「転生したらスライムだった件 第2期」特集 岡咲美保(リムル=テンペスト役)×沼倉愛美(ヒナタ・サカグチ役)×中山敦史(監督)×杉本紳朗(プロデューサー)座談会|魔王へと至るリムルの新たな決意、そして変わらない気持ち

ヒナタの第一印象は「意外とおしゃべり」

──ではいよいよ第2期についてお伺いしていきたいと思います。岡咲さんは第2期決定を聞いたとき、どんな気持ちでしたか。

岡咲 いやー、うれしかったですよ! 思わず飛び跳ねちゃったくらい(笑)。第2期でリムル様はさらにパワーアップするので「ちゃんと演じられるかな」っていうプレッシャーもあったんですが、それよりもうれしいという気持ちのほうが大きかったです。第1期の反響も大きかったですし、原作のストーリーもまだまだ続きがあることを知っていたので「第2期、もしかしたら来るんじゃないかな」とは思ってたんですよ。でも「第2期あるんですか?」と杉本さんに聞いても、黙ってニヤニヤするだけで。第2期決定を知ったときは「いいほうのニヤニヤだったんだ」って思いました(笑)。

──実際、第2期の制作はどの段階で決まっていたのでしょうか。

杉本 明確にこの日このときというのはないのですが、続編制作の雰囲気が固まってきたのは第1期の第1話が放送された直後ぐらいですかね。中山監督にお伝えしたのはもう少し後だったかもしれないです。

中山 ただ、現場には最初から「やるんじゃないか」という雰囲気がありましたよね。

ヒナタ・サカグチ(CV:沼倉愛美)

──かなり早い段階で決まっていたということですね。そんな第2期ではいよいよ第1期のオープニングなどにも登場していたヒナタ・サカグチが活躍しますが、ヒナタを演じている沼倉さんは、彼女についてどんな印象を持っていますか。

沼倉 今、アフレコが進んでいるところまでの印象としては……「意外とおしゃべり」です。

一同 (笑)。

──確かにビジュアルを見ただけだと、クールで無口なキャラという印象があります。

沼倉 そうなんです。でも、ヒナタとリムルが戦うシーンでは、けっこうちゃんと会話をしていて、彼女の心境が垣間見えるセリフもありました。あと、アフレコ現場で大賢者役の豊口(めぐみ)さんが「ヒナタは相当、強いよ」とおっしゃっていたのが印象に残っていて、「強い」というイメージもあります。

沼倉愛美

──確かに、これまでに登場したキャラクターの中でも屈指の実力者ですよね。ヒナタの強さを表現するうえで工夫したことはありますか。

沼倉 リムルとの戦闘では、不意打ちで動揺させるといった手段に訴えるのではなく、しっかり実力で追い詰めていく、というところがポイントだと思っていて。力を持つ者の余裕を感じさせるようにと意識しました。激しくというよりは、軽々と戦っているように演じています。

岡咲 本当に怖かったです(笑)。

──岡咲さんから見て、沼倉さんが演じるヒナタはどうですか?

岡咲 沼倉さんがヒナタ役を演じると聞いたときに、もう「ヒナタだな」と思いました。沼倉さんの芯のある声質がヒナタとぴったりだなと。

杉本 ヒナタ役はオーディションで決めたのですが、そのときも芯のある声がヒナタにマッチしているなと思いました。そういえば、オーディション用のセリフの中には第2期以降に出てくるセリフも入れましたね。

沼倉 そうだったんですね。用意いただいたセリフには喜怒哀楽の幅があって、親しみやすさを感じました。その親しみやすいヒナタに今演じているヒナタがどんなふうに至るのか、想像がはかどるところです。

──中山監督は沼倉さん演じるヒナタの声を聞いて、どんな印象を持ちましたか。

中山 完全にイメージ通りでした。沼倉さんが先ほど「意外とおしゃべり」とおっしゃっていましたが、ヒナタは「魔物の言うことなんて……」みたいなことを言いつつもコミュニケーションを取ろうとしていて。ただ単にリムルを殺そうとしているだけのキャラではない、という深みのあるキャラクターなんですよね。アフレコを聞いていても、その深みを表現していただいているなと感じています。

リムルの中に燃える、静かな怒りを演じる難しさ

──第2期では途中からかなりシリアスな展開があり、その過程でリムルが重要な決意をしますよね。そんなリムルを演じていくにあたって、岡咲さんが意識したことはありますか。

岡咲美保

岡咲 第1期ではいろいろシリアスな展開がありつつも、なんだかんだで楽しく国づくりを進めていたのに対して、第2期ではかなり危ない状況に陥りますよね。私が特に気を付けたのは、怒りの表現です。あるエピソードで人間にジュラ・テンペスト連邦国の仲間が傷付けられる事件が起こるんですけど、そういうときリムル様は感情的に「やめてよ!」と怒るのではなく、「そういうことをやるなら、俺もやり返してやるよ」となるんですよね。内心ふつふつと燃える復讐心や怒りはあるんだけど、それがわかりやすく表に出るわけではないので、すごく難しかったです。

──静かな怒りというか。

岡咲 そうです。第1期のリムル様は素直に感情を出すことが多かったので、新たな一面を見た気がしました。

──リムルは「できれば人と対立したくないけど、仲間も助けなきゃいけない」という葛藤を抱いているのではないかと思いますが、演じるうえでその葛藤を表現することは考えましたか。

岡咲 そうですね……ただ個人的には、リムル様にそういう葛藤はあまりないというか、いかにして復讐するか、いかにして仲間たちを救うか、という気持ちのほうが強いのかなと思っていて。だから人に対する慈悲みたいなものはあまり感じなかったですね。自分の仲間を守ることに振り切っているというか。

──確かに原作でもリムル本人が「甘さを捨てる」というようなことを言っていましたが、そこで決意が固まったのかもしれないですね。今度は中山監督にお聞きしたいのですが、第2期のシリアスな展開を踏まえて工夫した点はありますか。

杉本紳朗プロデューサー

中山 第1期はイングラシア王国を旅立つところで終わりますよね。そこからすぐに後の展開へ進むと第1期を観ていた視聴者の気持ちがついていかないくらいシリアスになってしまうので、第2期では前半に、第1期で飛ばしてしまったエピソードを入れています。

杉本 視聴者から「第1期で扱わなかったエピソードもアニメ化してほしい」という要望がたくさん届いていたので、その声に応えたい、という思いもありました。

中山 ただ、そうすると時系列が前後してしまうので、うまく第1期ラストからのつながりを感じながら観ていただけるような工夫もしました。あとは、視聴者に「リムルが変わってしまった」と思われないように作っています。第2期の進行の過程でリムルに復讐心が芽生えたりと新たな側面も描かれるのですが、個人的にはリムルの芯になる部分、「この世界で楽しく暮らしたい、仲間たちと理想の国を作っていきたい」という気持ちはブレていないと思っていて。そのために甘さを捨てて、戦うという選択をしただけだと。だから「リムルの芯はブレずに残っているんだ」ということをうまく伝えられるよう心がけています。

みんなを守る、だから戦うんだという気持ちを持って、収録に臨んでいます

──最後に、そんな第2期ならではの見どころと、視聴者へのメッセージをお願いします。

中山敦史監督

中山 まず見どころは、かなり本格的なバトルが展開されるところかなと。それから第1期ではリムルがゴブリンの村を救って、ジュラ・テンペスト連邦国に発展させるまでをメインに描いていたのですが、第2期では国と国の外交や、魔王とのやり取りなど、外部との接点が増えてきて、世界が広がっていくのもポイントです。

沼倉 リムルが活動する場所が広がることでヒナタみたいな人が出てきたり、新しい勢力が出てきたりして、「あ、この世界ってこういうことがあるんだ」「こういう人がいるんだ」「こういう文化があるんだ」という発見があると、また面白くなるんじゃないかと思いますね。

中山 そうですね。あとは第1期に比べてリムルが自分からどんどん行動したり、次々と戦いが繰り広げられたりして、物語に疾走感がある。これまで以上に盛り上がる展開を楽しんでいただければと思います。鋭意制作中ですので、期待していてください。

杉本 プロデューサーとしては来年1月から9カ月連続で「転スラシリーズ」のアニメを放送するというところも推していきたいです。第2期第1部、「転スラ日記」、さらに第2期第2部と連続して楽しんでいただければ。あとは第2期第1部前半に第1期では扱えなかったエピソード、今後の展開に必要になる話をできる限り盛り込んでいるので、そこも注目いただきたいです。10月放送予定だったのが延期になってしまい、視聴者の皆さんには申し訳なかったのですが、ちゃんと楽しんでいただける内容になっていますので、9カ月間よろしくお願いします。

──ありがとうございます。キャストのおふたりはいかがですか。

沼倉 ヒナタの登場を待ってくださっている方がたくさんいらっしゃると聞いているので、ヒナタ役としてそういった方々の期待に応えられるようがんばりたいなと思っています。私自身、ヒナタのキャラクターが明かされていくのを楽しみにしつつ、視聴者の皆さんと一緒に「転スラ」の世界を楽しんでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。

岡咲 第2期ではリムルの中で「ジュラ・テンペスト連邦国の盟主として、自分が魔物たちを守っていかなきゃいけない」という使命感が強くなっていくのですが、ティザービジュアルに描かれたリムル様の表情を見たときから、私の中にはそういう使命感を持った強いリムル様を演じていこうという思いがあって。みんなを守る、だから戦うんだという気持ちを持って、収録に臨んでいます。そんな強いリムル様に注目していただければ。それから、第1期をたくさん愛してくださる方がいたからこそ第2期ができたと思っているので、視聴者の皆さんには感謝の気持ちをお伝えしたいです。皆さんの「リムル様が好き」「転スラが好き」というお声をいただいているからこそ、堂々とリムルを演じられているなと。第2期を待ち望んでくださっている方の期待に応えられるような作品になっているという自信があるので、楽しみに待っていてください!