こんなむちゃくちゃなマンガに背中を押されるなんて… TikTokerもつもつが「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」の主人公に共感 (2/2)

いじめられっ子主人公・ハルには多くの人が共感できそう

──「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」は気弱でいじめられっこの主人公・白金ハルが、ミナトトライブの仲間たちと出会い、トライブ同士の戦いを経て成長していく、いわば“少年マンガの王道”のような物語です。まず、ハルについての印象をお聞かせください。

すごく共感できる人が多いキャラクターなんじゃないかなと思います。基本的に自分のことをかなり過小評価しているから、初めてXBの試合に出るまでは挑戦することすらも避けていましたよね。自分がうまくできないことを知るのが怖くて、それなら最初から挑戦したくない、という気持ちは僕自身にも思い当たる部分がある。完全なエリートキャラもいいですけど、こういう弱さを抱えるキャラクターは読者が応援しやすいですよね。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第6話より、初めてXBの試合に挑むハル。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第6話より、初めてXBの試合に挑むハル。

──第1話の登場シーンからさっそく不良にいじめられていて、おっしゃる通り自分に自信がないキャラクターですが、実は動体視力がものすごく優れている、という特徴が明らかになります。「ドラえもん」ののび太くんが実は射的の名手、という設定に近しいものがあるなと感じました。

確かに。弱くて全然ダメそうだけど何か1つのことに秀でている人が活躍していく様子って、たくさんの人に好感を抱かれますし、「王様ランキング」のボッジに通じる要素もあるなとも思います。これまで挑戦すらできなかったけど、足を踏み出してみたら自分にもできることがあると次第に気付いていく過程にも共感できました。僕も最初は自分がTikTokerになんてなれるわけがないと思っていたけど、細々とですが3年間続けてこられていますし、会社員として働くことも向いていないと思っていたけど、今なんとかやれているので。

──活動を始められる前のご自身と似ている部分があったんですね。現在HykeComicでは25話まで配信されていますが、ここまでの物語でハルの成長を感じられた場面はありましたか?

一緒にミナトトライブに入ったタイガくんやほかのメンバーが意気消沈して、「これからどうしよう」って落ち込んでいるときにハルがタイガくんたちに声をかけに行っている姿で、自分だけじゃなくてメンバーにも目を向けられるようになったんだなと感じました。最初はすごくおどおどしていましたけど、徐々に自信を付けてきたんだなと思います。

──物語としてはチヨダトライブの襲来の末にミナトトライブが解散に追い込まれ、リーダー・神谷瞬が“退場”してしまう、など大きな事件がいくつかあり佳境を迎えていますから、これからの成長が楽しみですね。作中にはさまざまな個性を持った人物が登場しますが、もつもつさんが一番気になるのは誰でしょう。

やっぱり神谷ですね。ハルとはまた違った魅力を持っているキャラだなと。プレイヤーとして身体的に強いというのはもちろんですけど、立ち居振る舞いから心の強さも感じます。その影には何かありそうだと思っていたんですが、こちらにそう考えさせるところもミステリアスで魅力的でしたね。スポーツマンガに必ずいる、めちゃめちゃプレイがうまいエリートキャラっていう立ち位置かなと思います。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第2話より、ハルとタイガに絡んでいた不良に立ち向かう神谷。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第2話より、ハルとタイガに絡んでいた不良に立ち向かう神谷。

──飄々としていますけど、圧倒的な実力でトライブを引っ張る理想的なリーダーですよね。

本当に。物語の中ではチヨダトライブとの戦いが決着して神谷の状況が一気に変わってしまう20話と21話が本当に印象的で、これからどうなっていくんだろうと続きが気になっています。あと気になるキャラで言うと、今のところ超極悪なチヨダトライブの(鳳)王次郎ですね。

──突如ミナトトライブに戦いを挑み、ハルや瞬たちを徹底的に追い込むキャラクターです。

本当にロボットみたいな最強キャラではあるけど、ほんの少し内面に弱い部分がちらついたように感じたんです。敵キャラだけどどこかに弱さを感じさせるキャラが個人的に好きで、今後またハルたちと戦うこともあるんでしょうけど、どこかに親しみを感じさせる部分が出てくるんじゃないかなと期待してます。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第12話より、鳳王次郎(上)の気迫におびえるハル。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第12話より、鳳王次郎(上)の気迫におびえるハル。

こんなむちゃくちゃなマンガに背中を押されるなんて…

──現在物語の中ではリーダー神谷を欠き、ミナトトライブが窮地に立たされている様子が描かれています。もつもつさんが今後の展開に期待するところはなんでしょうか?

ハル以外のトライブメンバーが、ハルのように何か特技を見つけて活躍する場面が見てみたいです。これまでバランサー的な立ち位置だったキャラが、自分の特技を見つけて活躍する場面って、熱くなれるので好きなんですよ。だからそういう展開に期待しています。あと最近ですが新しくミステリアスなキャラクターが登場しましたよね。

──突如ミナトトライブに加入したいと言い出した青山カズキですね。左手を負傷していてXBをプレイすることはできない様子ですが……。

雰囲気的にはかなり神谷に近いものを感じています。彼が活躍したら面白くなるだろうし、逆にトライブを裏切ったりしてもそれはそれで面白い。どういう働きをするのかとても楽しみです。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第28話より、青山カズキ。ミナトトライブメンバーを挑発した挙句、自分はトライブの助っ人だと名乗り出る。

「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」第28話より、青山カズキ。ミナトトライブメンバーを挑発した挙句、自分はトライブの助っ人だと名乗り出る。

──なるほど、要チェックですね。もつもつさんと言えば、毎回TikTokで取り上げるマンガの面白いポイントを凝縮した端的なフレーズが印象的ですが、「トライブナイン/ウォー・オブ・トーキョー」をフォロワーの皆さんにオススメするとしたらどう紹介されますか?

いろいろお話したんですが、「こんなむちゃくちゃなマンガに背中を押されるなんて」ですかね。すごく突飛な設定で、やっていることは“トンデモ野球”なので最初は「大丈夫なのか?」と思っていましたけど、芯のあるセリフやハルをはじめとするキャラクターの成長していく姿に、「自分もできるはず」とポジティブな気持ちにしてもらえました。変わった世界観なので読むのを躊躇ってる人もいるかもしれませんが、ぜひ一度読んでみてほしいです。

もつもつ

もつもつ

プロフィール

もつもつ

マンガレビュアー。TikTokを中心に活動しており、人気作からマイナー作品まで厳選したおすすめマンガを紹介している。