ナタリー PowerPush - トランスフォーマー/ロストエイジ

GANTZ×オプティマスをお披露目! 奥浩哉が語るトランスフォーマーの魅力とは?

“オートボット狩り”は「GANTZ」に似ている

──新作「トランスフォーマー/ロストエイジ」では、人類による“オートボット狩り”や、恐竜型のトランスフォーマー・ダイナボットなど、今までになかった新要素も加わってきます。

「トランスフォーマー/ロストエイジ」より、ダイナボット。

まだ観てないので何とも言えないですけど、情報を聞く限りでは、ストーリーも面白そうなので期待しています。オプティマスたちが“オートボット狩り”によって人類から迫害を受けながらも、人類のために戦い続けるという状況なんて、「GANTZ」の終盤に僕が描いた展開とも似ていますし、たぶん好きな感じだと思うので。

──映像に関して求める部分は何かありますか?

どうですかねえ……。前3作で、もうかなりやっちゃってますからね。最後のほうは「インデペンデンス・デイ」みたいになっていましたし。まあでも、僕は大規模な侵略系の話も好きなので、また「インデペンデンス・デイ」みたいな映像になっているなら、それはそれですごく楽しみですけど。あと予告編なんかを観ると、オプティマスのデザインもだいぶ変わってますよね。前作まではロボットに変形した後もトレーラーの面影を残していましたけど、新作ではもう車輌へ戻りそうにないぐらいの筋肉マッチョになっている。あそこまで曲線的に仕上げてしまったら、キチンと変形できるのかどうが心配ですけど……。

──きっと上手くやるんでしょうね。

「トランスフォーマー/ロストエイジ」より、オプティマス。

変形シーンについては、もともとスタッフが相当なウソを混ぜていると思うんですよ。僕の邪推かもしれませんけど(笑)。全身が一気にガッチャガッチャと動いていれば、何かカッコよく見えるし、変形している感じも出る。だけど、あんな細かいパーツがどこに収まってどう動くかなんて全部考えるの、大変だしメンドくさいじゃないですか。アメリカ人は合理主義なんで、ハリウッドも「まあ見た目がよければいいか」みたいなスタンスだと思うんですけどね。構造やギミックに凝るのは、やっぱり日本人のほうですよ。ガンダムのプラモデルでも、1時間ぐらいかけて変形させるものがあると聞きますし。設計する人のこだわりが半端じゃない。

──奥先生も、細部にこだわるタイプですか?

いや、僕はどちらかと言えば、ハリウッド寄りかな。SF的な設定を考えるときも、アイデアをいかに膨らませるかを優先させて、細かな部分については「まあいいんだよ」とか「カッコよければいいじゃん」という感じがありますから。

人類を守ろうとするオプティマスの哲学が知りたい

──前作から3年後を描いた新作では、人類側の主人公もサム(シャイア・ラブーフ)からケイド(マーク・ウォールバーグ)へと代わっています。

「トランスフォーマー/ロストエイジ」より、ケイド(マーク・ウォールバーグ)。

だいたい僕はトランスフォーマー側ばっかりを観ていて、人間ドラマのほうはあまり観てないんですけど、シャイア・ラブーフはいい味を出していましたよね。当たり役だったと思います。ただ物語全体に関しては、ちょっと低年齢層向けを狙っている雰囲気があったんですよ。善と悪が、明確に分かれすぎているというか。悪役のディセプティコンたちは、徹底的に破壊し尽くしたい。正義役のオートボットたちは、とにかく人類を守り抜きたい。両者の動機に関して、作中の説明が少なかったと思うんです。今回、人類側の主役が若いサムから、中年のケイドへ代わったことで、トランスフォーマーたちも含め、登場人物たちの内面をもっと掘り下げ、大人っぽい内容になっていたら嬉しいですね。

──これまでのシリーズでは、心の葛藤や悩みが、あまり描かれてこなかったと?

例えば、トランスフォーマーたちは異星人ですから、ディセプティコンが地球へ侵略してくるのは、まだ自然な行動だと思うんですよ。むしろ、オプティマスが必死に人類を守ろうとするほうが、とても不思議な感じがあって(笑)。迫害を受けてまで人類に味方する理由は何なのか。オプティマスの哲学がしっかりと語られていたら、さらに面白い作品になると思うんですよね。

──なるほど。

子どもたちが喜ぶスポーツカーや恐竜などをたくさん登場させるのは、別にいいと思うんですよ。「ミュータント・タートルズ」っぽい、ヤンチャなオートボットたちが登場して、「みんなの友だち、トランスフォーマー!」みたいな雰囲気を出していくとかも。ただ同時に、僕たち大人が観ても納得できるような要素を加えていってもらえたら、より多くの人が「トランスフォーマー」の世界を楽しめるかなと。

トランスフォーマー/ロストエイジ / 8月8日(金)3D/2D/IMAX 3D 同時公開

トランスフォーマー/ロストエイジ

金属生命体が瞬時に“トランスフォーム”する斬新な発想と驚愕のVFXにより、全世界で歴史的大ヒットを記録し社会現象を巻き起こした「トランスフォーマー」。日本で誕生し30周年を迎える今夏、あのオプティマスプライムやバンブルビーが帰ってくる!そして、新たな脅威となり地球に襲来する新ディセプティコン。更に恐竜がトランスフォームする伝説の“ダイナボット”も登場! 人類の敵とみなされ、 全世界に指名手配されたトランスフォーマーたち。 新たな地球の危機が訪れる中、唯一の希望は瀕死のオプティマスを救った男とのたった一つの絆だった…。とてつもないスケールで描かれる今年最大の話題作が、遂にトランスフォームを開始する!!

監督:マイケル・ベイ
製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ
脚本:アーレン・クルーガー

奥浩哉(オクヒロヤ)

奥浩哉1967年9月16日福岡県福岡市生まれ。山本直樹のアシスタントを経て、1988年に久遠矢広(くおんやひろ)名義で投稿した「変」が第19回青年漫画大賞に準入選、週刊ヤングジャンプ(集英社)に掲載されデビューとなった。以降、同誌にて不定期連載を行い、1992年よりタイトルを「変 ~鈴木くんと佐藤くん~」と変え連載スタート。同性愛を題材とした同作は道徳観念を問う深い内容で反響を呼び、1996年にはTVドラマ化されるヒットを記録。マンガの背景にデジタル処理を用いた草分け的存在として知られ、2000年より同誌にて連載中の「GANTZ」はスリルある展開で好評を博し、アニメ、ゲーム、実写映画化などさまざまなメディアミックスがなされた。 2014年よりイブニング(講談社)にて「いぬやしき」の連載を開始する。