コミックナタリー Power Push - 「3×3EYES」高田裕三×「火葬場のない町に鐘が鳴る時」和夏弘雨

WEBマンガで繋がる、ベテランと新鋭の創作論

少女マンガ的なコマ割りをしています(高田)

──高田さんは、WEBサイトでマンガを発表するにあたり、変えたことはありますか?

高田 紙のサイズをマンガ雑誌で決められているB4から、A4に変更しました。WEBだから小さくてもいいかなって。その分、早く描けるんじゃないかと思ったんですが、最初は逆に手間取っちゃって。いまは消しゴムをかける面積も、トーンの面積も小さいから仕上げの時間が短縮されていると思います。見開きページもないですし。

和夏 僕は斜めにバーンと枠線を引いたりするような特殊ゴマを作らないようにしています。あとWEBは印刷されないので、裁断部分のタチキリも描かないですね。紙媒体での掲載だったら、いまとは違うコマ割りになっていただろうと思います。

高田裕三

高田 ああ、和夏さんのマンガ、すごく読みやすかったです。僕はタチキリを意識してないですね。逆に雑誌だったら綴じられるから描かないノド側にも自由に描いちゃってます。あとコマ割りをガラッと変えてて。

──と言いますと?

高田 少女マンガ的なコマ割りをしています。コマとコマの間に枠を作らない。枠の間は白色なので、枠を作るとどうしてもコマの中を黒っぽくしたくなっちゃうんですよ。描き込んでしまうんです。

和夏 なるほど。

高田 枠がないページって、逆にコマが黒いと見づらいんですよ。でもそれはWEBマンガ的手法というより、50歳を過ぎて週刊連載がキツいからなんとか作業を早めに上げるようにする工夫かもしれません。なにせ締め切りが冥奴様のように怖いから(笑)。

扉ページがないから話のタイミングを変えるのが難しい(高田)

──おふたりともWEBでの連載は初めてですが、実際にやってみて思うことはありますか?

高田 連載をしていて気付いたんですが、WEBマンガって扉ページがないじゃないですか。話のタイミングを変えるのが難しいと思いませんか?

和夏 僕もずっと思っています。

高田 扉ページって便利で、時間経過を表したり、逆に時間経過についてうやむやになったり。

和夏 雑誌のマンガの最後にある「つづく」もないですよね。

高田 ああ、そうですね。

和夏弘雨

和夏 僕は初めの頃に、1話ごとに「つづく」って手書きで書いていました。いつの間にか、たぶん前の担当編集さんに消されちゃったんですけど(笑)、英語のピリオドみたいな感じで、それを書くと自分の中でテンポが保てるんです。ネームにはまだ描いています。

高田 タイミングやテンポは大事ですよね。そういえば単行本になったとき、扉ページがないから最初から最後までずっと途切れずに話が続くんだ……こんなに長く描いてるけど実は2日間くらいの話だってすぐばれる(笑)。

和夏 あ、「火葬場~」もまだ2日目の夜です(笑)。

──単行本といえば、「幻獣の森の遭難者」1巻には描き下ろしの書店特典がつくとか。

高田 ええ、これはファンサービスというより書店さんサービスなのですが。書店さんがなくなってしまうとおしまいなので。子供の頃は書店に行って本や本の表紙を見るだけで、いま流行ってるものがわかりましたよね。昔から書店に行くのが楽しくて。

──今は書店の数も少なくなってきています。

高田 ええ、この事態だけは嫌だなあと思っています。なのに自分はWEBマンガを描いてて、WEBに掲載されるだけだと書店さんに何も貢献していないわけじゃないですか。

和夏 僕もマンガを紙でずっと読んできた世代なので、書店さんなくなってほしくないです。しかも紙のマンガは読むだけじゃなくて、全巻揃えて本棚に置いておけるのが楽しい。

高田 そうそう。WEBで連載しているけど、紙媒体と書店さんの未来ばっかり気になっちゃって。描き下ろしペーパーも、1店舗1店舗になると効果はわかりませんが、少しでも貢献できればと。

伏線は確実に繋がるときがきます(高田)

──では最後に和夏さん、もし高田さんに聞きたいことがあればこの機会にいかがですか?

和夏 ご相談なんですけど……。僕はキャラのことを深く考えてしまう癖から、作中の人間関係を変に複雑にしてしまうことがあって……。

対談の様子。手前が高田裕三、奥が和夏弘雨。

高田 ああ、「この伏線いつ回収するの!?」って思ったり?

和夏 まさにそうなんです!

高田 これがね、醍醐味に変わるんですよ(笑)。いままで撒いていた、いつ回収するんだよって無意識の伏線が、あるとき、しかも自分が大ピンチのときに回収できるんです。自分の無意識に大感謝です(笑)。

──15年の長期連載をした高田さんのお言葉は重みがありますね。無数の人間の魂を1つに戻すサンハーラの儀式を描いていた「3×3EYES」の最終巻近辺は、伏線が本当にきれいに回収されていって……。

高田 あれは偶然なんです(笑)。

和夏 えっ、サンハーラの奇跡!

高田 繋がるとね、本当にやっててよかったって思いますよ。確実に繋がるときがきます。体に気をつけて頑張ってくださいね。

和夏 ありがとうございました!

高田裕三(タカダユウゾウ)

高田裕三東京都江戸川区出身。1963年3月21日生まれ。大学1年時にマンガ家デビュー。代表作は「3×3EYES」、「万能文化猫娘」など。「3×3EYES」で1993年度第17回講談社漫画賞受賞。

和夏弘雨(ワナツコウ)

和夏弘雨1月5日生まれ。神戸市出身。大阪芸術大学卒業。横田卓馬、田畠裕基のもとでアシスタントをし、「火葬場のない町に鐘が鳴る時」でデビュー。

ヤングマガジン海賊版

「世界にあふれる海賊版の面白さだけマネしたい」「とびきり面白い作品ばかり集めたい、マンガ界に不敵な波風を立てたい」のコンセプトで1986年から1995年まで刊行されたヤングマガジンの増刊号。マンガ雑誌・ヤングマガジン海賊版の記念すべき第1号の表紙を手掛けたのは大友克洋。

「攻殻機動隊」「3×3EYES」「工業哀歌バレーボーイズ」など数々のヒット作品を生み出した伝説のレーベルである!

その「伝説のレーベル」が今、E★エブリスタ×ヤングマガジン編集部の手によって、WEBコミックレーベルとして堂々復活!! 投稿小説作品のコミック化で、今までにない異端な面白さを追求していく!!

ヤングマガジン海賊版はこちらから

スマホからも楽々読める! ヤングマガジン海賊版のアプリが登場

高田裕三「3×3EYES 幻獣の森の遭難者(1)」2015年6月27日発売 / 650円 / 講談社 / Amazon.co.jp
高田裕三「3×3EYES 幻獣の森の遭難者(1)」

不老不死の術を持つ三只眼吽迦羅の少女・パイと、その不死身の守護者・无となった少年・八雲。パイの「人間になりたい」という願いをかなえるため、共に冒険の旅に出る。だが、それは人類を滅亡へと追い込む破壊神との、永く激しい戦いの始まりであった。そして……すべてが終わった最終回から12年──、パイと八雲たちの新たな冒険の幕が上がった!コミック3300万部の大ヒット作の正統続編が、完全新作で登場!!

漫画:和夏弘雨 / 原案:碧海景「火葬場のない町に鐘が鳴る時」2015年6月27日発売 / 講談社
「火葬場のない町に鐘が鳴る時(1)」 / Amazon.co.jp
「火葬場のない町に鐘が鳴る時(2)」 / Amazon.co.jp

人口6000人、山あいの小さな町・みとず町。その田舎町では夕方6時になると不協和音の鐘が鳴り響く。その音が聞こえたら、夜明けまで決して外に出てはいけない。だが、10年ぶりに東京からこの町に戻ってきた勇人は、この掟を知らずに破ってしまう。そこに現れたのは、冥奴様と呼ばれる得体の知れない化け物だった。PC&スマホマンガ雑誌・ヤンマガ海賊版発のサスペンスホラー!!