうそう、それがリミックスであり、裏切りだよね。仮面ライダーアマゾンの変身は「ア!! マ!! ゾーン!!」だっていうイメージがある中、クールにつぶやくだけになる。
ようなぴ 最初はちょっと寂しい気もしたけど、それが今風のエッセンスなんですね。
有村 そうそう。でもきっと、あと10年経てばまた「ア!! マ!! ゾーン!!」の時代が来ると思いますよ(笑)。ファッションと同じで、流行は繰り返すので。もし2030年くらいに新たな「仮面ライダーアマゾン」ができたら、大声で叫んでるんじゃないかな。
一同 (笑)
有村 養殖と野生、おとなしい仮面ライダーアマゾンオメガとワイルドな仮面ライダーアマゾンアルファが出てきたのも、今っぽいですよね。昔だったらワイルドなヒーローだけで成立していたのが、養殖っぽいキャラを入れることで、草食男子とか、弁当男子とか、こじらせ男子といった今の時代をくみ取っている。
人肉レストランはまさに「ハンニバル」
──先ほど感想として、「グロかった」というお話がありました。ゆるめるモ!はアイドル映画なのにグロ要素のある「女の子よ死体と踊れ」で初主演を果たされましたね。もともとグロ表現は得意なほうですか?
あの 得意ってほどではないんですけど、耐性はあります。全然いけますね。
ようなぴ 私は、グロいのあんまり得意じゃないです。
有村 主演映画では、お芝居だからできた?
ようなぴ そこまでグロくなかったんですよ、あのちゃんが死体役だったんですけど(笑)。体が分裂したり、車にはねられたりしても、血は出なくて。美しくてグロい作品になってます!
有村 十分グロい気がします(笑)。体が分裂って、「アマゾンズ」でもなかったよ。
一同 (笑)
──「アマゾンズ」で印象に残った過激な場面はありますか?
あの シーズン1で駆除班がやられちゃいそうなときに、藤田富さんが演じている主人公の悠が、敵の頭を全部チョキンって斬るんです。そこがすごく……観ていてスッキリして。
一同 (笑)
あの すごくきれいに何体もばーって斬ったから、あそこまでいくとカッコいいって思いました。爽快感があったんです。
有村 そういうグロいシーンっていうのも、Amazonプライム・ビデオの配信だからできること。地上波の仮面ライダーではなかなか、あんなふうに人を斬ったり食べたりするのは難しいですよね。僕の好きなエピソードで、シーズン1の9話に出てくる人肉レストランの話があって。あそこはまさに「ハンニバル」や「羊たちの沈黙」だなって思いながら僕は観ていたんです。
ようなぴ なるほど。
有村 それからあのエピソードに出てきたアマゾンたちは、覚醒しないために仕方なく、レストランでちょっとずつ人肉を食べてるっていう話でしたよね。善と悪の線引きがあいまいで、深かったです。悪が実は善なのか?って、勧善懲悪にしないやり方も今っぽいな、と。
あの うんうん。
有村 主人公のライダーの中でも考え方が2つありましたよね。アマゾンは全部駆除したほうがいいっていう人と、それは間違っているっていう人。人の立場や目線によって正義にも悪にもなりうるっていうことが描かれていました。
──そのように正義と悪の区別があいまいに描かれる本作ですが、もし皆さんがこのシーズン1の世界に入ったとしたら、誰のような立場を取りますか?
有村 ああー、面白いですね。
ようなぴ 難しーい!
──アマゾンを守るために戦うと決めた水澤悠だったり、アマゾンは全部殺すんだと言ってる鷹山仁がいたり。当初は金のために戦っていたけど、いつのまにか絆が芽生えた駆除班メンバーもいますが。
ようなぴ キャラクター的に好きだったのはマモルくんなんですけど。
有村 マモちゃん! かわいかったね。
ようなぴ そうなんです、すっごくピュアで。私のポリシーはわりと仁さん寄りなんですけど、もし私が本当にこの世界にいたら、悠くんみたいになっちゃうんだろうなって思いました。さっきの話にあったレストランのアマゾンを目の当たりにして、このアマゾンたちは覚醒したくないと望んでるのに人を食べちゃうんだって考えたら……。
有村 うんうん。あのさんは?
あの うーん……誰かなあ。この人です(資料を指さす)。
有村 鷹山仁さん!
あの はい。何かを守るために殺さなきゃいけないんだったら、ぼくは仁さんみたいに、自分が守るべき存在以外は全員殺しに行くなあって思って(笑)。だからこの中だったら、仁さんに1票入れます。
有村 意外ですね! 若い女性に人気なのは悠かなと思ったんですけど、仁さんの生き方に共感するんですね。
あの カッコいいですね。人間を守るために戦っているのが。
ようなぴ 迷いがない感じとかね。
有村 うんうん。でもこの(泉)七羽さんに対しては弱いっていう感じがまたいいですよね!
ようなぴ・あの うん!
有村 僕も実は仁さんが一番好き! 自分と歳が近いっていうのもありますけど、シンプルでいいですよね。「ごちゃごちゃ言ってんじゃねえよ! アマゾンは全員狩るんだ!」っていう。若さもあると思うんですけど、悠の場合はどうしても迷いがある。
ようなぴ 私は仁さんでありたいけど、今の若い子たちを象徴するのは悠くんのほうかなって。それが果たして本当にいいのか?って、深く悩んで考えてしまう時代なんだなって思いました。
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シーズン2は恋愛要素によって軸が増える
- 「仮面ライダーアマゾンズ」シーズン2(全13話)
- Amazonプライム・ビデオにて配信中
※2017年4月7日(金)より毎週1話更新
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1974年から、仮面ライダーシリーズ第4弾としてテレビ放送された特撮ドラマ「仮面ライダーアマゾン」。仮面ライダー生誕45周年を迎えた2016年、そのリブート的作品としてAmazonプライム・ビデオにて配信されたのが「仮面ライダーアマゾンズ」シーズン1だ。そして2017年4月7日、キャスト・スタッフたちが「『アマゾンズ』を超えるのは『アマゾンズ』だけ」という言葉を掲げて作り上げたシーズン2の配信がついにスタート。新たな主人公とおなじみのキャラクターたちが、さらなる大混戦を繰り広げていく。
- スタッフ / キャスト
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原作:石ノ森章太郎
脚本:小林靖子
監督:石田秀範、田﨑竜太
アクション監督:田渕景也(Gocoo)
キャスト:前嶋曜、白本彩奈、藤田富、谷口賢志、武田玲奈、東亜優、三浦孝太、田邊和也、籾木芳仁、赤楚衛二、俊藤光利、小林亮太、宮原華音、勝也、小松利昌、神尾佑ほか
©2017「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 ©石森プロ・東映
- ※シーズン1もAmazonプライム・ビデオにて配信中
©2016「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 ©石森プロ・東映
- 有村昆(アリムラコン)
- 1976年7月2日生まれ、マレーシア出身。テレビ、ラジオ雑誌等で活躍する映画コメンテーター。オンラインサロン「有村昆のバカデミーシネマラボ~日本で最もマニアックB級映画サークル~」主宰。MXTV「ひるキュン」やYTV「クギズケ!」、CX「バイキング!」、テレビ朝日「お願い!ランキング」30秒映画ショーにも出演中。
- ゆるめるモ!
- 「窮屈な世の中を私達がゆるめるもん!」というコンセプトのもと2012年10月に結成された女性アイドルグループ。楽曲はニューウェイブを軸にさまざまなジャンルが取り入れられており、Neu!、ESG、Suicideなどの名盤をオマージュしたCDジャケットも毎回話題を呼んでいる。2015年10月公開の「女の子よ死体と踊れ」で映画初主演を務めた。幾度かのメンバーチェンジを経て、現在のメンバーは、けちょん、しふぉん、ようなぴ、あのの4人。最新作は「孤独と逆襲EP」。2017年6月にミニアルバムを発売し、7月23日の東京・赤坂BLITZ公演を含む全国ツアーを行う。