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どのキャラクターも嫌われたままで終わるようにはしたくない

──現在Sho-Comiで連載中の「恋するレイジー」は、真面目だけど不器用でポンコツな桃沢かのと、完璧だけど面倒くさがりな宮野玲次という2人を中心に描かれています。キャラクターはどのように考えていったのですか?

「恋するレイジー」より、玲次とかの。

今思うと「ういらぶ。」ほど最初からガッチリと考えていなかったかもしれないですね。最初はかのちゃんがもっとクールで、どちらかというと表情のないサイボーグのような子にしていたんですけど、「このクールな子を主人公にして、どうやって恋愛感情を表現していくんだろう?」と考えたときに、やっぱり読者さんに共感してほしいなと思ったんですね。なので無表情で淡々としているけど実はポンコツで、ドジっ子みたいな感じにしたら自分自身もかわいがりながら描けるかもしれないと思って、そこから読者さんに共感していただけるようなキャラクターにブラッシュアップしていった覚えがあります。玲次は自分でも描いていて「カッコいい」って思うキャラクターですね(笑)。カッコいいっていうか、他人が描いていたら「カッコいい」って思うんじゃないかという、好きなビジュアルのキャラクターです。

──かのも玲次も個性的で魅力を感じますが、玲次の兄である琮一がすごく強烈なキャラクターだなと思いました。あまりSho-Comiにはいないタイプの男子ですよね。

「恋するレイジー」より、玲次の兄である琮一。玲次を嫌う琮一は、かのに対しても敵意を向けるが……。

私の中ではこの子が主人公でもよかったかもっていうぐらい好きなキャラクターなんです(笑)。ただ玲次のライバルにはしたくなくて。今の玲次の性格を作った原因は琮一だけど、玲次と2人でかのを取り合うような関係には絶対したくないと思ったんですよね。その結果、玲次を溺愛し、玲次が大好き過ぎるがゆえにいじめちゃう子になったという。

──兄とヒロインを取り合うという、三角関係の王道的展開になるかと思ったらそうではないんですよね。それも意外でした。

そうですね、それはちょっと嫌だったというか、したくないなって思ったんです。玲次と琮一には仲良くしてほしいし、「結局この2人仲いいじゃん」と思ってもらえたら、琮一のことも「かわいい」って言ってもらえるかもしれない。どのキャラクターも愛されてほしいので、そういう気持ちで琮一も描いていましたね。

──本当にキャラクター1人ひとりを大切にされているんですね。

登場させたからには愛情を持って描いてあげたいと思うんです。例えば「ういらぶ。」の実花もそうですけど、メインキャラクターの恋の邪魔をするようなライバル的存在だったとしても、「でもかわいいところあるよね」と思ってもらえるようにしたい。嫌われたままで終わるようにはしたくないんです。

「花とモンキー」では「ういらぶ。」にも登場する実花を主人公に、彼女の新たな恋が描かれている。

──「ういらぶ。」の実花も最初は凛と優羽の間にグイグイ入って関係をかき乱していくようなところがありますけど、その真っ直ぐな性格がかわいらしいキャラクターですよね。単なる当て馬にしようと思ったら簡単にできてしまうと思うんですけど、どの子も最後には応援したいと思えるキャラクターとして描かれている印象です。

それは意識してます。出てきたときに「何この子は!?」と思っても、ちゃんと応援してもらえるような子にはしていきたいなと。実花は本編ではずっと振られ続けていましたからね(笑)。スピンオフの「花とモンキー」(「ういらぶ。」11巻に収録)では実花自身の恋もしっかりと描けたので、「ういらぶ。」として描きたい話は描き切ることができたと思いました。

移り変わっていく季節をマンガで表現したい

──「ういらぶ。」も「恋するレイジー」も、星森さんの作品は恋愛の甘酸っぱさや切なさが丁寧に表現されていると感じます。星森さんが恋愛描写を描くうえで意識されている部分はどんなところなのでしょうか。

読者さんたちに「恋愛っていいな」と思ってもらえたらいいな、と考えながら描いていますね。「この2人の恋愛いいな」「現実にはいないけど、こんな男の子がいたらいいな」「こんな彼氏がほしいな」というのを形にしてあげられたらいいなと。自分も初々しい恋愛のほうが好きなので、等身大の“リアルラブ”や“ピュアラブ”については今後もこだわっていきたいです。なので自分の理想を描くというよりは、読者さんを第一に考えた恋愛観で描いていっています。

──「ういらぶ。」よりも少し前に連載されていた「恋するみつば」では、引っ込み思案なヒロインの山川みつばと、人気者の桜井幸輝の距離が近づいていく純愛を描かれていましたが、単行本の中で「これまでのマンガ人生の中でも大切な作品で、これからも大切に思う作品になると思う」とおっしゃっていました。

2013年に連載された「恋するみつば」は、引っ込み思案なヒロインの山川みつばと、クラスの人気者・桜井幸輝の関係を描くピュアラブストーリー。

そうですね、転機になった作品だと思います。今でもお手紙で「『みつば』が好きでした」と言ってくださる方がいらっしゃるんですが、「こういう世界を求められているのかもしれない」と気付いたきっかけになった作品でした。

──「恋するみつば」の頃からそうですが、星森さんの作品は風景や空間も丁寧に描かれていて、シーンごとに季節や街の空気を感じられる印象があります。例えば「ういらぶ。」だと、凛と優羽が水族館デートに行く場面は、そこだけ本当に音が静かになったように感じられました。

それはうれしいです。ドラマや映画で表現されているような空気感や情景描写が大好きなので、そこは意識して描くようにしています。私は作中で風を描くのも好きで。

──そう、星森さんの作品はすごく風を感じると思いました。それもその季節や温度感を思い出す風といいますか。

「ういらぶ。」より。とある誤解をしている凛と、水族館へデートに訪れた優羽。

ありがとうございます。私自身、移り変わっていく季節の雰囲気が大好きで。冬の夜、夏の朝が好きとか、それをマンガで表現できたらすごくいいなといつも思っています。そう考えるようになったきっかけは、「君に届け」の第1話なんですよね。夜の肝試しのシーンなんですが、ページ1枚1枚を大事に使って描かれていて、臨場感がすごくて、「私もこういう世界が描きたい」という気持ちになりました。あとは「風」という意味での原点はジブリですね。髪の毛がブワアッとなって、怒りや驚きを表現する感じとか。少女マンガではなかなか真似できないですけど、影響は受けています。そのあたりもいろいろ研究しながら描いていきたいですね。

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映画「ういらぶ。」
2018年11月9日(金)全国ロードショー
スタッフ

原作:星森ゆきも「ういらぶ。―初々しい恋のおはなし―」(小学館「Sho-Comi フラワーコミックス」刊)

監督:佐藤祐市

脚本:高橋ナツコ

音楽:佐藤直紀

主題歌:King & Prince「High On Love!」(Johnnys' Universe)

製作:『ういらぶ。』製作委員会

制作プロダクション:アスミック・エース / 共同テレビジョン

配給:アスミック・エース

キャスト

和泉凛:平野紫耀(King & Prince)

春名優羽:桜井日奈子

坂下暦:玉城ティナ

藤蛍太:磯村勇斗

佐伯実花:桜田ひより

佐伯和真:伊藤健太郎

星森ゆきも(ホシモリユキモ)
星森ゆきも
2月22日生まれ、東京都出身。2008年にSho-Comi増刊(小学館)に掲載された「つめたくしないで」でデビュー。キュートな絵柄と等身大のピュアラブストーリーで人気を博す。主な作品に「ういらぶ。―初々しい恋のおはなし―」「そらときみと。」「恋するみつば」など。現在はSho-Comi(小学館)にて「恋するレイジー」を連載中。単行本は3巻まで発売されており、最新4巻は11月26日に発売。