こんなむちゃくちゃなマンガに背中を押されるなんて… TikTokerもつもつが「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」の主人公に共感

タテ読みフルカラーマンガ「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」が、現在マンガアプリ・HykeComicで連載中。2022年1月クールに放送されたアニメ「トライブナイン」のコミカライズ版であり、架空の東京23区を舞台に各区に存在するアウトロー集団“トライブ”間の抗争を描いていく。それぞれのプライドをかけた彼らの戦いは、野球をベースにした“XB(エクストリームベースボール)”で勝敗が決まる。広大な街をそのままグラウンドに、身体能力を強化するギアを装着したプレイヤーたちが激しくぶつかり合う、刺激的なゲーム・XB。いじめられっ子の主人公・白金ハルは、XBカリスマプレイヤー・神谷瞬との出会いから、トライブ間の抗争に巻き込まれていく。

コミックナタリーでは、「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」の特集を展開。人気作品から知る人ぞ知るニッチなタイトルまで、TikTokで幅広く紹介しているマンガレビュアー・もつもつに「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」の見どころを聞いた。物語の第一印象を「ヤバすぎる」と評したもつもつ。その理由とは? 野球経験者でもあるもつもつを驚かせたXBでのバトルシーンの感想と併せてチェックしてみよう。

取材・文 / 佐藤希撮影 / 清水純一

XB(エクストリームベースボール)とは

トライブ同士の抗争に決着をつけるための、野球によく似た決闘手法。
“XB法”の定めにより、敗者は勝者の命令に従わねばならない。
ボールを持ったフィールダーとランナーとの間には出塁をかけたバトルが発生し、身体能力を強化するギアを装着したプレイヤー同士の激しいぶつかり合いは“XB”最大の特徴となっている。
身体能力を強化できる“XBギア”を装着してプレイすることや、シティ全体をフィールドとして使用することに加え、プレイ時間は深夜に限られることなどさまざまなルールのもと、XBが繰り広げられる。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第7話より。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第7話より。

最初は設定が心配だった「大丈夫か?無茶してないか?」

──「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」は2022年放送のTVアニメ「トライブナイン」の物語をベースにしたタテ読みフルカラー作品です。まずは、読んでみての率直なご感想を伺えますか?

読む前は、トライブ間の抗争に野球のような競技でケリをつけるっていう設定に「大丈夫か?無茶してないか?」って思っていました。

もつもつ

もつもつ

(担当編集) (笑)。

すみません(笑)。で、実際にかなり無茶なことをしている場面も多い。でも、読んでいてドキッとさせられる場面もあって。例えば第3話で自分のことをつまらない人間だと自虐するハルを神谷が「自己卑下もいいけどね。そのフォローを人に求めちゃダメでしょ」とたしなめる場面や、第5話でタイガくんが試合中に叫ぶ「負けてないってのは負けなんだ!」というセリフが印象的でしたね。ハチャメチャなストーリーだけど意外とセリフに芯がある、というギャップが気に入りました。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第5話より、メンバーを鼓舞するタイガ。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第5話より、メンバーを鼓舞するタイガ。

──もつもつさんはこれまでたくさんのマンガをレビューされてきましたが、この作品の存在はご存じだったんでしょうか。

連載されているアプリのHykeComicはもともとダウンロードしていて、「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」の存在は知っていたんですけど、気になりつつ読めていなかったんですよ。実際に読んでみて、ヤバい世界観だなっていう感触は第一印象から変わっていませんが、全力でむちゃくちゃなことをやっている様子が個人的に好きです。

──確かにほかに類を見ないユニークな作品ですよね。先ほどお話した通り「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」は縦読みの作品です。普段から縦スクロールの作品は読まれていますか?

割と読んでるほうかなと思います。縦スクロールのマンガって圧倒的に読みやすさを追及したコンテンツだと感じていて。マンガというコンテンツとして括られてはいますが、実際にはマンガとアニメの境にあるものだなと。映像的にサクサクと流れるように読めるところが魅力ですね。

もつもつ

もつもつ

──ちなみにタテ読みのマンガだとどういう作品がお好きなのか、気になります。

「俺だけレベルアップな件」や「喧嘩独学」が好きですね。お話した通りタテ読みは映像的に読めるので、アクション描写が分かりやすいですし。「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」もアクションシーンが多いので、動きが映えるなと思います。

──なるほど。確かにXBの試合のシーンなどは迫力満点なので、サクサク読めるタテ読みの長所が現れていますね。もつもつさんが「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」で感じた一番の魅力はどんなところでしょう?

まず、ヤバすぎる世界感です。

──第一印象から「ヤバい世界感だ」と感じていたとおっしゃっていましたね。

一応野球をベースにした競技であるエクストリームベースボールをしているはずなんですけど、「ここだけ見たら野球してると思う人いないやろ」って思わされるシーンがどんどん出てきますよね。決着がつかなくて、最終的に殴り合って、みたいな(笑)。

──(笑)。突拍子もないですけど、一応殴り合いもXBのルール上、ありではあります。

チヨダトライブとの戦いのときに、王次郎の剛速球を止めるためにキャッチャーが一気に3人出てきましたけど、それでも受け止めた人は血を吐いてしまうっていう(笑)。僕、読んだマンガが面白いと思うかどうか判断する基準として、「えげつない強さをどう表現しているのか」という点を考えているんです。例えば「DRAGON BALL」で桃白白が舌でブルー将軍を倒すシーンのような。「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」でも、チヨダトライブ・王次郎の投球シーンとかやりすぎなぐらい人物からオーラが出てぶつかり合う様子があって、「このマンガは面白いぞ!」と思いました。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第14話より、王次郎の投球シーン。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第14話より、王次郎の投球シーン。

──一塁と二塁が直線距離で300mぐらいあったり、バットが自分の身長より長くなったりと確かに「どうやって試合するんだ!?」と思わされる描写も多いですよね。

僕一応野球の経験があるんですが、この作品はもうむちゃくちゃなチームバトルマンガとしてオススメしたいですね。これから読む人は野球マンガとしては読まないほうがいいかもしれない……(笑)。厳密に言えば野球ではないんですが。